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07/09/15 Information

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原著者は雑誌『ニュー・マッセズ』主筆、村山知義序文 装丁も村山か?

■たまには気分を変えて、今週はまず催事のお知らせから。すでにお気付きの方もあるやも知れませんが、10月12日(金)よりスタートする企画展「2007.東京.町工場より」のページを、当HP内にアップいたしました。昨年までの「印刷解体」とほぼ同時期に、同じくパルコ・ロゴスギャラリーさんとの共同企画、そして会場も同ギャラリーとなります。「印刷」展ではまだ辛うじて本・紙モノと結びついていたわけですが、今回メインとなる商品は古びた工具類と機械部品。だというのですから古本屋の本道、ますます踏み外してます。しかも「廃品」と「商品」との間のビミョーな一点を突くような企画であります。果たして反応のほどは………そんなものあなた。読めるはずがございません。頼りの綱はどうした理由(伊達?)だか(酔狂?)このHPをご覧下さっている皆様だけでありまして、先ずは左上のアイコンをクリックして詳細ご高覧の上、この病重き“新しい古モノ好き”に飽かずお付き合いのほど心よりお願い申し上げます。 ここで恒例の営業ご案内。来週は火・木・土曜日の12時~20時で営業いたします。そろそろ涼しくなってまいりました。ぼちぼち日月堂にもご来店の頃合かと(←勝手なことを…)。ひとつよろしくお願いいたします(←ほぉ~らまた)。 ■やっと辿り着きましたこちらも恒例の新着品。最初はマイケル・ゴウルド著、村山知義・柾不二共訳『一億二千萬』(昭和5年・初版)。原著者であるマイケル・ゴールドは、アメリカのプロレタリア文学運動に大きな役割を果たした雑誌『ニュー・マッセズ』の主筆を務めていた作家で、当書には短篇小説17篇と、ソ連の労働者の間で流行していたという「大衆朗読詩」に範をとった三作とが収められています。

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トーキー映画草創期、アメリカ・ミュージカル映画黄金期の広告の一例

装丁はロシア語の署名で解読不能ながら、タイポグラフィの感じからは村山によるものか…その可能性ありと見たいところではありますが、断言はできません。以前、お客様より柳瀬正夢が影響を受けたと目される雑誌のひとつに『マッセズ』というものがあると伺ったことがありましたが、それに連なる人物の作品が翻訳されていたということからも、当時日本でも注目されていた雑誌だったことに違いはなさそうで、こうなるとやはりその雑誌自体が見てみたくなってきます。尚、当書に収められた原著者による「序言」と村山による「訳者序」にはさっと目を通した段階では何か狐につままれたような気分だけが残る、つまりは“非常によく出来た”元からの乱丁あり。これもまた一興ではあります。 アメリカン・アール・デコの印刷物、日本では意外に見つけ難いものだと思っていたら、出てきました。『PARAMOUNT ANNUAL ANNOUNCEMENT』と題された映画買い付け業者向けの完全ガイド・1929-1930年版。但し、元の冊子は切り抜き落丁夥しく、書籍としてはもはや体をなしていなかったため、映画別の広告ページを切り離した一枚モノとなっています。画像はキング・ヴィダー監督、“全編トーキー - 歌う映画”と銘打たれたミュージカル映画「ハレルヤ」の広告(スキャナーのサイズのため現物と比べて画像は天地左右が切れてしまっています)。ボブカットにシンプルなドレス、ジャズのリズムに身に任せる女性、その下には黒人のジャズメン…アール・デコの時代であると同時に、“狂熱の”という言葉が冠されたアメリカの1920年代の雰囲気が伝わってくるようです。1929年といえばトーキー映画の草創期であり、世界初の全編トーキーによるミュージカル作品「ブロードウェイ・メロディー」が封切られた年。画像では紹介いたしませんが、もちろんこの「ブロードウェイ・メロディー」の広告も在庫あり。この他、「ちびっこギャング」(私はかつてこの映画のリメーク版シリーズをテレビで見てました。トシが分かるというものです)、トーキー版の「ローレル&ハーディ」シリーズなどを含む約20点。戦前アメリカ映画の黄金期にあって、作品によって表現に工夫を凝らし、しかしどの作品の広告にも力がこもっています。新着品はこの他、新しいところではありますが美術・デザイン関係の批評・論考書が約100冊 (先ずは店に出してから、以後順次「雑書目録」にアップ予定)、戦前の美術専門雑誌数種十数冊、戦前のウィリアム・モリス、ラスキンの翻訳書十冊前後などなど、それなりにまとまった入荷となりました。しかしその分、一体いつになれば捌ききれるものやらじっと手を見る(←仕事の進むわけがない)。

