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08/05/10 Information

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村野四郎著、昭和14年アオイ書房発行の限定500部本『体操詩集』。構成は北園克衛。

■極小倉庫に積みっ放しだった本と自宅に堆積していた紙モノと今月発行の目録品整理に明け暮れましたよGW。さあ気持ちを立て直して。来週は火・木・土曜日の各日12時~20時で営業いたします。ご来店のほど、よろしくお願いいたします。 どれにしようかと迷った今週の新着品、最初は村野四郎著、北園克衛構成『体操詩集』。昭和14年、アオイ書房発行の限定500部本。スポーツをモチーフとした村野の詩19篇に、各種スポーツ写真を添えて構成した41Pです。写真はレニ・リーフェンシュタール、パウル・ヴォルフのベルリン・オリンピック写真集からとられたとされ、がしかし、この二者・二冊の写真集に載っていないカットがあるのだと、ある研究者の方に聞かされたのももう随分前のこと、いま参照すべき二冊が手元にないのが悔やまれます。昨今はとくに「北園本」として扱われることが多く、しかも私たちの世代の不幸とでもいうべきか、村野四郎といえば「国語の教科書にのってるセンセイ」の印象が強く、つまりビジュアル以外は面白くない。なんて思っていたら見当違い。「やがて一人が頸だれると/一人が孤独のやうに残される/嵐の中にふるへながら/すると急に/世界が扇のやうに閉つてくる」(拳闘)、「僕には愛がない/僕は権力を持たぬ/白い襯衣の中の個だ/僕は解体し、構成する/地平線がきて僕に交叉る」(体操)などなど、少なくともこの詩集はこんな調子が貫かれます。青白く俯く詩人のイメージと、それとは反対のスポーツ。4/24付のこの欄ではスキー・メソッドをご紹介しましたが、機械やスピードやリズムの延長線上にスポーツが発見され、新しい表現もしくは表現における実験に重要なインスピレーションを与えた時代があったのは確かです。で、ここからは蛇足。最近漸くスポーツ観戦の面白さに目覚めた私は、ひとつのゴールやある記録を希求し、その一点で身中に力を撓め、力の解放の後にはしかし、厳然として分たれる勝利・敗北をも身一つで受け止めねばならないスポーツ競技-とくに個人競技というものは、間断のない生(=過程:勝利)と死(=結果:敗北)との往還なのではないかと、最近はそんな愚にもつかないことを考えます。勝とうが負けようが、全力を尽くしたゴールは清々しく美しい。多分、それは人生も。なんて格好をつけましたが、何だか知らないうちについゴールを考えてしまうトシになっていたということであり、そうとでも思わないかぎり入札さえ覚束ない古本屋稼業ではあり―せめて目指したいゾ負けても清々しい入札 ……そんなもの、ないか。

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「ラジオシティ・ミュージック・ホール」1936年のパンフレットとミュシャの絵を石版刷りにした栞状のカード。

■……一抹の虚しさを覚えつつもさて。お次は久しぶりの戦前・海外渡航者の残した旅の記録一括から、N.Y. 「ラジオシティ・ミュージック・ホール」1936年のパンフレットミュシャの絵を石版刷りにした栞状のカード。このカード、裏に印刷はなく一体何を目的に作られたものか今のところ分かりませんが、もしラジオ・シティにある日付と同時期のものだとすればミュシャ生前に刷られたものということになります。この一括にはツアーパンフだけでなく石鹸の包装紙や商標類なども混じり、一体どういう人物だったのか、渡航目的は何だったのかなど想像するヒントが残されているのがちょっと楽しみ。明日以降つぶさに検め、順次店頭でご紹介いたします。新着品はこの他、アール・デコ期のテキスタイル図案集(石版多色刷)プレート約40点、英国から日本まで当時の世界各国王室御用達・宝飾品と金銀製品メーカー『MAPPIN WEBB』の戦前・総合イラストカタログ日本郵船の船内メニュー7点、戦前・中国木刻作品集から、各種生糸・絹糸の色見本帖なんてものまで。ただいま即売会準備中につき、新着品に手が回らなくなりつつありますが、少しずつでも店頭でご紹介してまいります。 最後にお知らせを。小店一年ぶりの出展となる即売会「地下室の古書展(=アンダーグラウンド・ブック・カフェ)」が近づいてきました。詳細は同展専用サイトをご高覧のほど。また、同展に先駆けて発行される目録については、小店分のみ再来週にはこのHPにもアップいたします。こちらもご笑覧いただければ幸いです。さらに、5月20日=再来週の火曜日は「洋書会大市」のため店は臨時休業もしくは夕方からの営業となります。改めてご案内いたしますが、ご注意のほどお願い申し上げます。

