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18/11/24 お茶と蔵書票…???

■今週は月曜日にするはずだった更新をすっぽかし、火曜日はお知らせもしないまま臨時休業するなど、お約束を悉く反故にするなど、商人の風上にも置けぬ行状に、お詫びの言葉もない次第、どうかご海容を賜りますようお願い申し上げます。
その分はこの3連休に取り戻すべく、市場にだけは勤勉に通ってみるも、素寒貧の古本屋には結果がついてくるわけもなく、全体的に凡庸な新着品が多くなりましたが、ご案内は今週もできるだけそう簡単には手に入りそうにないものから。本当は右から左に売れるものが理想。
 
先ずは日本茶の茶葉の販売用の紙袋96点 (極僅かですが上新粉・餡などの袋が混じります) を糊貼りしたアルバム1冊。印刷の調子、色味、紙質などから見て、概ね昭和初期のものではないかと思います。
他に江戸末~明治初期のものと見られる和紙に木版刷の袋類が挟まれているお陰で、およそ半世紀隔たった製紙・印刷技術の進展と普及ぶりが見てとれます。
アルバムの表紙に貼り込まれた洒落た商標 - お盆と茶壷を手の上に載せている図 - は宇治のものですが、集められていのは信州長野・上田近辺のもの。
デザインを細かく見ていくと、ほとんど同じフォーマットを使用しつつ、茶葉の階級によって店名・商品名・謳い文句などの入れ方を変えることで、高級感を出したり、印刷コストを抑えたりしていた様子がうかがえます。
商標の意匠はほとんどが格調高い和風デザインですが、中にアール・デコ調のものも数点見られ、この辺りも年代特定のヒントとなりそうです。 

残念ながら、旧蔵者を特定できるような手掛かりがないため、日本茶小売り業者か印刷業者か、はたまた日本茶愛好家か、旧蔵者については想像するにとどまりますが、いまもって和風デザインのための参考資料としてはなかなか優秀な出来栄えだと思います。
 
■昭和の初め、日本で蔵書票愛好者のための組織を立ち上げた小塚省治。小店がこの人がもっていたヨーロッパの蔵書票を市場で落札したのはかれこれ3年前のこと。小塚省治につながる商品の入荷は、今回でようやく2度目となりました。
昭和4(1929)年に日本蔵書票協会を立ち上げたとされる小塚が昭和8(1933)年に刊行し始めた『日本蔵書票協会 第一蔵票集』と、昭和12年刊行の『日本蔵書票協会 第五蔵票集』が入荷しました。
『第五集』の巻末に貼り込まれた小塚による「第五蔵票集出版」(孔版刷1枚)によれば、当誌は蔵書票現物の貼付も製本も小塚の手作業による手製の冊子。『第一蔵票集』はそれでも限定200部を出していて、今回入荷したのはこのうちの特装第一番『第五蔵票集』は限定70部内会員本特装20部のNo.10。号を重ねて部数が減っているのは当時の日本における蔵書票趣味の限界を示すものなのか、或いは支那事変勃発等『五集』発行当時のご時世を反映したものか、二~四集の経過を確認する必要がありそうです。
『第一集』は56点、『第五集』は39点内38点(1点欠)のオリジナル版画による蔵書票を所収。発注者には川崎巨泉、根津嘉子等、版画には徳力富吉郎、川上澄夫など。全体に現在人気を集めているエロティックなものはほとんど見られず、むしろ素朴なデザインが多いなか、『第五集』には「特別作品」として木版で刷られた矢野橋村の作品1葉も収められるなど、洋の東西を超え、優れたもの・新しいものを嗅ぎとることのできた小塚の脂質が反映されているようにも思われます。
紙質のせいか、辛うじて冊子の体裁をとどめているような状態ですが、発行部数や経過した年月を思えばいま残っていること自体が大変珍しい同好会誌です。
 
万博が大阪に決定!? オリンピックも万博も原発も、成熟し、時代を前進させていこうという国家・市民からすれば20世紀のうちにとっくに終わったものばかり。よくもまあここまで揃って日本に残ることよと感心しきりであります。それにしても万博って。そんなお金、どこにあるんだ? 

 

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