■今週は仕分けと出品2件に加え、パリから一時帰国していた知人と彼の地のアンティークショップに置いてもらえそうな商品を選び、これ以上望むべくもない方に時間を割いていただいて英仏文書翻訳整理の作業を一気呵成に片づけ、合間に新調の必要に迫られていたスーツケースを調達し …… と、ガチガチのスケジュールで少々疲労困憊。新着品はできるだけ説明不要なものを、点数も2点に絞ってのご案内です。
■あ ! お知らせがひとつ。10月3日(水)・4日(木)は資料会大市のためお休みをいただき、4日(木)は市場から帰宅するとその足で羽田にまわって5日(金)に日付が変わった直後、昨年7時間の足止めをくらったのと同じエミレーツ航空でドバイへ。さらにエミレーツを乗り継いでウィーンへと向かい、5日(金)から10日(水)をウィーンとプラハで過ごして11日(木)帰国。12日(金)には帰国早々市場二か所あって直ちに仕事に復帰する予定です。
長くなりましたが一体何が云いたいのかといいますと、要は10月3日(水)より少なくとも12日(金)までお休みをいただきます。ということでありまして、例によってご不便をおかけいたしますが、何卒ご容赦のほど お願い申し上げます。
■高橋春佳の名前は、古書周辺の方たちより、絵葉書コレクターの間での方が圧倒的に有名。何しろ絵葉書ばかりか絵葉書の袋の図案もあまた手掛けたイラストレーターにしてグラフィックデザイナーであり、どうやらディズニーのキャラクターものから非水風のデザインまで、作風的にも非常に守備範囲の広い人だったようです。
今回入荷したのは全て未使用の年賀状9枚で京都の青旭堂が版元。
ご参考まで、青旭堂さん=現在は京都・山口青旭堂さん=のウェブサイトでは、ギャラリーのページを設け「大正末期から昭和初期にかけて、山口青旭堂で製造しておりました製品を」紹介する中で、春佳の作品を紹介しています。アドレスはこの下。
http://seikyokudo.co.jp/gallery201804/
今回入荷した年賀状の春佳デザインは、ロシア・アヴァンギャルドとアール・デコとが相半ばするもので、大向こうから「これぞニッポンのモダニズム ! 」と声をかけたくなる出来、とでも云いましょうか。ミッ〇ーマ〇スのデザインにしても、キャラクターをいきいきと描いて達者な人という印象でしたが、今回のこのシリーズでその印象はますます強くなりました。
同じような分野で云えば小林かいち がすでに充分高値がつくようになった現在、それと比べて春佳の評価はまだまだ全然それほどではなく、かてて加えて作風の点でも守備範囲が広かった分 仕事の量も多かったようで、春佳もの、どこに転がっているか分からないというところを含め、いまからでも蒐め甲斐のある作家ではなかろーかと思います。
■現代人にとっては少々読み辛い文字でタイトルとして『華紋譜 花之巻』と表紙に書かれておりますこちらはと云えば、明治32(1899)年に京都で発行された津田青楓による木版刷の図案集。和綴じ40ページに、48図を収めています。
津田青楓の図案集についてはこれまでも何度か扱ってきましたが、この作品集は関西美術院に入学し、浅井忠と鹿子木孟郎に日本画と洋画を師事しはじめた頃、フランス留学以前の作品であり、全体にまだまだ古臭くかつ生硬な印象はあるものの、中に時々フランスのアール・ヌーヴォーを思わせる優れた作品が現れ、その豊かな才能の片鱗をうかがわせています。
■今週はこの他、昭和45~50年頃に横浜方面で撮影された鉄道・路面電車の写真ベタ焼きファイル5冊、大工仕事の基礎を図版で教えた明治期の和本類5冊が入荷。また、昨日店に入った大量の背革装の古い洋書については、目黒のアンティークショップに入れるべく値付けに入る予定。目黒に運び出す前に小店店頭でご覧になりたい方は、少々急ぎ気味にご来店いただければ幸いです。
■注意!!! 来月より「銀座 古書の市」の目録作成作業に入ります。現時点ですでに数か月お取り置きになっている商品で、今月中にお支払いが確認できない商品、もしくは今月中にお支払いの目途をお知らせいただけなかった商品についてはキャンセル扱いとし、目録への掲載或いは店頭へ再リリースさせていただくことがあります。予めご承知おきいただけますようお願い申し上げます。