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07/11/03 Information

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ダット自動車製造株式会社製「ダットソン号小型自動車」パンフレット二点

■さて。先ずは営業のご案内。来週、店は火・土曜日の各日12時~20時、木曜日はもしかすると開店が15時頃からとなる可能性があります。先週、しっかり営業しますと宣言しておきながら舌の根も乾かぬ内に不真面目な古本屋ですが、お見捨てなくお付き合いの程、平にお願いいたします。くれぐれも、木曜日だけはご注意を。 先週、これはまたスランプに陥ったかとかなり本気で頭を抱えたのですが、お陰さまで今週は少し復調。戦前のツーリズム関係を中心に落札してまいりました。最初の画像は「ダットソン号小型自動車」のパンフレット。カラー二つ折りとモノクロ両面の二点、無刊期ですがダット自動車製造株式会社とあることから、同社が石川島自動車工業に合併吸収される1933年以前の発行と考えられます。このクルマ、謳い文句は“国産”“運転免許不要”です。運転免許がいらない四輪者があったとは、恥ずかしながら知りませんでした。ツーシーターのオープンカーですが幌を標準装備、スポーツカーとして―“小型自動車競走、遠乗会、登山、海水浴何レデモ結構行ケナイ処ハ有リマセン”―また貨物運搬車として―“「トラツク」トシテ晴雨ヲ論ゼズ活動デキマス”―とありまして…「結構行けないところはありません」というあたりは控えめですが。スポーツカーとトラックとを両用させてまえ、と、いまでは誰も考えつかないコンセプトと商魂とには脱帽いたしました(でも、吸収合併)。燃費、構造明細書も載っておりますので、「ダットソン」ご購入に際しましては 「是非 当パンフレット ヲ ゴ参照クダサイ」 (by 日月堂)。

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日本旅行協会(JAPAN TOURIST BUREAU)発行・月刊誌『ツーリスト(TOURIST)』 表紙とアジア号記事

■次の画像は日本旅行協会(JAPAN TOURIST BUREAU)発行の月刊誌、『ツーリスト(TOURIST)』。画像は昭和10年発行の二冊ですが、六冊が入荷いたします。この雑誌、表側からは日本語版、通常裏表紙になる側からは英語版という、両A面雑誌。英語版は単に日本語版のテキストを訳したというのではなく、グラビア頁の写真から特集や記事まで、日英各々異なる丁寧な編集です。一見、テキストに偏重した雑誌に見えますが、目次頁に写真のコラージュをあしらうなどグラビアにはなかなか見るべきところも多く、特に英語版では満州や朝鮮など旧植民地の風景が活写されています。また、英語版の巻頭には、全て一色の扱いながら内外の鉄道、客船、銀行など旅行に関わる企業の広告も多数あり、とくに南満州鉄道の広告の出来はさすがです(ちなみに画像の二冊の内、モノクロ見開きは「アジア号」の写真と記事)。日本語版をざっと眺めたところでは、月刊誌らしく「観光ニウス(=ニュース)」の伯林オリンピック日程や「流線型特急シティ・オブ・ポートランド号」の図入り案内など、全体に最新情報や季節に合わせた実用情報がよく拾われている印象があります。面白いのがフランス人とドイツ人の記者に東京でのお気に入りを聞いたインタビューで……日本のカフェーをフランス人は静かだといいドイツ人は騒々しいと云い、フランス人もドイツ人も今と変わらず鮨と天ぷらが好きで意外におでんも人気があり、映画館では日比谷、帝国、帝都、芝園がよろしく、踊りにいくなら外国人は「フロリダ」だヨ、吉原は本で知ったのと比べると実際は存外詰まらないネ、日本語が分からない外人が芸者を呼んだら勝手に高くされちゃうヨ…とまぁネタの宝庫のような。何のネタかはおくとして。他の4冊がどんなものだか、これは来週のお楽しみ。というのも今週土曜日が祭日のため、新着品の到着は火曜日となりますのでご注意ください。新着品はこの他、戦前の外国絵葉書が1箱とファイル7冊分、1950~60年代の海外ツアーパンフ約30点、『満州産業事情』等満州関係6冊、『独逸大観』等戦中独逸関係書6冊、『モダン用語辞典』『新外来語辞典』等戦前の流行尖端語辞典9冊、その他紙モノなども店に入ります。まだ積まれたままの機械部品…店主「ほらほらとっとと片付けなさいよっ(怒)」。店員「はい!ただいま」。ってこれがどちらも私なもので。

