■先週更新を1回お休みさせていただいている間に11月もはや後半戦。その間に東京ばかりか北海道や大阪、神奈川あたりまで、コロナ感染者数が急拡大の様相を呈するに至りました。
今日11月21日(土)からの三連休は"我慢の3連休"が提唱されておりますが、店での仕事がたまっていることもあり、21日(土)はひっそりと営業いたします。
根津美術館の甍とちょうど同じくらいの高さに位置する小店、根津さんの方から吹いてくる風が店内を通過して、換気にだけは事欠くことがありません。
マスクの着用と手指の消毒についてはこれまで通りご協力をお願いいたします。また、当面はお連れの方は3人様までとさせていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、引き続きご理解・ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
■今週の新着品1点目は久しぶりの王道で・直球で・そして本! 日本工房改め国際報道工芸の制作による対外宣伝=プロパガンダの書、1942(昭和17)年発行の『日本照片集1 重工業』。
発行は、権力の中枢にありプロパガンダと思想統制を担う情報局管轄下にあった国際文化振興会(KBS)によるもので、この頃、名取洋之助率いる国際報道工芸はKBSとがっちり組んだ仕事を次々に世に出しました。
『日本照片集1 重工業』は中国語版で、他に日、英、仏、安南、マレー、ビルマ、タイ語のヴァージョンが存在することが確認されている一方、シリーズ「1」に位置付けられいる重工業号に続くはずだった「2」以下の刊行物は、いまのところ確認されていないようです。
当品の記載は全て中国語。巻頭に序文が置かれる他、本文中のキャプションはいずれも極簡単簡潔なもので、実際には写真集と云うべき内容。申し遅れましたがタイトルにある「照片」は中国語で「写真」の意味。そのものズバリのタイトルです。
序文で語られているのは、短期間で達成することのできた日本の優位性です。曰く…… 日本は明治維新後わずか70年あまりで飛躍を遂げたが、とりわけ産業、なかでも重工業の発展が目覚ましく、そのおかげで今日の国防国家体制が築かれている。その驚異的躍進について1冊にまとめたこの書物は国際文化振興会の誇りとするところである……といった調子。
さて、肝心の写真はといえば、土門拳、木村伊兵衛、溝口宗博、杉山吉良の4名。巻末のクレジットでは、どの写真が誰の作品なのか、掲載されている写真のページ数が写真家別に並べられていて、資料としての使い勝手もなかなかのものと見られます。
薄暗い製鉄所とそこに差し込む自然光をドラマチックにとらえた写真など、捨てがたい写真多数有。あとは別の言語の刊行物と内容が完全に一致しているのか、多少なりとも異同があるのか、気になるところではあります。
■2点目は『OPICS』=光学というタイトルの洋書から挿絵部分だけを抜いたと見られるプレート。22枚一括での落札で、旧蔵者は海外で売られていたものをまとめて買って架蔵していたようです。
それぞれのプレートの一番下、米粒の三分の一くらいのサイズで印刷されているクレジットに目を凝らすと、「1819」「1820」との年記と「ロンドン」「銅板画」とあり、年代と印刷技法が確定しました。色付けは手彩によるものと見られますが、どれもとても丁寧で失敗がありません。
光学用の各種機器・装置とその仕組みの他、視覚や光の屈折などを図式化したプレートも含まれており、こちらはこちらで魅力的。
この商品については多言を要さず、額装するかコラージュに使うか、プレゼントとして選んでみるか …… 先ずは感覚で選び、自由にお楽しみいただければ何よりであります。
■さて、コロナ感染と睨み合わせながら、世の中はクリスマス商戦へ。というわけで、長年、小店の商品を置いて下さっている目黒通りのアンティークショップ、ジェオグラフィカさんのクリスマスイベントが本日21日(土)よりスタート!
今年は「聖なる夜とセピアの書斎」をテーマに、紙モノ好きでここを知らない人はモグリと云われるハチマクラさん、独自の世界観がクセになるとの噂のpiikaさんなど初参加のお店も!
小店からも欧米各地のトレーディングカード、フランスの化粧品関係のラベルや包装紙、戦前の海外の地図・ガイドブック、クリスマス向きのポストカード、寝しなに読むために編まれた佇まいの良い短篇小説の冊子などなど、紙モノを大量追加いたしました。
吹き抜けのある広くてゆったりとした空間で、一足早いクリスマスをお楽しみ下さい!
詳細は下のアドレスから。よろしくお願いいたします。
https://ec.geographica.jp/news/IF000279