■珍しく勤勉な日月堂、今週・来週も火・木・土曜日の12時~20時、23日も含めて営業いたします。クリスマス・イルミネーションも復活した表参道にお越しの際は、ついででいいのでお立ち寄りください。雑書目録も随時更新中! ■さて新着品。先ずは先週開催された「資料会大市」の落札品から。三越製の写真アルバムやらドイツの裸体運動の本(…つい手が出て)やらまたまた有象無象買った内、画像は戦前の映画館週報。一ヤマ落札したなかでの狙いはとくにこれ。赤坂溜池にあった映画館・葵館発行の「Aoi Weekly」で、表紙は村山知義が描いています。村山の手になるものは6種7点あり、戦前の映画館の週報はそれなりに扱ってきたつもりですが、村山の手掛けたものをこれだけまとまって目にしたのは初めてです。『マヴォ』等新興芸術運動、構成主義、左翼演劇、そして絵本など、村山知義の残した豊かな足跡からすれば僅かな一角ですが、こうしたささやかな仕事を見つけることが、小店のようなささやかな古本屋には最も相応しい仕事なのだと改めてそう思いました。
■続いて明治古典会の落札品からのご紹介。足元ばかり照らしていると、時々、首が痛くなって、たまには“王道もの”を見上げたくなるもので、買ってしまった加納光於と若林奮のオリジナル入り限定本。ともに1977年・林グラフィックプレス製作・発行の「block notes」のシリーズです。加納光於『塩の柱、あるいは舞踏衣装のためのCODEX』は限定97部内No.10、二分冊でほぼ全頁カラー・インタリオ(≒デカルコマニー)のオリジナル作品によって構成されています。若林奮『SOLUTRE』は限定100部内No.82、オリジナル銅版画1点と若林によるテキストによって構成された折帖本です。二点とももちろん署名入り、各々限定数や落款の入った専用の封筒等も付いた完本です。明治古典会ではこの他、『イメージの翼・細谷巖アートディレクション』『イメージの翼2・〃』(ともに細谷巖の献呈署名・識語入)、待ってましたの『ディアギレフ ロシアバレエ団とその時代』(上下揃)なども新入荷、一部は「雑書目録」にアップいたしましたのでご参照いただければ幸いです。 ■年内はまだ最低でも2回、しかもその内一回は「明治古典会クリスマス大市」なんていう何やら楽しげな、しかし実態はといえば最低入札価格1万円からの“年内最後までむしられる”市場があり。「宵越しのゼニは持たねえ」といったところでせめて餅代程度は残しておきたく。どうなる!日月堂。その顛末はまだまだ続くこの「infomation」を通してご推察ください。やれやれ。
■来週も店は火・木・土曜各日12時~20時、営業いたします。12月に入り、クリスマスのイルミネーションがあちこちで見られる表参道。お近くにお出かけの折には、小店にも是非お立ち寄りください。日月堂も赤一色でお迎えいたします(ただし年中)。 ■今週は新着品多数!! なのですが、先週が不可解だったので今回は分かりやすそうなところから2点。 左の画像はハーバート(=ヘルベルト)・バイヤーの『book of drawings』。1961年にシカゴで発行されたドローイング集は未綴のリーフで42作品を収めています。鋭い描線の構成的な作品があるかと思えばパステルのぼかしを生かした詩的な作品ありと、その多才さが際立つのに加え、作品タイトルも「wall in the sun」「soft beat of time」はたまた「devil's kitchen」ととても洒落ています。テキスト、作品タイトルは当然としても、バイヤーの直筆原稿(本文中は印刷)に至るまで、欧文の「大文字」が一切使われていない徹底ぶりには、ちょっとニヤリとさせられました。
■続きましては右の画像。1909年にロンドンとニューヨークの版元から出された 『MODES & MANNERS OF THE NINETEENTH CENTURY』3巻本で、1790年から1878年までの流行とファッションについてまとめています。花布は手編み、タイトルは金箔押し、見返しはマーブル紙の堂々たる半皮装・ルリユール本は「これぞ洋古書!」の佇まいです。本文中には手彩色のファッションプレートが77点綴じ込まれています。このように時系列で眺めてみると、18世紀末と19世紀末とで女性のスタイルの大枠がほとんど変わっていないことに改めて驚かされるとともに、20世紀の初め、ポール・ポワレやシャネルやビオネがもたらした「革命」がいかに衝撃的なものだったか…どうやら私の場合はそこにつながってくるようです。この本に描かれた多くの女性(=美人像)のウエストの細さといったら…私のウエストは軽ぅーく6倍は(もっとか)あり…ポワレよあなたは私の神だ。 ■この他、洋書挿絵本にちりめん本、「少年未来双六」、現代美術の個展の図録冊子のひとヤマ(70点くらい?)など、店に出すべく明日より早速作業の予定。年末に向けてもうひとふんばりいたします。雑書目録も引き続きデータ更新中ですので、併せてよろしくお願いいたします。
■先ずは店の営業御案内。来週も再来週も、火・木・土曜の12時~20時の営業であります。また当HP「雑書目録」も追加作業継続中につき、乞御来店・乞御高覧御願い申し上げます。*「雑書目録」の再入荷品については、新着順では出てまいりませんので、「検索」機能も併せてご利用ください。 ■未確認情報ながら。『現代用語の基礎知識』の最新版に「印刷解体」という言葉が載っているとお客様に教えていただきました…「!?ホンマ!?!?かいな。」とまだ半信半疑ながら、そうだとするとこれはちょっと嬉しいことではあり。それもこれも多くの方たちのお力添えによるもので、改めて感謝申し上げます〈といったところで続き〉11/25、確認することができました。南駝楼綾繁さんが書いてくださっていたのですね。最近の古本界の流れが簡潔にまとめられていて、ナンダロウさんらしい目配りの利いた記事。そんなところに加えていただいて…ナンダロウさん、本当に有難うございました!!
■そして今週の新着品から。とりあえず1点を。長野千秋監督による大野一雄の舞踏映画『O氏の曼荼羅 遊行夢華』のプログラム…です…多分。というのもこの映画の上映記録を調べてみると、新国立劇場の日本洋舞史年表によれば1970年12月。一方、大野一雄舞踏研究所ではこの16mmフィルムの完成を1971年としており、明らかな齟齬があります。件の品物はといえば、それ自体に奥付などクレジットの記載はなく、左の画像一番上、四谷シモンの作品中に「1971 5.31」とあるのが唯一の手掛かり。そんなこんなで、一体何時、何の目的で作られたものなのかは断言できません。新国立劇場の収蔵品にも当品は見当たらず、これで完本かどうかも…うう。うーむ。とまた唸ってしまうモノを買ってどうする日月堂。しかしながら。和紙のタトウの装丁は谷川晃一、中に収められた未綴じのリーフは四谷シモンと前田常作の図版が各1葉、テキストは加藤郁乎1葉・土方巽は三段組で2葉と力が入り、さらに英文の梗概がついて全6葉がすべて片面印刷と「単なる映画パンフレットとはワケが違うでしょ。」という品物ではあり、これはこれとして、明日より店頭にてご紹介いたします。