07/10/27 Information

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「ACOUSTIC ANTIQUES」 in GEOGRAPHICA 音楽をテーマに10/27~11/4開催

■22日の月曜日には企画展「2007.東京.町工場より」も無事終了、お陰様で当初予想された“惨敗”という事態は免れ、“健闘”といえるところにこぎつけることができました。ご厚情を賜りました皆様には、この場を借りて心より御礼申し上げる次第です。本当に有難うございました来月半ばまで多少イレギュラーな要素はあるものの、年内できるだけ営業日は守るべく、来週、店は火・木・土曜日の各日12時~20時でしっかり営業いたします。企画展で戻ってきた機械部品もまだ積み上がったままではありますが、混沌極める店をのぞきにご来店いただければ幸いです。 ■金曜日はいつものように神田の市場へ行き、どうしても入手しないわけにはいかないマッチラベル一枚のためにマッチラベル貼込帖4冊一括なんていうのを中札で落札し、ムキになった理由もいまは判然としない本二冊を下札で買ってしまい、しかし本日のメインエベント!たる一冊は上札でさえ五千円も開きがあって落札できず、結果今週の落札品=新着品はとぉーってもショボいことになり、肩を落として夕方6時市場を後に、雨のそぼ降るなか目黒のジェオグラフィカさんへ一仕事しに行って参りました。そんなわけあって今週は新着情報に替えてジェオグラフィカさんで10月27日(土)~11月4日(日)の期間中開催される「ACOUSTIC ANTIQUES」のご案内です。品質はもとよりその高いデザイン性からも注目されるバング&オルフセンの音響機器と、音楽をゆっくりと楽しむためのソファーやテーブルを組み合わせたコーナーが特設されます。これに合わせて小店からも「音楽」にまつわる書籍・紙モノを新たに投入。例えば、ミスタンゲットのためにジグが描いたスタイル画・肉筆、ガブリエル.E.デュポン作曲・パリ「オペラ座」初演時の「アンタール」リトグラフ・ポスターなど店を素通りしたものあり、新着品でご紹介したエリック・サティ直筆楽譜ファクシミリ版にシャルル・マルタンのポショワールプレートを付した「スポーツと気晴らし」、そしてお買い求めいただき易い音楽関係の新古本も。このフェアに合わせ、小店ばかりでなく、音楽をモチーフとするポストカードやステーショナリーも入り、26日の夜の時点でかなり楽しいコーナーが出来上がっておりました。会期中には「古材を使ったフォトフレーム作り」など興味津々の講座も開かれます。詳しくはこちらまで。それにしても、バング&オルフセンの音…今回初めてその音を体験することができたのですが、聞きしに勝るとはこのことかと実感。日月堂の目は店でご覧いただく通り(……疑わしい)、ならば耳は確かかどうか、こちらは是非会期中にジェオグラフィカさんでご確認ください。大丈夫か???

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小店内では到底お見せすることも叶わぬ大物ポスターも。

ジェオグラフィカさんには毎度毎度のことながらご迷惑も顧みず、この際“おおもの”も投入させていただきました。画像の中で一際大きな面積を占める「CAMP ROMAIN」は石版刷りのワインの広告ポスター。1920年代後半頃のものと思われます。今年9月の「一新会大市」に出品されていたのを、あまりに大きいのに二の足を踏み、しかし諦めきれずに何度も前を往復し、往復する度やはり惜しく、何しろフランスではポスターが高い。しかも具象表現はたくさんあるけれど、このポスターのようにデザイン化されたものは意外に少ないじゃないかともう一人の私が私を盛んにそそのかし、えェいままヨと入札。落札は何と上札でした(……日本も結構…高かった)。組合御用達の運送屋さんに店に運んでもらったのはいいけれど、この一点で店はほぼ休業状態となる巨大さでした。私は単なる馬鹿者です。右下の女性を描いたポスター「EXPOSITION EMILLIO VILLA」も随分前に入手、巻いたまま置いていたのを額装してみてびっくり。女は化粧次第とはよくいったもので見違えました(私はとっくの昔に諦めましたが)。こちらも1920年代のフランスもの、石版刷りです。ベルギー産・未断裁のマッチラベルの大きなシートも原色のちょっとポップな額で仕上げました。小店としかいいようのない極小店舗ではお見せすることもできない文字通りの“大物”です。ジェオグラフィカさんにお運びの折には、こちらも併せてご高覧いただければ幸いです。 ともあれ来週からはまた仕切りなおし、店の混沌はさっさと片付け、市場に行けば身を入れて、またとれたての新着品をご紹介いたします。来週こそ……。

