■ブックカバーチャレンジ4日目は1970年発行の『日本デザイン小史』(ダヴィッド社)。原弘、亀倉雄策など同書編集同人によって編まれ、総勢58名の寄稿によって綴られた明治~昭和戦後のデザイン史。画像はその函と本体。
■今年2月、ひょんな経緯で個人所有の古い写真アルバムを入手、アルバムの写真と記録にある「構図社」というデザイナー集団について調べる必要が生じました。簡単に出てくるだろうと多寡をくくってPCに向かい続けるも情報はいまどき珍しく皆無。お手上げかと半ばあきらめかけた時に思い出したのがこの本でした。
驚くことにこの1冊で、「構図社」についてはグループの成り立ちからいまではほとんど名をとどめない構図社同人全員の氏名と作風、構図社をとりまく周辺の事情・関係人士に至るまでたちどころに判明。構図社にとどまらず、この本には実に細かい人名や集団名がこれでもかというほど出てきます。デザイン史の基本資料のひとつに挙げられる文献の底力を思い知らされました。
執筆者も編集同人も、要は戦前戦中を諸先輩の謦咳に接しつつ若手~中堅として過ごし、戦後第一世代として第一線に躍り出た世代。残念ながら、インターネットで語られるには少しだけ生まれるのが早すぎたのかも知れません。日本デザイン史のエアポケットをカヴァーしてくれる貴重な資料として、小店必携の資料のひとつです。