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08/07/12 Information

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戦前、「りおでじゃねいろ号」で出かけた世界旅行の記念写真アルバム。

■先ずは大切なお知らせ。本日7月12日(土)は店の営業を午後2時からとさせていただきます。すみません。再度市場行かねばならず已むを得ず…何卒ご容赦のほど。来週は火・木・土曜、各日12時~20時で営業いたします。週にたったの三日なんですからねぇ…真面目にやりますスミマセン。 一般的にいってそろそろ夏休みの計画も固まりつつある頃かと思いますが、節約に節約を重ねても燃料サーチャージのお陰で来年のパリ行きも覚束なくなりつつある自分には国内旅行さえ夢のまた夢だぁ~。なんてことを考えていたもので。今週の新着品は先ず、『MEMORIES OF MY TOUR』と表紙に金箔押し、三方に金を刷いた分厚く立派な写真アルバム。昭和5年竣工、大阪商船所有の「りおでじゃねいろ丸」による船旅の記念品です。同客船上で行われた「赤道祭」(=画像左端)から始まり、インド各地を経てケープ・タウンを回り、ケニア、スーダン、エジプトと寄港の後ようやくロンドン入り。それでもまだ旅は続いてベルギー、プラハ、ドイツ各地、ローマ、ベルリン、ポーランドと欧州を巡った後にカナダを経てニューヨークから北米各地を訪ね、ハワイに立ち寄ってやっと日本に帰国。という旅程がこの一冊で一目瞭然。牛が寝そべるインドのオフィス街から摩天楼のニューヨークまで、気候風土も文化も慣習もいや文明さえ異なっていた土地をいっぺんに経巡るって、一体楽しいのかつらいのか…。これまでも戦前の洋行ガイドブックやパンフッレトなど、それなりに目を通してきたつもりですが、その旅路のこれほど遥かなことを、このアルバムほど強く感じさせてくれるものはありませんでした。洋行命がけ…「燃料サーチャージもユーロ高もまだまだ全然軽い!」と、渡航というものが色々な意味で「重い」ものだった時代によって諭されてしまった格好ですね。はい。

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杉浦善三著、大正元年発行『女優かがみ』は大正版タレント名鑑???

■がらっと趣を変えて、お次は杉浦善三著、大正元年発行『女優かがみ』。帝劇、新派、文藝協会等々座付き女優の名鑑です。顔写真、プロフィール、趣味・好物と寸評からなる構成は、現代のタレント名鑑とほとんど変わるところがありません。全員、「愛用化粧品」を細かに告白(?)させているところなど、現在発行されている女性誌のコスメ特集と全然変わらない気がします。ちなみに川上貞奴他数名の方がこの当時、愛用化粧品の「香水」の項で“オリジナル”と答えておりまして、いまの女優さんたちよりセレブ感を醸し出しております。森律子の「愛読書」は“北欧文学書”、栗島すみ子(この当時11歳!ジャ○○ズか?)の「嗜好物」は栗のキントン、この他「娯楽」に“松茸狩り”を挙げる者あり、「出身校」を華族女学校とする者あり…寸評にもインタビューが交じったりして、これが読み物としてなかなか楽しめるのでした。さて、画像にとったのは、この時代を代表する女優、松井須磨子と川上貞奴のお二人。本邦初の本格的舞台女優とされる松井について、著者は信州人としての粘り強さを持ち上げる一方で“決して世間で大騒ぎをする程の代物ではない”と断言。貞奴については海外での活躍と並んで「女優養成所を設立」して帝劇女優を生みだした功績を称えるなど、楽しめるといっても単なる提灯もちというのではなく、演劇通として類書をもつ筆者だけあって、一定の見識に基づいて記されたものといえそうです。今週はこの他、アダミの画集、アール・デコの彫刻作品集、1920-30年代チェコのアヴァンギャルド&ブック・デザイン展の図録など、主に洋書の美術書50点ほどが入荷いたします。先週は「七夕大市」なんて行かっなたことにいたしまして、明日はまた気持ちを切り替えて市場に行ってまいります!いえ勿論、市場の後は必ず!店に入りますっ!!

