■今年もまた「銀座 古書の市」の会期が近づいてまいりました。今回で通算32回目の開催となります。今週は先ず、催事のご案内と、それに伴う店舗営業の変更をお知らせいたします。
「第32回 銀座 古書の市」は1月20日(水)より25日(月)まで、松屋銀座8階イベントスクエアで開催されます
会期中は無休で連日10時より20時まで営業(但し、最終日は17時30分閉場)で、会期中は会場での営業となります。
表参道の店舗は19日(火)より27日(水)まで営業を休止、営業再開は1月28日(木)からとなります。
尚、18日(月)は午後店に居る時間帯もありますが、早めに店じまいする可能性があります。
目録品のご注文重複による抽選は19日ですが、19日は朝から会場で陳列作業のため、目録品に関するご注文は、できるだけ18日の早目の時間までにお申し込みいただけますようお願いいたします。
20日から25日までのご連絡は、目録ご注文品の当落のご確認等含め、松屋銀座 03-3567-1211(大代表)より古書の市の会場に電話をまわしていただくか、事前に携帯電話の番号をお伝え申し上げたお客様は日月堂・佐藤の携帯までご連絡下さい。
尚、参加店他詳細については、下記「銀座 古書の市」専用ブログをご参照下さい。各店が随時最新の商品情報などもアップしています。
http://ginzakosho.hatenablog.com/
「銀座 古書の市」は、例えば雑誌やパンフレットなど「背」のない印刷物や各種紙モノ、古い写真から書画骨董まで、通常の古書即売会とは一味違う幅広い品ぞろえを特徴としています。参加店一同、目録掲載品以外にもお買い得品など思い思いの品物を豊富にご用意して、みなさまをお迎えいたします。
店からはしばらく離れますが、即売会会場でみなさまのご来場を謹んでお待ち申し上げます。
年に一度の貴重なこの機会に是非お運び下さい。何卒よろしくお願いいたします。
■何しろまだ即売会準備が追いついていないので、今晩は本気の駆け足、新着品についてはざっくりとしたご紹介にとどめます。
画像1点目。厚塗りアイシャドーのせいか何だか色っぽい表紙のお月さまが印象的なのは、当初、タバコカードかと思っていたのですが、どうやらフランスで発売されていたパスタBOZON VERDURASの販売促進用のノベルティと目されます。
専用ファイルに収められたカードは「AERONAUTIQUE & AVIATION」= 気球や飛行船を含む“航空シリーズ”47枚を筆頭に、“革命シリーズ”“ルイ16世時代”など6枚が混在する全53枚。
これは見なければ分からないでしょ。と云うわけで来週末までに店で売れなかったら松屋さん行きの仲間に加える予定。
■日本を舞台にした戯曲作品『The Darling of the Gods』の奇天烈な日本描写は、見る人に必ずやモーレツなインパクトを与えるに違いありません。邦訳タイトルを「神々の寵児」とされるこのお芝居、デビッド・ベラスコの作品で初演は1902年 (ワシントン) だったと云います。初演時より大成功を収めたそうで、表紙はカラー印刷で窓を開け、本文は16P全頁アート紙を使って当時としては鮮明な写真をふんだんに所収、さらにリボンを使って綴じるなど、まさに「SOUVENIR PROGRAMME」(= 扉に記載されているのですが) と謳う言葉に相応しい観劇記念の冊子となっています。
当該品の表紙には「明治37年 米国聖路易劇場之画」と日本語での記述があり、かなり早い時期に日本に入っていたものと思われますが、さて、これを一体どういう人が、何のために、手元に置いていたのか、ということについてはいまのところ全く予測がたたないのでした。
主役女優の絵に描いたような富士額から始まり、外国人によるお侍や力士の姿(似合わない…)、女形(ごつい…)まで出てきて、ストーリーは悲劇的なはずなんですが …… これはもう喜劇と云った方がよろしいようで。20世紀初頭における欧米の日本観という点から見ても、なかなか面白いでものです。
■「銀座 古書の会」の準備の関係で、来週の更新は1回お休みとさせていただきます。
店で、松屋銀座で、みなさまのご来店を心よりお待ちいたしております!
■新しい年がやってきました。暖かさに恵まれての年末、そして新年です。
肝心なことをお伝えするのをすっかり失念しておりました。
こんなことを忘れていたなんて。いよいよヤキがまわっております。まずい。それはさておき。
店は明日1月5日(火)より営業いたします。
小店の新年は、昨年11月には入稿を終えていた、従って昨年1年の評価というのか審判というのか、を受けるような心境にならざるを得ない「第32回 銀座 古書の市」から始まるようなもの。
明日より緊張の面持ちで、目録品のチェックやら会場用商品の準備やら、ジタバタしていることになりそうですが、からかいがてら、ご来店いただければ幸いです。
改めて。昨年中は大変お世話になり、本当に有難うございました。
オークションをやるでもなく、自店目録を出すでもなく、といって店を開くのは週3日と、本年も相変わらず手前勝手な旧式スタイルの古本屋でやっていくつもりです。
みなさまには大変ご不便をおかけいたしますが、本年も変わらぬ とは云わず旧倍のご指導・ご鞭撻を賜りたく、2016年もよろしくお願いいたします!
