■先週の更新で触れた通り、今週は新着品ご紹介はお休みさせていただいて、来週の店の営業のご案内を、といったところでいつもと同じく火曜・木曜・土曜日の各日12時から20時でやってます。締切が今月22日に控えている目録原稿をからだのあちこちぽりぽり掻きながら書いているはずの日月堂なので、店主のちょっかいから逃れて店内をゆっくりご覧いただける大層珍しいこの機会に、ご来店をよろしくお願いいたします。
■すでに発症から五週目に入った じんましん。今週得られた血液検査で示された結果といえばスギとヒノキに対する反応だけで じんましん につながるようなアレルゲンは検出されず、とはいっても かゆさ のために眠れない夜が続いているうちに今度は腕や足が熱をもって腫れてくるし、さすがにこのままだとまずいんじゃないかと思い、寝不足から市場に行く気力も尽き果てた金曜日、3軒目に辿りついた病院でようやくはっきりと告げられた病名が「慢性蕁麻疹」、そして部分的に表れている「血管神経性浮腫」というものでありました。でその原因は、と尋ねてみれば「一に疲労二にストレス」という先生のお見立てで、現下の景況のなかてんで売れない古本屋をやっている個人事業主にとってはダニにホコリに大豆に卵などのアレルゲン除去よりよっぽど厄介な原因ときては、まだまだずぅーっと長引くことになりそうです。やれやれ。
■このままだではどうにも不景気でいけません。なので画像を1点だけ。絵半切り(?)の『春夏秋冬』と一人雑誌『あのな』は以前新着品でご紹介済みですが、もう一点は、即売会用の荷物を整理していたら出て来た『莫迦経』なる代物。鵜飼昌平著、大正13年・フタバ藝術社発行の驚くべきことに重版で、東京市牛込区・莫迦宗阿羅漢山宗寮というところのお経(のパロディ)というわけです。「春夏秋冬」「莫迦経」「あのな」と妙に落ち着きよく据わったところで、はい。今週の打ち止めとさせていただきます。
■依然として話をし始めると延々とキリのない「かゆい」話はさて措いて、今週は新着品のご案内を、けれどやっぱり駆足で。最初の画像、左側の3点は『資生堂 御家庭暦 1931』で、およそ7~8年ぶりになろうかという小店久々の入荷となりました。資生堂のチェーンショップを通じて上顧客向けに配布されたものと思われるB6の薄冊冊子ですが、表紙は布装、山名文夫による繊細かつ瀟洒なイラストレーションを4色刷で巻頭4Pにわたってあしらい、パリのエトワール広場、ニューヨークの摩天楼、そして資生堂のある東京・銀座という世界3大都市を背景にフォトモンタージュの手法で商品を紹介するなど、そんじょそこらの配りモノとは一味もふた味も三味も …… とまぁ、“資生堂ブランドならでは”の産物です。
『御家庭暦』が間を開けながらも小店3度目の入荷であることを考えると、今回が初見のこちらの方が珍しいのかも知れない『銀座みやげ』が画像中の右2点。無刊期ですが、モデルに水の江瀧子の姿が見られることから1930年頃のものと思われます。これまたB6サイズで48Pほどの冊子ですが、こちらは松竹や日活の女優さんたち女性モデルと商品だけをモチーフに、徹底的にグラビア表現を利用した写真冊子となっているのが面白いところ。しかもその写真、なかでもモデルのからまない商品写真が、どれをとっても全て非常にスタイリッシュないわゆる“新興写真”調だというのもまた、資生堂だからこそ可能だった表現だと云えそうです。
資生堂についてはもう1冊、大正13年(1924)年の奥付のある菊半裁判の冊子『化粧』も入荷。こちらはお肌の手入れなど美顔術と化粧法について、主に説明文によってまとめられたものです。
■画像2点目の得体の知れない代物は、戦前の百貨店宣伝部勤務を皮切りに、戦後まで長く第一線で活躍したグラフィック・デザイナー、今竹七郎のオブジェ作品『虚と実 False & Real Image』です。制作は1977年、今竹72歳の頃の作品で、海を渡り作家自身に宛てて届けられた雑誌『GRAPHIS』の包装紙にフロッタージュによって(…? おそらく)図版をあしらっておき、発砲スチロールを石膏で固めた台に、これをコラージュし貼り合わせたもの。市場で、今竹ともオブジェともまずほとんど関係ない冊子・書籍の束から出現したのを最初に表から見た時には一瞬何のことか分からず呆気にとられましたが、表側に欧文による作品名と署名、制作年度が鉛筆で書き入れられている他、裏側にタイトル、署名、制作年を書いたカード - ご丁寧なことにこのカードにもエンボスで「IMATAKE」と入っています - が貼り付けてあるという念の入れようで、初めて意味が分かりました。市場で何度も確認し、帰宅してから何度となく眺めたものの、一体何を描いているのか一向に判然としないフロッタージュ部分を含め、相当に“珍品”であることだけは、間違いございません。