08/05/02 Information

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『GAZETTE DU BON TON(ガゼット・デュ・ボン・トン)』より、左からポール・ポワレ&アンドレ・マルティ、ウォルト&シャルル・バルビエ、ヴィオネ&タヤートによるファッション・プレート

■GWに入り、5月3日(土)は12時~20時で店を開けますが、5月4日(日)より7日(水)の間、店はお休みをいただきます。来週は8日(木)・10日(土)各日12時~20時の営業となります。またしても勝手気儘な営業でご不便をおかけいたしますが、ご来店いただければ幸いです。 先週、少し早目に更新したため、今週は市場2回分の落札品から。先ずは今週初めから店に出し始めた『GAZETTE DU BON TON(ガゼット・デュ・ボン・トン)』1921~24年発行の内の4冊。若くしてパリ出版界で頭角を現したルシアン・ヴォージェル(日本ではこう表記されるけれど、今回改めてよく見るとLucien Vogel、正しくヴォジュル…?)が、この雑誌のためにオリジナルの活字(=書体)を用意するところから始めたというアートとモードの融合した高級婦人雑誌です。創刊は1912年、第一次大戦中の休刊期をはさみ1925年の終刊までに70号・69冊が発行されました。ポワレ、ウォルト、シャネル等によってファッション界に一大革命がもたらされた時代、やはり同時代にパリで活動し始めていたイラストレーターと、そうしたファッションとを結びつたところにこの雑誌は生まれました。毎号巻末に添えられるポショワールを多用したファション・プレートはその精華。上の画像は今回落札した4冊のなかから左はポール・ポワレ&アンドレ・マルティ、右はヴィオネ&タヤート(=タイアート、未来派の画家)、そして中央がウォルト&シャルル・バルビエによるプレートです。この他、この4冊の中だけでも、ルパブ、シャルル・マルタン、ルーポ、ブリッソー、ベニト等々、フランス挿絵本黄金期の挿画やアール・デコ期のグラフィック・デザインとも重なる錚々たるイラストレーターが腕を揮っています。これらプレート以外にも、例えば旅の提案あり、教養的読み物あり、時に自動車メーカーとのタイアップありと、「雑誌」としての記事があるのは当然としても、記事頁に至るまでマルタンやマルティをはじめとするイラストレーターの挿絵が、しかも手彩色で添えられています。過去から現在まで、世界中に数多あるモード雑誌のなかでも飛びぬけて贅沢で優美なこの雑誌、パリに行けばいやでも目する王道モノ。「美しい!」という以外に言葉もひねりようもないのが王道モノの所以ではあり。あとは店頭でご覧いただければ。唸りたくもなろうかと…。

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昭和30年代初頭の『東芝通信』21冊から。昭和レトロな家電製品他図版多数。

