■神田の市場は荷物が少なく、しかも、当然のように「買っておいてもいいかな」という程度の気持ちで入札したところで実りはごく少なく、いささか意気消沈して所を移した五反田は、事前の出品速報に載らなかった雑誌関係の大量出品という不意打ちに気持ちを呑まれた格好でなす術もなく時間切れ。幸い、五反田は明日が本番の改札日。なので急遽、明日も朝から五反田の市場に出掛けることにいたしました。
こんなふうに出直した場合、「かすって終わり。」とひとことでまとめられる結果に終わることが多いので、出掛けたところでどうかとも思うのですが、本日は明日の朝に備えて更新作業は控えさせていただきます。
また、この市場の関係で、明日9月14日(土)は、店の開店時間を午後1時~1時半頃からとさせていただきます。明日のご来店をご予定下さっているお客さまには、誠に恐縮ではございますが、午後1時半以降にお訪ねいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
尚、来週は通常の週3日=火・木・土曜日で営業いたします。
■完全な新着品というのとは違いますが、近々店頭でお目見えを果たせるはずの商品の前宣伝を少しだけ。
確かもう3年ほど前、市場で落札したままずぅ~っと在庫になっていた大正7(1918)年のキモノ図案集を、近日中にプレート売りすることにいたしました。
この図案集、縦70cm弱×横50cm弱の木版刷または木版刷に手彩色を加えたもので、呉服店が店頭で客注をとる際のデザイン見本の役割を果たしていたものと見られます。これまでも一部プレートを店頭で販売していましたが、しかし、店内片隅で大人しくしていたプレートは数点が売れた他は ほとんど どなたの目にとまることなく、綴りになっていた2冊に至っては、真剣に購入を検討してくれたのはボストン - 蛇足を承知で云うとアメリカのボストン- のご同業ただひとり。それも「面白い!うむ、でも大きいね。重たいね。」という理由で海を渡るまでには至らず、表参道でくすぶっていたものです。
モボモガの時代のキモノのデザインは、1枚1枚ちゃんと見てやれば、ドイツ表現派風あり、南仏のテキスタイルの引き写しと見紛うものあり、南方の更紗風あり、日本の古典柄のモダンアレンジありといった具合で、国籍不肖のユニヴァーサル・デザイン。古典柄はもちろん、いまのキモノとは一味ちがう端整なもの。
今回、「本気で」プレート販売するにあたり、TOMIZOさんにオリジナルの軽くてとても扱いやすい額 - 重量2kg程度で縦使い横使いの両方向対応、加えて しまっておくにも便利なように分解可能という すぐれもの! - を制作してもらい、ご希望の方にはフレーム込みで販売いたします。画像の黒いバックボードと細めの真鍮パイプがそれですが、これはあくまで まだテストの段階。なのですが、こうして飾ってみた途端に、お客さまの目を大いにひくことになりました。
こうした事情により、現在、画像の1点は非売品とし、これをベースにさらに洗練された、さらに扱い易い額にするべく、完成を急いでいただいているところです。
残念ながら引き取り手が現れなかった綴りも、近日中に紐を解き、プレート商品として用意を進めます。楽しみにお待ち下さい!
■興味深い情報をいくつか。ご興味がある方、とくに秘密保全法パブリックコメントは期日が迫っております。
東京新聞 9月13日 「秘密保護法案 軍事国家への入り口だ」
秘密保全法に反対する愛知の会http://nohimityu.exblog.jp/20720759/
秘密保全法に関するパブリックコメントhttp://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0
ガイアックス、自民党参議院候補者に公式Facebook、Twitter投稿モニタリングを提供
http://www.gaiax.co.jp/jp/news/press_release/2013/0620.html
「東京オリンピック」と聞けば、真っ先に中止になった戦前のそれを思い起こす古本屋ですが、何かを行うための免罪符、鬱積した空気のガス抜きに、国家的プロジェクトや世界規模のスペクタクルを利用するのは権力の側の常道であるとはいえ、しかし、ふりかえって見れば、こうした すり替え・すげ替えによって、見たくないもの・考えたくないもの、その先にある人たちまでをも あっさり捨ててきたのが私たち歴史だったのではないか等々、本当に色々なことを考えさせられた今週でした。
参考までに。http://bylines.news.yahoo.co.jp/takedasatetsu/20130908-00027934/
科学界から。http://blog.tatsuru.com/2013/09/06_1112.php
■先週金曜日から今週月曜日へと日延べした上、「更新します」と云ったお約束を反故にして、何かあったのかというとそうではなくて、さぼってしまいました。ただもう眠たくて眠たくて。きもぉ~ち弱っていたきらいはあるとはいえ、我ながら情けない。何よりゲンジツの方向に目をやれば、云うまでもなくそうウトウトし続けているわけにはいかないわけでして、今週、店の賃貸契約の更新手続きも終えたところで、あと最低でも2年は頑張る所存であります。いや、頑張らないといけません。さてさて仕事です、仕事あるのみ。なのであります。噫やれやれ。
ところで、ポショワールのファッション・プレートやフランスの挿絵本にご興味をお持ちで未見の方はお急ぎいただくのがよろしいかと思うのですが、練馬区立美術館で開催中の「鹿島茂 コレクショクン3 モダン・パリの装い」展もいよいよ8日(日)で終了です。この展覧会にも多数出品されていたアンドレ・エドゥアール・マルティ(Andre Edouard Marty)が描いた挿画本の内、12冊から成る『アルフレッド・ド・ミュッセ作品集(OEUVRES DE A .DE MUSSET』の12冊揃いが新着品のひとつめです。
