「バルビエ×ラブルール展」の便乗企画、小店店内で開催中の「リュシアン・ヴォージェルの仕事から」の様子。壁面に額装した『スポーツと気晴らし』は廉価版の方で、マルタンのフルヴァージョンの価格とは1桁違うお買い得品。
■本日は先ず、ご報告と御礼を。4月21日付でこのページに書いた「活字文化を支えてきた『活字』そのもののひとつの危機について。」という記事でお伝えした名古屋活版地金精錬所さんですが、縮小か廃業かの決定を当初この6月に下す予定だったのを、少し先に伸ばされたようだという情報が入ってきました。中日新聞の記事のことを教えていただいたばかりか、それ以前より地元・名古屋からこまやかにお心配り下さいましたTさん、商品アイディアやウェブサイトの制作協力をお申し出で下さったYさんをはじめ、メールを下さった方々、小店HPをご紹介下さった おもてサンドのとり? さん、ST堂さん他、多くのみなさま ! 心より御礼申し上げます。お陰さまで、名古屋ではラジオやテレビでも取り上げられるなど、関心が集まるようになってきたようです。また、今後、全国紙などの反応によっては、社会的な問題意識の共有が進んでいくかも知れません。何とかここまで引っ張れたのも、偏にみなさまのご高配によるものと、心より感謝申し上げます。本当に有難うございました!
けれど、いまはまだ判断が先送りされただけで、解決の糸口が見いだせたわけではありません。複雑な体系をもつ日本語の活字を、活字ににまつわる技術と経験を、どのようにすれば残していけるのか。その道筋を見つけ、実効性を検証していく作業が急がれます。いま必要なのは、いまあるものを、どこから、どこに向けて、どのように、活かしていけるのかという実際的なアイディアの積み重ねではないかと思います。引き続き、みなさまのお考え、アイディアなどお聞かせ願えれば幸甚に存じます。どうかよろしくお願いいたします!
■一昨日17日(木)、小店店内での小さな企画ですが、「リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 」をスタートさせました。練馬区立美術館の「バルビエ×ラブルール展」をすでにご覧の方も多く、「直に触ってもいいんですか?」と尋ねられることも。さすがに版面(刷面)についてはご遠慮願っておりますが、展示している商品は是非、実際に手にとりページをくってみて下さい。雑誌も書籍も、本来、手の感触まで考えてつくられたものだと思います。また、美術館のガラス越しと比べ、見た目の印象自体違うようだとの感想も聞かれました。今週火曜日の洋書会大市で落札、すぐに展示販売に加えたラブルールとマルティの版画入挿絵本は、17日のうちに早くも姿を消しました(一部商品については即売のかたちをとっています)。会期はこの後19日(土)と22日(火)の2日間のみ。あ。根津美術館の「KORIN展」は20日までだゾ。ともあれご来店のほど、何卒よろしくお願いいたします。
■いやはや新着品で最も肝心の商品は、相当こみいった解説が必要……というので、今晩は日和見主義、次善の新着品のご紹介。といってもそう簡単には見つからないはずの2点=“二つのかたまり”です。最初は観光みやげとしてたくさん複製されたはずのパリの写真、ですがまさか日本の市場でこれだけまとまって出てくるとは…。シャイヨ宮に建て替わる前、エッフェルの“また下”から遠望できたトロカデロ宮、サザエを思わせるシャトー・ドー、アレクサンドル3世橋などお馴染みの風景が写った写真は全て1900年パリ万博のもので、今回44枚の入荷です。中に1枚、庭の木に提灯をめぐらせ、入口を日の丸の旗で飾った日本館の写真があります。この時の日本館といえば法隆寺金堂を模してつくられたはずなのに、写真に写っているのは日本に建てられた洋風建築、もしくはフランスがアジアの植民地に建てたようなコロニアル風の建造物。この写真、日本館といっても金堂風の立派な建物=本館ではなく、どうやらその横に建てられた別館で、ルーペで覗いてみると、1階のテラスでは外人と日本人がまじってどうやらお茶など飲みながら、のんびりくつろいでいる様子、柱のところには「thé 50c」という手書きの、何だか微笑ましいような貼紙も見えます。いまならさしずめ日本茶カフェといったところでしょうか。
コルセットで固めた女性の姿も写り込んでいる、まだ20世紀が顔を出す前のパリ万博の写真は、20世紀へと確実に時代が変わった後のパリの諸相 - 『ボン・トン』『現代の幸福』『スポーツと気晴らし』etc. - の横に置いて、明日から展示販売いたします。