07/10/20 Information

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昭和11年・国防思想普及会本部発行『家庭防空』

■一週間が「あ」の一文字発声する間もなく過ぎていく、と思うのは私だけでしょうか。来週22日(月)には「2007.東京.町工場より」(詳細は左の企画展の下のアイコンからご高覧のほど)を打ち上げて、店は火・木・土曜日の12時から20時で営業いたします。ぼちぼちではありますが店頭商品も入れ替わっております。少し様変わりした店に、また是非お出掛けください! 店にだぁれーも来なかろーが、ネットで注文が入らなかろーが、市場に行くのが私の務め。何が出るやらわからない。というので行ってまいりました市場へと。買ってまいりました新着品を。ポスターかと見紛う最初の一点、『家庭防空』は実際にはB4中綴じの冊子で第四師団司令部編纂、昭和11年・国防思想普及会本部の発行。切り抜きやフォトモンタージュを採用したいかにもプロパガンダなグラビア頁と、灯火管制への対応方法や消防、防毒などについてのハウツーを絵と文とで分かりやすく解説した頁という、大きく二つの要素によって構成されています。家庭のみならず、個人商店の店頭対応策なども詳解。不透明のカーテンを店頭に二重三重に据えよとする指示を見る限りでは、戦中の商店街の風景は想像していたのよりずっと暗いものだったのかも知れません。防毒マスクをつけた女生徒の大集団が行進する写真―もちろんフォトモンタージュ―はかなり不気味。これがたった60~70年前の日本の姿であり(お国が市民に徹底いや強制しようとした体制であり)、こうしたものを見るにつけ、いまの北朝鮮のことを全然笑えないじゃないかと思い、またひとつ間違えば時代はいつも逆戻りする可能性があることを肝に銘じておきたいと思うんですけどね。そういえば小学校の中学年の頃だったか、黒板の上に貼ってあった日本史年表に「天皇の人間宣言」というのを見つけた時には…すごい国に生まれちゃったなと思ったものでした。

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ナチス・ドイツの戦争画、テーオ・マテイコの画集『DAS THEO MATEJKO BUCH』

■次の一点も戦争つながりで、ナチス・ドイツの従軍画家テーオ・マテイコの画集『DAS THEO MATEJKO BUCH』。この一冊には見返しに署名と「7.XII.1938,」の日付のあるところがミソ。海外のサイトで1940年の発行としているところが一カ所ひっかかってきましたが、本自体は無刊期。図版の一部に添えられた日付は最も新しいもので1938年、作家自身は1946年まで生きていたこと、図版に入っている署名との筆跡の一致などから、1938年までに発行されていたものと考えます。図版は全てモノクロですが、マテイコはほとんどの作品をモノクロで描いていたようで、力強い描線とダイナミックな濃淡によって迫力のある画面が支えられています。ハーケンクロイツの旗を立ち上げようとする市民、見下ろすような視点で描かれた戦闘機の空中戦、軍艦上から敵艦を迎え撃つ海兵など、雑誌『TIME』が「戦場からはマテイコが写真よりもずっと迫力のあるスケッチを送ってきた」と記しているのにも頷けます。躍動感のある筆致は戦争画のみならず、カーレースやボクシングなどのスポーツから飛行船ツェッペリン号墜落の様子にまで及び、この一冊で彼の手掛けた画業を広く知ることができます。ところで日本の戦争画もまた海外のメディアに送られたり掲載されたりした例が果たしてあったのかどうか。この一冊からまた新たな疑問が生まれました。 「町工場」展、私の知らないうちにたくさんの方がご高覧下さっていたようで、いやもう感謝の一言です。紙でもなく印刷でもなく文房具でもなく「機械部品」と「工具」。古本にはお馴染みでも、これはあまりに古本から遠く…しかも紙より重い。にも関わらず、わざわざご来場くださった皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。といっても会期はまだ22日(月)まで。会期後半のもうひとふんばり、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

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