この作品集は、ミュッセの作品を分野別にまとめた「詩(Poésies)」3巻、「戯曲と箴言(Comédies et Proverbes)」5巻、「中篇および短篇小説(Nouvelles et Contes)」3巻、「世紀児の告白(長篇小説 confession d'un enfant du siècle)」1巻の合計12巻・12冊から成るもので、1932年から1936年にかけて順次発行されました。
全冊合計で309点を数える挿画、カット、装飾等は全てマルティによるもの。挿画の技法はもちろん全点ポショワールです。
限定本として50部、200部、2,000部の3ヴァージョン、全2,250部発行されたうち、今回入荷したのは各冊モノクロのスュイット(版画=ポショワール部分のみ別刷りしたもの)1セットが付された200部のヴァージョンで、一冊毎にローマ数字で16番と記されています。さらに、マルティがこの作品集のために書き下した挿画の水彩原画4点付き。云うまでもありませんが、原画は入手チャンスの限られたとても希少なものです。
本来、200部ヴァージョンについては算用数字でノンブルが書き込まれているはずなのに、当品ではそれがローマ数字になっていること、とくに4点もの原画が添えられていることなどから見て、今回入荷したこのセットは、関係者のために用意された非売品の内のひと組と見られます。前回の更新時、何やらいわくありげな品物の入荷を匂わせたのはひとえにこの故でした。
原画と比べて見るとポショワール=版画とされる所以も改めて納得のこのセット、原画4点含めた一括販売とさせていただきます。
■東京大学・西野嘉章教授の著書『チェコ・アヴァンギャルド』では「ストナル」、モホイ=ナジ他東欧のアヴァンギャルド研究で知られる埼玉大学・井口壽乃教授は「ストナー」と表記するLadislav Sutnar。ここではラジスラフ・ストナルに統一することにします。
さて、そのストナル、1920年代からチェコスロヴァキアでインダストリアル・デザイン、グラフィック・デザイン、ブック・デザインなど、デザインの分野で大活躍、チェコのデザイン界に大きな足跡を残した人物。恥ずかしいことに、私はつい最近まで知らずに居たのですが、井口教授の論考や、ストナルが装丁を手掛けた書籍に対する欧米諸国の古書店での評価(=価格相場)など、お客さまから教えられるままに見て、その評価の高さに蒙を啓かれたストナルの代表作が今週の2点目です。ジョージ・バーナード・ショーの著作5点。いずれもストナル装丁によるチェコ語のペーパーバックです。
このシリーズでは、“幾何学的な形体やグリッドを用いた画面空間に、バーナード・ショーの写真”を組合せるスタイル、そして、ストナルのスタイルとなる“構成主義が好んで用いた斜めの構図と円や矩形の幾何学的色面”を採り入れることで、統一感があり、かつまた、インターナショナルな印象を備えたモダン・デザイン - バウハウスはじめ、欧州各地で盛んに試みられていた - を実現しています。(引用は 井口壽乃「チェコスロバキアのモダニズムとアメリカへの越境」より)
画像左上より ①『小品集(Drobnosti Ⅰ;Small things, vol)』1930年 ②『キャプテン・ブラスパウンドの改宗(Obraceni kapitana Brassbounda;Captain Brassbound's conversion)』1932年 ③『林檎手押し車(Trakar Jablek;The apple cart)』1932年 ④『結婚(Zeneni a vdavani;Getting Married)』1931年 ⑤『暗礁に乗り上げて(Na uskali ;On the Rocks)』1936年
過不足なく瀟洒なデザイン。しかもオレンジ色と無彩色の組合せとくれば、どこから見ても日月堂店主の好みド真ん中。へっへっへっ。店に並べたところでまた改めて画像なんぞアップさせていただきますゼ … なんていうのは邪道もいいとこでありまして、そんなことしている間もなく早く売れてくれるのを祈ってこそ商売というものなのであります。
■今週はこの他、1920年代のフランスの洋裁ノート(極個人的なノートです)、1960年代の仕立て服のカタログ4冊、『ラ・バイオネット』などで活躍していたフランスのイラストレーター J.エマールの挿画本5冊などが明日、店に入る他、店内奥に追いやっていたダンボールや縛りやらから出てきつつあるアレコレ - それによる店内の惨状は当ページ左上の「営業日案内」をクリックしてご覧下さい - が、順次店頭にお目見得の予定……は未定ですが、仕事あるのみ。なのでありますよ。はいはい。
■9月を目前にして、やっと秋の気配が感じとれるようになったと安堵したのもほん束の間、今日は盛夏による見事な逆襲にやられました。げんなり。さすがにもう勘弁してくれという気分。
うんざりした気分を反映してか、本日、更新用にと持ち帰った品物を眺めてみると、これがどうでもいいようなものばかり。いま手元にあるものと比べて、明日、店に入ってくる予定の商品の方が格段に良いのは火を見るより明らかであり、それを思えば気分はもう完全に、試合放棄の方へと傾いてしまいました。
毎週週末にこの更新を楽しみにして下さっている方が例えお一人でも居て下さる限り、なんだかんだとつべこべいわずに何かお見せするのが何よりの誠意というもの。そうであるとは分かっていながら、大変情けない次第ですが、新着品の更新は週明け月曜日とさせていただきます。
どうかお赦し下さいますよう、伏してお願い申し上げます。
月曜日は、その分も頑張ります!
■あ。店は明日、ちゃぁんと営業いたしますのでその点はご安心下さい。もちろん、来週、火・木・土曜日も! 画像の通り、キャビネット上の陳列替えなどにも着手しつつ、みなさまのご来店をお待ちいたしております。何卒よろしくお願いいたします。