■ああ今年も暮れてゆくか。
クリスマスを過ぎたばかりの街は、年の瀬までの僅かな時間、どこか寂しげな顔を見せます。
今年は安保法案の強行採決を筆頭に、責任者不在のまま進められた原発再稼働や、誰も責任をとらない年金運用による10兆円規模の損失、はたまたオリンピックという利権に群がる人々の在り様など、権力の横暴というものをこれでもかと見せつけられた挙句、パリでの多発テロと、命の価値には実は大きな格差がある のだという事実の前に打ちのめされた年でした。
私たち古本屋の扱う「本」の多くは、時々刻々と進む価格競争の渦中にあり、一方で、人が一生かけてもやりつくせないコンテンツを搭載した掌に収まる機器ひとつに駆逐されて、グーテンベルク以来550年を経て気息奄々、明日にはもう息絶えると云われても不思議はないと思えるほど、状況は芳しからざる方向へとまた歩を進めたように感じた1年でした。
だからといって、「本」というものを何か特別なもののように祭り上げたり、本を大切にしようという良心をわけ合うようにして結ばれる人の繋がりというものについては幾ばくかの違和感をもってしまっていて、本を扱う仕事の末端に連なりながら、崇め奉られる「本」とその周辺のモノ・コト・ヒトとのほとんどに何もできることをもたない自分は、も はや完全に古本屋失格ではないのかと考え込む日々が続きました。
屈託や迷いを抱えて出かける市場では、迷いがそのままモノを見る目と札とに反映されて、良い結果の出ようはずもなく、正直に云えば、これほど苦しい1年はありませんでした。靴下1足買うのも躊躇っていた、あの創業当時の極貧の時代よりもずっと、苦しい1年でした。
その苦しかった1年が暮れてゆこうとしています。2015年の営業も、26日(土)と29日(火)を残すのみとなりました。週が明ければ慌ただしい年末です。お忙しいなか、ご来店下さるお客様がいらっしゃるとすれば、私はお客様の背中を静かに見送る年末にしたいと思います。
■今週は洋書会歳末市、東京古典会、そして明治古典会クリスマス大市とそれなりに気持ちを引き立て、闘志なんてものまで動員すべく努力して3回も市場に出かけながら、買い引きを除き、入札したのはわずかに2点。たったの2点きり。こんな年末はもちろん初めてです。
応札した2点の内、1点は相手の札を突き上げて終わり、落札は1点きり。最初の画像、江戸時代・文化年間成立という旧蔵者の見立ての書き込まれている型紙 の台帳がその落札品。型紙の文様を紙に写し取り、それを分類し、ノンブルをふって控えにしていたもので、和本1冊に全てデザインの異なる691点が貼り込んであります。
この種の台帳では、墨一色、或いは墨、藍、茶などせいぜい数色を使うのが一般的なのに対し、この台帳、型紙毎にほぼ全色微妙に色が違うのではないかという ほど微細に異なるさまざまな色を使用。また、型紙や柄によって小紋、中型、京型、筋染、更紗など、性格の異なるデザインを分類した上で1冊にまとめている のもこの台帳の特徴と云えそうです。
特筆すべきは更紗文様の見事さ。柄が大きく色彩も鮮やかな名物裂の系統から、まるでソレイアードのひきうつしのような細かな柄をデザインしたものまで、もしこれが布の現物だと仮定すると相当なお値段になるはずの80点。センスのよい粒ぞろいのデザインに、思わず「お見事!」と声をかけたくなります。
もう1冊、染元の手で「慶応卯年」と記された小紋の型紙台帳との2冊での落札で、こちらは全体に渋いデザインの278点が貼り込まれています。
フランスの縞の生地見本でも同じようなことを書きましたが、小紋の柄も無限であると思わず唸りたくなる2冊での落札でした。
■お次は2週間ほど前の大漁の時の落札品から。小店では4度目くらいの扱いになるでしょうか。但し、ここ5~6年はとんとご無沙汰でしたので、久しぶりの入荷となりました。
イギリスの演出家にして舞台美術家、かつ演劇理論の分野でも活躍したゴードン・クレイグによる木版画による作品集『Portraits HENRY IRVING ELLEN TERRY By E. Gordon Craig』。肖像の対象となったエレン・テリーは名女優として知られた人でゴードン・クレイグの母。ヘンリー・アーヴィングはテリー演じるオフェリアの 相手役・ハムレットで成功を収めた俳優で、友人だったブラム・ストーカーが『吸血鬼ドラキュラ』を書く際、その風貌が参考にされたことでも知られている、 ということを、私はもう随分以前にお客様から教えられました。この木版集に現れる正面を向いたアーヴィングは、確かに吸血鬼を思わせる風貌です。
それはさておき、ゴードン・クレイグの版画は大胆な省略、ストイックな色の使い方など、こてこての具象趣味の傾向の強いイギリスにあっては異質かつモダンで、小店店主としては好みの筋です。
まるで洋書のように見えるこの本、実は『複刻叢書 其二』のタイトルで昭和2 (1927) 年に丸善から発行されたれっきとした和書。以前、本国のオリジナル版も扱ったのですが、確か判型も装丁もページ構成もまるっきり一緒だったと記憶します。 ゴードン・クレイグが主宰していた雑誌『マスク』は日本の文学者・演劇人にもよく知られていただけに、こればかりは無許可でなかったはず…???
■今年もまた、多くの方たちに支えられて、どうにかこうにか古本屋の仕事を続けることができました。このような場しかありませんが、心より感謝申し上げる次第です。本当に、有難うございました。
今年初めて読んで、この1年、折に触れ読んでいた1篇の詩を置いて、年内の更新を打ち上げたいと思います。
暖冬とはいえ、寒さも募ってまいりました。みなさまどうぞくれぐれもご自愛下さい。
そして、「よいお年を!!!」
「のちの時代の人々へ」ベルトルト・ブレヒト
http://blog.livedoor.jp/kodama1872/archives/51451094.html