■こういうのを見てしまったあとに見ると…時代というもの、「前」へと進むばかりではないんだなぁと思…。はい。気をとり直して。お次は5/2落札したての『東芝通信』。いずれも昭和30年代初頭に発行された極美・21冊。画像の3点の内、絵本のようにも見える上下2冊の表紙は当時新進作家で日宣美会員・石川三友の作品。中はと見れば、そこはPR誌らしく自社新製品の詳解が多数を占めるわけですが、いまと違ってお手入れ方法では徹底的に「解体」までして見せてくれ(…企業秘はないのか?)、「ラジオとテレビとでは一体どこが違っているか」(説明必要か?)という記事があり、百貨店では「奥さまのための電気展」(於日本橋三越!写真あり)が開かれ、映画「蜘蛛の巣城」で“マツダ超大型閃光電球使用!”が謳われ、「東芝初荷」のシリーズ記事では業務用自動車が隊列をなして各地を訪ね、行く先々大歓迎される様子が写真のコマ送りでレポートされ、と、まぁとにかくどの頁をとっても溢れかえるようにいま日本人が戻りたがっていると聞く「あの時代」を強烈に感じさせてくれます。表現・センスは雲泥の差ながら、『ガゼット・デュ・ボン・トン』の贅沢さにせよ、『東芝通信』に見られるある種ののどかさにせよ、戻りたがったところで戻れるわけのない時代を鮮やかに目の前に示してくれる、という意味では等価値といえます。時代を映したモードもモノも、例えそれ自体が残らずとも、紙の上にはその姿を、存在したという確かな証拠を、残してくれています。「雑誌・カタログ・見本帳-モードとモノの紙上遺産」-いつか、そんな目録が作れないものかと考えています。ただし。そこはそれ、構想倒れの日月堂。予定は未定なんですが。 そうはいっても予定は未定ばかりではなく。何とか目録締切を乗り切った「地下室の古書展(=アンダーグラウンド・ブック・カフェ)」が6月1日からスタート。今回も佐野繁次郎、そして林哲夫さん関係の展示から落語会までさまざまな企画とともにお届けします。詳細ご確認の上、要予約分についてはお早めに。また、目黒・ジェオグラフィカさんでは5月11日(日)まで、ただいまアニバーサリー企画の真っ最中。店を休む日月堂は?といえば、いよいよ近づく「地下展」に向けて溜まりに溜まった紙モノの整理・値付けがあぁ……明日も明後日もその次もそのまた次も…やれやれ。今年も仕事三昧のGW。せめて皆様には「どうかよい休日をお過ごしください!」

08/04/24 Information

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1947年発行の『HOW TO SKI BY THE FRENCH METHOD』より。エミール・アレのスキーテクニックをピエール・ブーシェの卓越した写真・デザインで示す。

■GWと来週月曜日の目録原稿締切を控え、今週は少し早めの営業ご案内と新着情報更新です。今月から5月二週目までの間の店の営業日は4月24日(土)、26日(土) 、29日(火)、5月3日(土)、5月8日(木)、5月10日(土)の各日12時~20時とさせていただきます。5月1日(木)と5月4日(日) ~7日(水)はお休みをいただきます。10日過ぎのスケジュールはまた追ってお知らせいたします。GW営業日中、祝祭日は二日。少ない営業日で恐縮しつつ、ご来店をお待ちいたしております。 それでは新着品…のその前に。紙モノを中心に小店商品を置かせていただいている目黒のジェオグラフィカさんでは4回目のアニバーサリー企画、GW期間中の4月26日(土)~5月11日(日)「travel on paper .2e」が開催されます。会期中はパリの写真展、フランスの骨董市にまつわる講座、プレゼントやポイントアップなど盛りだくさんの行く価値大。小店からもツアーパンフや地図、絵葉書を中心に、旅にまつわる商品を新たに投入いたしました。。「ご持参の方先着100名様にプレゼント!」のDMは小店店頭にもご用意いたしております。詳しくはこちらでご確認の上、この機会に是非お出掛けください! ■まだまだ続くゾこれでやっと今週の新着品。狙ったもの、勝手知ったものばかり買っていても古本屋に成長なし。改めてそう痛感することになったのが上の画像、『HOW TO SKI BY THE FRENCH METHOD』1947年発行・初版カバー付き。英文ですが発行はパリ。タイトルの示す以外の何物でもない、スキーに関するハウツー本。カバーも表紙も何てことない地味なつくり。しかし。なのに。開いてビックリこのグラフィック処理!関係者の顔写真を並べた最後の1頁まで、ほぼ全頁この画像の調子で続きます。いやこれは。久しぶりに売りたくない本と出合ってしまいました(売りますけど)。それにしても何故、スキー本でここまで。お手本を示す被写体はフランスのエミール・アレ。運動全般一切無縁な私が知る由もなく、しかし検索してみるとこの人、いまでもその世界では有名なスキーヤー。この本に収められた写真も、スキー技術に関連したサイトで引用されていました(グラフィック、写真関係では発見できず)。写真で捉えられた一瞬一瞬の動きは確かにとても美しく、技術あっての美しさなのだろうと納得。では、それをさらに高めて見せているのであろうこの見事な写真を撮ったのは? そして構成主義風のグラフィック・デザインを手掛けたのは?―これがともにピエール・ブーシェの仕事でした。おおおっなるほど。戦前からシュルレアリスムを代表する写真家の一人に数えられ、フォトモンタージュに長け、機械主義や構成主義的な作品でも才能を発揮したブーシェは、スポーツ写真にも才能を発揮していたというわけです。思えばリズムやテムポと多分同程度に、スピードだってアヴァンギャルドにとっては大切なキーワードだったのに、スポーツは完全に見落としてました。アレのフランス・メソッドは戦前・戦後とも日本で翻訳本が出版されており…全然知らなかった…こうしたビジュアルが反映されているか否か、今度はそちらまで気になってきます。偶然手にすることがなかったら、この本など多分一生知らず、スポーツという分野にもきちんと眼を開いておかねばなんて思うこともなく― 私が冷遇していたものが、他でもないその私にものを教えてくれることの有難さに感じ入った次第であります。