■写真も紙モノのひとつですが、こちらはもっと紙モノらしく、また紙モノの中でも最も捨てられ易い、それだけに珍しいチラシ・DMの類、分野としては1970年前後の美術関係のひとかたまりです。なかでも瀧口修造がからんでいるものが多く、1969年の「松澤宥展」、「集会:芸術から遠く離れて」、「<表現の不自由>展シンポジァム」、「50A.F.展」、「ちいさなちいさな展覧会」、そしてスナック・ギャラリー セバスチャンでの「瀧口修造展」など。勉強不足も手伝って、これら媒体の存在で始めて企画の存在を知ったものもあります。また、若林奮、李禹煥、山口勝弘などが出品した「BOOK as OBJECT」はシルクスクリーン、南画廊の「オノサトトシノブ」のDMはリトグラフで、そのまま作品と呼んでよいものです。最も珍しいと思われるのが1965年、伝説の内科画廊で開催された「篠原佳尾銅版画展」の案内状。中面は土方巽の比較的長い文章、裏表紙は画廊名・会期など奥付、そして表紙タイトル上には、作家の直筆で、この一連の印刷物の旧蔵者名が記されています。う~む、やっぱり面白い ! こんなに面白い紙モノなら、少しでいいから毎週市場に出てきてくれないかというのがささやかな夢。でもその時はもっと安く買わせていただきたいというのが最も肝心な私の願いなのでした。こちらは「リュシアン・ヴォージェル」終了後の販売とさせていただきます。
■今週はこの他、過剰なエンボス加工が特徴の絵葉書19点、河野鷹思がエディトリアル・デザインを担当した装苑別冊など和洋ファッション誌10冊、戦前の雑誌『映画評論』14冊、明治時代の繊維商社の符丁集『電信暗号』、盧溝橋事件発生当時・現地の写真紙焼約10枚などを落札。順次店頭に出していく予定です。
オレンジ色のキャビネットの上に置いた 『ガゼット・デュ・ボン・トン』1913年のルパーブ、1914年のバルビエ、1924-1925のマルティとバルビエ 左下 バルビエの『今日の幸福~』右上 サティの署名とマルタンのプレート 下中央『フイエ・ダール』で最も有名なルパープのプレート
■GWは目黒、中村橋、竹橋方面と4つの展覧会を見て資料を買い、とりあえず「ドーバーストリート・マーケット ギンザ・コム デ ギャルソン」を見に行って何も買わず、というよりひとつ買えるわけもなく、昔務めた会社の古い仲間たちとおそらく十数年ぶりに会い、衣替えなどしているうちにあっという間に過ぎてしまいました。今週よりすでに通常営業に戻っておりますが、来週はたちまちちょっとスケジュールにイレギュラーにところが生じまして、何ともご不便この上ないことになってしまいます。5月15日(火)は年に一度の「東京洋書会大市」が開催されるのに合わせ、店は臨時休業させていただきます。どうかくれぐれもご注意下さいませ。あ。本日土曜日は営業いたしております!
■来週の店の営業日は17日(木)と19日(金)の2日間。そして、翌週22日(火)と併せた3日間は、臨時休業日の分もいろいろとりかえすべく、こちらの企画 → 「リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 」に全力投球いたします。展示受注会の中心となるのは、20世紀はじめ、豊な発想と抜群のセンスによって、雑誌というメディアをモードやアートの発信源へと変革した稀代の出版人 リュシアン・ヴォージェルが残した下記1~4の仕事です。
1. ジョルジュ・バルビエやルパーブの華麗なファッション・プレート多数を含む『ガゼット・デュ・ボン・トン(Gazette du Bon Ton)』特別号を含む21冊
2. 『スポーツと気晴らし(Sports et Divertissements)』 シャルル・マルタンのフルプレート・ヴァージョン エリック・サティよりペニョ氏に宛てた献呈署名識語入
3. バルビエの最高峰の画集のひとつに数えられる『今日の幸福 あるいはモードの魅力【現代モードの美】(Le Bonheur du Jour ou Les Graces a la Mode)』 大判16プレート綴込
4. 『ガゼット・デュ・ボン・トン』をアート寄りに編集した雑誌『フイエ・ダール(Feuillet d'Art)』ルパーブ他ポショワール・プレート入特別編集号
この他、アンドレ・マルティの挿絵本、1925年パリ万博当時のインテリア写真プレート集や同時代フランスの石版刷・テキスタイル図案プレートなど、すべて当時発行された関連商品を展示販売いたします。
販売方法について『ボン・トン』誌については1913年発行分6冊、1914年発行分6冊、1924-1925年発行分9冊で、各年度毎の一括注文を優先とし、一括でのお申込みがなかった場合はバラ売りにいたします。このため、会期中は一括、バラ売りともご購入希望商品についてエントリーをお受けし、エントリーが重複した場合は抽選とさせていただきます(エントリー締切=5月22日午後8時)。
