■読書文化の普及に貢献するため、1日1冊・7日間、本の説明なしに表紙の画像をアップするというブックカバーチャレンジ。小店を舞台裏で支えてくれている書物・刊行物から選んでいます。3日目に選んだのは展覧会図録『名取洋之助と日本工房[1931-45] 報道写真とグラフィック・デザインの青春時代』(2006年)。
■戦中日本の対外広報誌として『FRONT』と双璧を成す雑誌『NIPPON』。その『NIPPON』を制作・発行したのがドイツで報道写真を身につけた名取洋之助と名取率いる「日本工房」でした。図録は『NIPPON』のみならず、『CANTON』など希少な雑誌から戦後の『岩波写真文庫』に至るまで、彼らの仕事を丹念にあつめ、追いかけ、詳細に記録した労作です。
コロナウイルスの影響で古書の入札会が休止される直前、市場で落札した東京通信工業(東通工)の初期周年記念誌・PR誌の内1冊(『東通工10年のあゆみ』1956年)に「構成製作・株式会社日本工房」という小さなクレジットがあり、実はつい最近も開いてみたばかり。河野鷹思、山名文夫、亀倉雄策、堀野正雄、土門拳など、スター選手が名を連ねた「日本工房」に関する資料は、勢い参照する機会も多くなります。
ほぼ使う本しか残していない自宅書架のなかで、びらびらと挟まれた付箋の量の多さがひときわ目を引く1冊です。