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1938年発行『TRAVEL IN ITALY』の表2、表3対向ページに隠されていたデザイン。

次の新着品もつい最近まで知らなかったイタリアの観光振興雑誌・英文タイトルを『TRAVEL IN ITALY』といいます。いま手元にあるのは1938年発行の第6巻9号。名取洋之助の『TRAVEL IN JAPAN』とタイトルばかりか内容やテイストまで似ておりまして、率直にいって他愛のない観光写真やありがちな文化紹介が大多数を占めるのですが、そうしたなかに「ううーむ」と唸らされるデザインが突然出てくるという…例えば画像の向かって左は表2、右は表3対向なんていう、これまた開いて見ない限り分からない位置に隠されていたデザインです。画像に表紙を出さなかったのは、この号の表紙が何を思ったか葉祥明的メルヘンタッチ(←分かるか分からないかトシが分かる)で、この2点の画像とは全く調和がとれないから。一種公的な刊行物なので広告が入ることもなく、一貫したトーンは保てたはずなのですが。思えば大胆なつくりではあります。この雑誌、実は数週間前にある程度まとまって市場に出た時に、イタリアものに詳しいご同業に「これは評価の高い雑誌なんですよ」と教えていただいたばかり。もしそれがなかったら偶然落手したこの雑誌― 表紙が表紙なもので―珍しいとは思っても、 軽ぅーく扱っていたのではないかと思います。知らないものに教えられ、開いて見て初めて知るものがあり。本であれ雑誌であれ、不断にそして注意深く、まだ知らないもっとたくさんのものを見なければと、基本に立ち返る今週の新着品でした。次回の新着はいつも通り、来週金曜日を予定いたしております。但し、目録が締め切りに間に合えば……(沈黙)。 ■今週はもうひとつ。ここのところ目録モクロクと騒いでいるのは即売会「地下室の古書展 vol.11」の準備であり、6月1日(日)~3日(火)・神田の東京古書会館で開催される同展に、小店としては一年ぶりに参加させていただきます。アンダーグラウンド・ブック・カフェの愛称で、イベントや講座、雑貨・アート系グッズの販売なども行うユニークな即売会として親しまれてきた同展も今回が最後。最終回ももちろん、にぎやかな企画とともに皆様をお迎えいたします。佐野繁ファン、落語好き必見の詳細はこちらから。目録づくりから始まり最終回の最終日まで。小店も手を抜くことなく務めます。どうぞよろしくお願いいたします。

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