07/09/07 Information

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『art et decoration』1924年4月号の表四。タヤートによるヴイオネの広告

■店で汗流す予定だった今週。しかぁーし。9/6(木)は台風で誰も来ず、わっさわっさと風に翻弄される根津美術館の林の様子に危険を感じ早々に店を撤退…かようにして貴重な営業日一日がツブれてしまい。しかも今週9/8(土)は午前中市場のため13時からの営業とさせていただきます。何卒ご了解いただけますよう…。その分どこかで頑張らないとね。といいながら。すみません来週も火・木・土曜日の各日12時~20時の営業です。 当HP、これまで検索可能なのは「雑書目録」だけだったのですが、トップページにgoogleを置くことで全ページ対象に検索できるようになりました。画像入りの在庫目録「OLD,RARE,UNIQUE」の各ページでは、タイトル横にキーワードも添えていますので、これらもヒントにして是非お試しください。今週は「A LA CARTE」にバレエ・リュスと舞踊関係の数冊を追加いたしました。今後も 随時追加してまいります。 ■明日・明後日と市場で立て込みそうなので、まだ店に出していなかったものから新着品を前倒ししてご紹介。上の画像は雑誌としては凡庸な『art et decoration』1924年4月号。ああまたコレねと落丁切抜きチェックして値段を書くべく鉛筆構え裏表紙を見やればやっ、ややや。この洒落のめした広告は…何と「マドレーヌ・ヴィオネ」のパリはリボリ通りにあったアトリエの広告ではありませんか!図案の罫下には、「THAYAHT」つまり未来派のアーティスト、タヤート(=タイアート)の署名もあるゾ。かつて、『ガゼット・デュ・ボン・トン』のヴィオネ&タヤートのプレートを扱ったことはありますが、これは初めて。慌てて手元の資料『ヴィオネ』(ベティ・カーク著)を開いて見るとこの図版、当書の扉に置かれているほか、コレクションの案内状、N.Y.でのコレクションの広告などにも使われていて(紙モノの図版有り)、テキスト部分に変奏を加えつつ、さまざまに使われていたことが分かります(ざっと見た範囲では、この図版とタヤートを結び付けるクレジットはない?ような??)。マドレーヌ・ヴィオネは、バイアスカットの創始者であり、即ちコルセットからの身体の解放と衣服の近代化とに寄与した偉大なアーティストであり、そのアトリエで働く女性たちの福利厚生にまで配慮した開明的な経営者でもありました。そもそも私が1910~30年代の事象に分け入り始めたきっかけが、いま思えばバレエ・リュスとヴィオネだったように思います ― 「女性が笑うとき、そのドレスも笑うように作らなければ」― ヴィオネのこの言葉には、いまも深く胸を打たれます。

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シャイクスピア・ヘッド・プレスによる洗練されたタイポグラフィと軽妙なイラスト

シャネルのように華やかな社交の場に出ることもなく、第二次大戦終結前には実質的に活動を停止したこともあり、日本ではまだまだ知られていないようですが、もっと評価されてしかるべき人物なのですが。話し戻ってこの広告、もちろんオフセット印刷などという荒っぽいことはやっておらず、色別に特色を乗せていったものと思われ、現物の風合いはまたなかなかなよろ……いやその。売りたくなくなるのでこのへんで。 お次も洋物。イギリスのプライヴェート・プレスのひとつ、シェイクスピア・ヘッド・プレスによって1930年に発行された『THE SCHOOL FOR SCANDAL』(限定475部) 。背と小口側上下角にヴェラム革をあしらい、背文字は金箔押し、平はグレー地の洋紙にリボンを図案化した反復柄を赤一色で印刷。テキストは1777年に初演された有名な喜劇の台本で、日本では「悪口学校」のタイトルで知られているようです(恥ずかしながら私は知らず…)。挿画はトマス・ロウィンスキーなる人物が手掛けたもので、各章頭には、台本内容に合わせ舞台美術を擬したと思われる図版(無人の舞台を真正面から捉えた格好)を一点ずつ、左右の柱に人物画を配した見開き(画像参照)が10組・計20P、そして登場人物の集合図が扉に一点。いずれもどこか伊坂芳太良を思わせる軽妙さと、いま見ても全く古臭さを感じさせないタッチとで描かれています。けれどやはり、シェイクスピア・ヘッド・プレスといえばカスロンといわれる通り ― この本を美しく見せている最大の手柄は、シンプルかつスマート、つまりは可読性が高く洗練された、書体と組版にあるものと思われます。ケルムスコット・プレスの装飾に過剰を感じ、禁欲的なダブス・プレスには物足りなさを感じるといった方には、多分ちょうどよいバランス感覚でまとめられています。シェイクスピア・ヘッド・プレス。私は結構気に入っています。 ■台風の去り際(だといいのだけれど)に出かける金曜日の市場、そして土曜日の市場は…さてさてどうするどうなるワケ分からずその結末はまた来週初めにでも改めて。