1~4の主な受注商品の価格については、会期スタート日以降、店頭で表示すると同時に、個別のお問い合わせについてもお知らせいたします。どうぞお気軽にお尋ね下さい。
その他の店頭即売商品については書籍で数万から、バラ売りプレートは3,500円前後からご用意いたしております。
また、『ボン・トン』と『スポーツ~』など1~4の商品については、会期終了後のお引き渡しとなります。
練馬区立美術館の「鹿島茂コレクション2 バルビエ×ラブルール」でバルビエに魅入られたという方! ガラスケースや額縁に遮られることなく、ポショワールや手彩色、或いは版画の繊細な技を間近に見て、しかも購入できる機会は少なくともここ日本ではそう多くはないようです。そして、エリック・サティが古くからの友人・ペニョ氏に宛てた直筆署名入に至っては、当然ながら世界じゅう探してもこの1冊きりという天下一本。
この機会に是非ご来店下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます!
■今週の新着品からは、1936年ベルリン・オリンピックの記録写真が百十数枚。ベルリン大会の次、1940年の開催地が東京に決まっていたこともあり、ベルリン・オリンピックについては東京大会の施設計画委員長に就いていた岸田日出刀はじめ、関係各界から日本人が視察に派遣され、それによって日本国内にもたらされた資料も比較的多く残っているという印象があります。また、それらを利用した出版物も散見されることになるわけですが、今回入荷した写真も、なかに入稿時の指定がトレペの上から書き込まれているものが混じっていることから、出版物への利用を前提に、岸田はじめ大江季雄、村社講平など関係者が撮影した写真 - 几帳面なことに、写真の裏面に各々撮影者の名前が書き込まれています - を広く集めておいたものではないかと推察しています。いや、もしかしたら何らかの刊行物の中に1冊まるごと一致してしまうものがあったりして … と不安半分でしたが、可能な範囲で調べたところでは、『第十一回オリンピック大會と競技場』や『第十一回オリムピック大会写真帖 : Berlin 1936』にほぼ一致しそうな写真が何点かあるものの、視点や構図が異なるものが多いようです。ちょっと安心。資料的な意味をもつことは勿論ですが、素人写真にしてはみなさんなかなか達者なお陰で、1枚の写真として見た時の存在感も立派なもの。建築物、選手・競技など、いくつかに分けてテーマ別に販売する予定です。
■今週はこの他、同じくベルリン・オリンピック関係の洋書5冊、明治期の国語国字問題への解決策を示した早稲田大学生の著書『大日本改良文字』、雑誌『劇場街』10冊、『バックミンスター・フラー』他建築・美術関係洋書3冊、大正時代のエンタイヤ1束などが店に入ります。
■ずぅーとせわしなく働いている気がするけれど、がしかし仕事らしい仕事になってないというのに、無体な、と思うくらいの早さで時間ばかりは経過してゆき、今年ももうゴールデンウィークではありませんか。あぁ。しかも、ゴールデンウィークが明けると、実は色々とスケジュールが入っていて、今週も先ずはもろもろご案内から。名古屋活版さんについてはその後もはっきりしたことが伝わってこず、まだまだやるべきことはあるのですが、今週はひとまずおいて。
■GW中の店の営業は明日4月28日(土)と5月1日(火)のそれぞれ12時~20時、時間は未定ですが5月2日(水)も店内作業を予定しております。5月2日(水)ご来店の場合には、必ず事前にお電話で在席をご確認下さい。4月29日、30日および5月3日(木)~5月7日(月)は連休をいただき、5月8日(火)から通常営業に戻ります。GW中は、いま一度スケジュールご確認の上、ご来店いただければ幸甚に存じます。
■『森羅万象ミクロコスモス ルリユール、書物への偏愛 Les fragments de Mの試み』がいよいよ5月10日(木)より、ギャラリー册・千鳥ヶ淵で開催されます(会期は6月9日・土曜日まで)。これは、伝統的な皮革製本術を日本、フランス、ベルギーで学んだ3人の製本家と、フランスで箔押しを専門に習得した1人の箔押し師からなるユニット Les fragments de M による作品展。会期中、「書物に溺れて」と題した特別企画 = 古書・古本の展示・販売に古書往来座さんとともに小店も参加させていただきます。小店からは、製本芸術関係書、愛書狂がつくった書物、書物狂に関する本、そして本棚関係の古い商品カタログなど、“書物をめぐる書物”を出品する予定。
けれどそれは二の次三の次、先ずは卓越した技術によって裏打ちされた豊な発想と優れたセンスあふれるルリユール作品を、会場に居る4人のMの誰かに導かれつつ子細にご覧いただける貴重なチャンス、こればかりは是非、お見逃しになりませんように!