08/07/05 Information

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1949年発行『LES COSTUMES DE FANTAISIE』。バレエ、レビューなどの舞台衣装の参考にも。

■雨雲を払って現れた太陽は、いつの間にか夏への準備を整えていたようです。夏の間はさすがに色を塗り替えたくもなる小店ですが、来週も火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたします。ご来店のほど、よろしくお願いいたします。*7/12(土)のみ、開店が1時間ほど遅れるかも知れません。大変恐縮ですが、この日午後早目にお出掛けの際には、お電話で在席をご確認いただければ幸いです。 先週の『妖精の距離』に続いて今週は「明治古典会 七夕古書大入札会」で王道古書群の発するご威光に気圧されるばかりか、札を入れることさえ叶わないたぁっかい壁にあたって砕け、今週の新着品はやっと整理の終わった気軽な「紙モノ」からのご紹介。上の画像は1949年にフランスで発行された『LES COSTUMES DE FANTAISIE』。副題に、バレエ、レビュー、演芸、気晴らし(=日本ではさしずめ宴会芸か?)のために、とあります。A4の解説冊子30Pに全てカラーで印刷された衣装画10シートが付されたセット。衣装画は仮装、花、動物、植民地、各国民族衣装などテーマ別にまとめられ、1シートに12点を収めています。民族衣装のなかには、もちろん我が「日本」国も、キモノ姿の女性が(帯は蝶々結びで)出ています。この口には他にも「簡単に作れる!衣装」といったタイトルのカード集(といってもA4サイズで専用タトウ入り)が5点ほどまとまっていて、こちらはテーマ別の編集・作り方の解説図解ありの堂々たる実用書。考えてみると、日本では「簡単に作れる!春のニット」とかいうのは数多あるけれど、そして宴会芸が出世を左右しかねない時代があったらしいのに、過去から現在まで、衣装に関する実用書というのを見たことがありません。彼の国で、これらは一体何のために幅広く用意されていたのか…?多分、このあたりにも文化の違いが表れているものと思われます。

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1950年代、エアライン各社の航路地図と欧米都市の地図、ガイドブックが一挙に入荷。店内旧在庫と入れ替えて分売いたします。

■画像2点目は1950年代に欧州各国からアメリカ、さらに南米へと世界を一周してきた日本人が持ち帰った紙モノ一式から、エア・フランス、スイス・エア、アメリカン・エアラインの航路地図とシュツットガルトの交通案内、そして畳んでしまうと8cm四方に収まってしまう「ホテル・パリ」オリジナルのパリ市内地図。航空地図を眺めていると文字と色、イラストもしくは図版とで大きな画面を支えるデザインの力には、改めて感心させられるとともに、表現の大部分を写真に頼ることの難しかった時代の方が、むしろ優れたデザインが生まれていたのではないかと思えてきます。この手のものでも1950年代のものがまとまって出てくるのは珍しい上に、この一口にはこの他にもペイネが表紙を描いたフランスのガイドやあのミシュランを完全にパクッたルノーのレストランガイド、カフェ・ドームを始めとするカフェ・レストランのメニュー、これまであまりお目にかかることのなかった南米のドメステック・エアラインの案内各種などなど、かなり面白いものが残されていました。旧在庫分と入れ替えて、いずれも店頭で分売いたします。とまぁ、「妖精」とも「七夕」ともあまりに対照的な今週の新着品は「フン。面白いものは他にいくらだってあるもんね」という負け惜しみと開き直り、いずれにしろ我ながら前途にさらなる不安を感じたりなんかしながら、というのも買えないのはいまだに付き纏う知識・能力・経験に加えて資金力の問題であり、買えたら買えたでこちらも“やれやれ。いまだに”の支払い能力の問題が直ちに浮上するわけで、これほどの無駄はあるまいという無駄な鉄砲を承知の上で参戦だけはしてきた「七夕」の落札結果は日曜までおあずけ。結果のほどは……来週の新着品からご推察ください。

08/06/28 Information

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『XXe SAISON de Serge de Diaghilew 10 Galas des Ballets Russes』。1927年、サラ・ベルナール劇場で開催されたバレエ・リュス公演の公式パンフレット