■映画関係書籍20冊、『ソヴェートロシヤ漫画ポスター集』、戦前の木版刷りバティック文様プレート集、1950~1960年代仏英ファッシン雑誌及びファッション関係図書5本口、1960~1970年代・社内誌『かたばみ』・CIマニュアル他 西武百貨店社内関係誌等3本口、などが明日、店に入荷いたします。
■来週にはもう11月、そして11月22日は来年1月下旬に開催される「銀座 古書の市」目録原稿の締切日と、小店、早くも2012年に向けた仕事を始める必要に迫られております。即売会の目録締切に加え、蕁麻疹への対処がまだはっきりとしていないことなどもあって、11月中の「new arrival」更新は不定期となる可能性があります。店の営業案内の更新は引き続き週1度のペースで行いますのでご参照いただければ幸いです。新着品のご案内も11月下旬からはまた、定期的に更新してまいります。今年も早いもので年内更新も数えるほどとなりますが、お見捨てなくお付き合いのほど、何卒よろしくお願いいたします。
■そもそも。数日で治まるものとタカをくくっていたことが。間違いの始まりで。もうすぐ1ヶ月になろうかというのに。まさかこんなに長引くことになろうとは。何しろ「かゆみ」というのが。かくも難儀なものとはいわゆる想定外で。ここ数日は睡眠にも困難を来す始末。集中力など持続するはずもなく。いまもこの短い「。」から「。」の間に。あくまでやさしくポリポリ。掻き壊さないように用心しいしいポリポリポリ。と息継ぎのように「かゆみ」を宥めているような状態では。新着品のご案内など到底書き上げられそうになく。本日は「かゆい」ために。何としたことか前代未聞。「かゆみ」ごときのために。新着品のご案内を。お休みさせていただきます。かくのごときテイタラクは。噫情けない哉。何としても。くくくうぜんぜつご。に。したい。です。
■パソコン睨んで考え込んでいるより店に居て体を動かしている方がまだ少しはラク。なので。画像は今週、商品と陳列をガラリと変えてみたキャビネット上の様子です。茶色い巻紙のように見えるのが柿渋紙に手仕事で意匠を彫り込んだ伊勢型紙。キモノや布地を染めるために使われたものです。入荷100有余枚はいずれも比較的大きなもので、くるくると巻いたのを立てて中に裸電球か何かを灯せば、そのまま洒落た照明にもなりそうです。もちろん額に入れるのもよし。国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館では、奇しくも11月18日までこれと同じ柿渋紙の型紙を展示する「型紙のデザイン」を開催中。こういう偶然は珍しいことで、小店ではどうぞお気に召したものを実際に手にとってご覧下さい。あ。型紙手前の箱の中や紙の束は、糊付けされる前の薄葉紙の封筒が5タイプほどとタグなど文具系の古い紙モノ。こちらも今週になってやっと店頭に並べることのできたものです。
■型紙の展覧会開催を知ったその翌日のこと。同じく朝日新聞夕刊に、原爆に関する表現がGHQの厳しい検閲下にあった終戦直後、歌人・正田篠枝の原爆を歌った短歌と歌集の出版にまつわる記事が掲載されており、その記事の中で件の短歌の初出が「ある歌誌」であると言及されているのですが、この「ある歌誌」というのが こちらや こちらのNo.52 でご紹介した『不死鳥 第7号』のことでありまして、二日続けてのこんな偶然にはちょっと驚きました。がしかし、いまはそんなことよりモンダイは「かゆみ」です「かゆみ」。絶煙後の依存先としてバリバリ食した黒豆が原因か賞味期限切れしていたクラッカーのモンダイかはたまた古本屋につきもののホコリに起因するものか原因が特定されればされたで何だかとっても淋しいあるいはとっても困ったことになりそうな予感を抱えつつしかし来週には大きな病院に行ってきますと末尾は勢いだけで何とか乗り切ったあ今週はこれでげんかいいいいっ。