5月12日(土)には、オープニング・レクチャーとして鹿島茂教授による「私の愛書歴と、ルリユール」も開催されます(有料)。詳細は、必ず下記のサイトでご確認下さい。
【 ギャラリー册 】 【 レ・フラグマン・ドゥ・エム 】
■小店展示即売企画『リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 』は5月17日(木)から。これが本年上半期小店の最大の山場、険しかろうな、の峠越え、となるはずなのですが、詳細はこちらの見た目小さいスペースで。必ず!お見落としなきよう!!ご覧いただければ幸いです。
■続いて6月5日(火)からは、西神田のスタジオイワトで『内澤旬子のイラストと蒐集本展』がスタートします。会期は16日(土)までで、内澤さんがこれまで描いてきたイラスト原画を本邦初、販売しようというもの。内澤さんの直筆原画としての価値はいうまでもなく、『本に恋して』『印刷に恋して』など、そこに残された入稿作業の痕跡含め、今後消えゆく産業や技術の精細な資料としての意味をもつのではないかと思うと、実は古本屋としても目が離せません。
私がお手伝いさせていただく「蒐集本」では、牛の血を固めて作った変わり種から螺鈿やレリーフの施された袖珍本サイズの祈祷書を中心に、韓国の古活字本、挿絵が面白い和本、ご自身が手掛けた手製本まで、バラしてしまうのが惜しいユニークなコレクションをこちらも放出、販売。1冊1冊、旅の記念に、あるいは文字や組版に関する興味で、など、「何かしら絶対に理由があって買ったもの」と仰る内澤さんには、是非そのお話をお聞かせ願いたいというので、6月6日(水)午後6時半より、内澤旬子さんによるブックガイドが実現することになりました。日月堂はこのブックガイドの聞き手を務めさせていただきます。参加費2,000円(1ドリンク付)で要予約25人のみで、残念ながら4/28で満員御礼となりました。悪しからずご了解いただけますよう…。
■いやはや長い。現在午前1時40分でやっと新着品。以下、走ります。1冊の表紙に「レツテル ドンナレツテル?」と墨書きされている食品関係を中心とした戦前の商標スクラップブック2冊(但し1冊は貼込点数少々)。三越、高島屋、白木屋、中村屋などの各種食品、森永コーラス、キューピーマヨネーズ、カゴメケチャップなどの古ぅ~いラベル、パイナップルやマンダリンオレンジなど缶詰の腹巻、ベリージャム、バタピーナッツ、チョコレートなどいずれも高級食品のオンパレードに混じって、ハムライスの素(別メーカーで数種有)、ジミール入サンドウヰツチ(それって何?)、詰合わせパン、白魚紅梅煮、うづら山吹漬15羽入!串刺焼牛肉!!小鳥照焼特製10羽詰!!!なんていうのまで出てきて、日本人たら一体何を食べてきたのか興味は尽きません。それにしてもこのスクラップ帖の製造者、これだけ贅沢なものを食べていたら痛風か何か患っていたんじゃないのと思って見ていると、出てきました。「築地新薬研究所 メットーゲン 糖尿病内服薬」のラベル。吉備団子や羊羹のと並んで。こうなると、糖尿病もまた蒐集趣味の一環のように見えてくるのでした。どれも見事なデザインです。
■個人的についつい手が出てしまうお菓子の意匠集。10冊まとめて出品されていた内、全点多色木版刷の2冊を画像にとりました。左側の3点が昭和4年、右側が大正14年、ともに東京下谷・吉川梅次郎商店の発行です。季節や干支をモチーフに、抽象化されたデザインは、実に完成度の高い見事なものばかりです。
■連休が明けると、スケジュール的に見て自分でもあっと驚く綱渡り状態ですが、いずれも要注目。みなさまのご来場、ご参加をお待ちいたしております。あ。もちろん、ご購入も、何卒よろしくお願いいたします。