■今週月曜日、市場出品のためにお客様からお預かりしたご蔵書が3t車で1.5台分…ご同業のご協力を得つつ、今週から当面週に二日は古書会館に引き籠っての仕分け作業が続きますが、来週も店は火・木・土曜日、各日12時~20時で営業いたします。かつてはお客様宅にお伺いしたところで量に圧倒されたり分からない本にとまどったり、素直に「これは無理!」と思たりしたものですが、最近では「まっ。どうにかなる。」と思えるようになったのも十余年の古本屋歴の賜物か。心身ともに少しは頼もしい古本屋になったもんだ。といいたいところですが、いまだに不案内な本多数、つい四ヶ月前には肋骨を疲労骨折…何とも怪しい。年々厚くなるものはといえば-腹の辺りの贅肉と、何よりツラの皮ばかりでございます。 さて、今週は久しぶりにパリからの到来品あり。新着はともにそのなかから。上は『XXe SAISON de Serge de Diaghilew 10 Galas des Ballets Russes』。1927年、サラ・ベルナール劇場で開催されたバレエ・リュス公演の公式パンフレットです。5月27日から6月9日までの期間中に10回の公演がもたれ、エリック・サティ作曲の「メルキュール」、そしてプロコフィエフ作曲の「鋼鉄の歩み」の二演目が初演された公演です(ともに振付はマシーン)。日別演目については扉に記載があり、また、小店でこれまでに扱ってきたパンフレット7点のなかでは、珍しく舞台美術まで写り込んだ写真が7点と比較的多く掲載されています。上の画像中の右下・横に長い写真は「ロミオとジュリエット」の舞台から、ずらっと並ぶダンサーたちの足元だけを撮影したもの。こういう洒落っ気も嬉しいではありませんか。この他、今回画像にとったのは左からイラストで構成された表紙、マシーン、バランシン、構図が素晴らしいウィジコフスキーのそれぞれ肖像、そしてマン・レイ撮影によるリファールのコスプレ(?)と、いまから82年前の綺羅星の如き布陣。来年はバレエ・リュス初演から数えること100年。ユーロ高、燃料税の重圧をはね返してパリに行くためには……働きなさい。

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ブレネレスキのイラストをあしらった1927年発行「トゥーランドット」より「泣くなリュー」の楽譜。

■同じ舞台でもこちらはオペラ関係。日本では荒川静香とパバロッティの口パクでも知られるようになったプッチーニの「トゥーランドット」より歌曲「泣くなリュー」の楽譜。1927年の発行で、深い紺を地色に金をあしらった中国趣味のイラストは当時、挿絵本でも活躍していたブレネレスキが手掛けています。以前、プランタン百貨店がやはりシノワをモチーフに作った「アジャンダ」でも、この人の仕事を見ていますが、確かにシノワを描かせると上手い。画像では残念ながら金ベタにしか見えない部分にも雲霞や鱗の地模様が敷かれるなど、この楽譜でも細部にわたるこだわりを見せています。日本でも、セノオ楽譜の竹久夢二を筆頭に、杉浦非水、恩地孝四郎、斎藤佳三などなど画家や商業デザイナーが手掛けた楽譜が多く見られますが、おそらくこれは音楽が「趣味」として広まった近代の一現象を背景としているものであり、たかが楽譜のペラ一枚の後ろにも、間違いなく潜んでいる何かがあります。この他、パリからはこちらもイラストがなかなかのエメリヒ・カールマン作曲オペレッタ「Die Baiadere(インドの舞姫)」の楽譜、藤田嗣治がジャケットを手掛けたダミアのレコード、カッサンドルの扇子(赤)、ニコラのワインリスト、ベトナム反戦ポスターなどが入荷。また、ビバンダム君が昔の姿で出ています1910年代ミシュランの観光ガイド2点、『ニジンスキーの舞踊芸術』(クララ社版)、戦前映画広告集4冊などが今週から来週にかけてお披露目となる予定。店は棚も引き出しも入れ替えを始め、溜まっていた紙モノの整理にも漸く着手いたしました。気が向いたら覗いてやってください。

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