07/09/01 Information

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VOLIERE

■月曜・水曜は市場への出品準備で深更に及ぶ仕分け、火曜・木曜は新しいパソコンの立ち上げに悪戦苦闘し(…ているカズトくんを横目で眺め)、金曜日は大量出品の市場でひたすら入札…こうして一週間はあっという間に過ぎてゆき、同じように過ぎるに違いない来週も店は火・木・土曜日、12時~20時で営業いたします今週の落札品はひと月ぶりの二桁台後半・17口。新着品はもちろんこのなかからで、最初の画像は1963年に発行された『VOLIERE』。著者名にアンドレ・ブルトンとイブ・タンギーという豪華な名前が並んだ限定250部本。ブルトンの詩を手稿を忠実に写したファクシミリ版で、また、イブ・タンギーの作品はオフセット印刷の上から手彩色を加えて、いずれも未綴じのリーフにし、ポートフォリオに収めています(スリップケースと函付き・完本)。市場で初めて出くわしたものですが、時に円を描き、場合によっては斜めに走り、気が向けば簡略な図式が混じるブルトンの手書き原稿に先ずは心惹かれ、よくよく見れば各リーフの上部に記された年号は切り貼りコラージュ(!)してあるし—ブルトンの詩は1912~1941年の作品で一年に一篇ずつとられています—ペンの色が変わればその色で刷られているし、ならばタンギーの作品はと見れば、扉にあたる一枚は「印刷+手彩+形の通りに切り抜き+貼り込み」(!)してあるし、一体なぜにこのような七面倒なことをしたのか意味不明な情熱に弱い私はやっぱり買うことになっちゃった。用紙自体の色も一様ではなく、紙モノ好きで文字好きな方には、多分、魅力的な代物かと。しかしこれ程のものを掴まえて、しかもこれだけ説明しながら、シュルレアリスム方面の押さえが皆無というはいかがなものかと只今反省中。

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図案と芸術

■続く画像は雑誌、『図案と工芸』改め『図案と芸術』の二冊。ともに大正14年、「図案と芸術社」の発行です。この内七月号はちょっと迫力がありまして、渡邊素舟が「其処に直面する要求に聴け、いかに図案が生活でなければならぬか、そして芸術がいかに必要以外なものであってはならないかを。」と巻頭言で檄を飛ばし、目次を見ると、石井柏亭「浴衣図案」、竹久夢二「中形について」、武井武雄「表紙について」あたりは王道として、松屋(百貨店)のオリジナル商品がらみ与謝野晶子、吉井勇、万太郎、雨情のコメント「私の図案した浴衣図案」(写真有り)、吉田謙吉「築地小劇場のポスター」、村山知義「産業派の芸術」と記事が並び、加えて、三科の大浦周蔵の手になる丸善の飾窓、村山知義作「爛酔の構成派舞台装置」、そして「露西亜構成派の茶器—マレウイツチ(=マレビッチ!)氏作」なんていう写真まで載っています。コマネタながら、「消息」欄には「村山知義氏、雑誌マヴォ復活」の文字が、「報」欄には「築地小劇場創立一周年記念模型舞台展覧会」が展示作品名まで紹介されて。百貨店のからみなどもあって一見穏当な雑誌ながら、モボ・モガの大正を、何より大正のアヴァンギャルドの断片を、その細部にしっかりと刻印していました。この他、戦前の『一枚張襖紙見本』、「生地標本」が二冊、ブレイクおよびウィリアム・モリス関係の戦前翻訳書が約20冊、「服部良一誕生パーティ出欠葉書」約百通は白洲次郎を含み、絵葉書一箱はまだこれからがお楽しみ、明治の風俗スケッチと挿絵の切抜きが貼り込まれたスクラップ帖5冊などなど、明日には店に到着予定です。――それにしても簡単に売れないものばかりよくもまぁ……(絶句)。

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