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21/06/12 1920年代後半・洋画の宣伝表現を手引きする「広告素材集」入荷 !

■今週火曜日より、営業を再開いたしましたが、今月20日まではアポイント制とさせていただきます。ご来店をお考えの方は、火・木・土曜日の12時~19時でご都合のよろしい日時をお知らせ下さい。
また、ご来店時のマスクを着用と、店頭での手指の消毒についてご協力をお願いいたします。
今年堂々 もとい とうとう還暦を迎える小店店主にはまだワクチン接種の通知さえ届いておりませんが体調は至って好調、また、店内換気と消毒を心掛けてご来店をお待ちいたしております。
色々とご面倒をおかけいたしますが、ご理解・ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

今週金曜日の市場は映画関係のパンフレット・チラシ類で溢れかえっておりました。映画関係の書籍や雑誌、或いは台本やポスターといったものはほとんどなく、(もし昨日の出品分でほとんど手放したとすれば) 旧蔵者は徹底的にアイテムを絞ってコレクションしていたものと見られます。
ある商品には、移転前、まだ大岡山(大田区北千束)に店があった当時、参加していた百貨店催事の目録から小店の掲載頁を切り抜いたものが挟まっていて、どうやら当時、日月堂でも買って下さっていた方の旧蔵品のようでした。
落札品を自宅に持ち帰り改めて眺めれば、今週の新着品はその当時に買っていただいたものを買い戻しただけなのではないか?と思えてなりません。古本屋稼業も四半世紀、ここ数年、この程度時間が経つと懐かしい商品と再会する機会も増えてきたなあと思い、がしかし、結局、そうしたものを買い戻しているところをみれば、どんなに時間が経ったところで、好みも知識も評価も入札価格のふみ方も変わっていない?ような、つまりは全然進化が見られない??ということじゃあないか???と思えてきて、少々たじろいだりしております。まぁ、今更申し上げることでもありませんが。しかしねえ。
なんてことはさておき。
その内のひとつが1929~30年前後の映画宣伝の手引き、『広告材料集』です。入荷したのは3冊。
元々は映画専門の定期刊行物の附録のようなかたちで流通していた宣伝素材を集め、映画館や配給元など向けにビジュアル資料として上製本に仕立てたものと見られます。綴じ込まれているのは全て1928~1929年前後数年の間に日本で公開された海外映画に関するものばかり。
3冊ともに厚さ2cm超で全ページ裏表とも印刷。奥付はありませんが、映画のタイトルによっては輸入元・配給元とその連絡先などが記載されているものも。
また、ビジュアルには写真とイラストとを併用、さらに日本独特の山田伸吉的手書き文字が加わり、さらに加えて日本語による宣伝文句が盛り込まれ …… といった具合にとてもたくさんの要素を果敢に盛り込んだ結果、少々奇矯とでも云うのか、日本独特の表現になっているように思います。この点では、写真にイラストを配し、エンボス加工を加えた絵葉書 - 国家行事や軍事・皇族がらみの絵葉書多くみられるアレですね - と共通するような感性が作用しているのかも知れません。 

■さて、今回画像にあげるのは3冊のうちの2冊。1冊目の白眉は何といっても“旧弊を破れる絶対的純粋映画”と惹句にある作品で、フォトモンタージュを駆使した堂々8ページにわたる「伯林大都会交響楽」の広告素材にあります。映画館の週報のなかには、実際、当書所収の8頁をほとんどそのまま全部使って発行した号もあるのですが20年近く前に一度扱っただけ(珍しさという点では「メトロポリス」より上かも知れません)。 制作されたドイツ本国で1927年に公開されたこのドキュメンタリー映画は、20世紀前半、束の間の戦間期に花開いた現代都市のダイナミズムを、いささか神経症的にも映るタッチで描き出したもので、このフォトモンタージュは作風に見事にマッチしています。ご興味をお持ちのかたは、
「berlin-die sinfonie der grossstadt」でケンサクすると全篇YouTubeで観ることができますので是非。
こちらの1冊にはこの他、画像中の「レビュー時代」のようにカラフルな広告も多数。キッチュな面白さに満ち満ちております。

もう1冊の方は全体に「スミ+赤」の2色刷が多いという点では控えめながら、その制約がむしろ大胆な画面構成を生み出したようにも見える広告が多く、1冊目とは対照的。赤と黒と云えばついついロシア構成主義を想起したりするわけですが、実際、全体にロシアに関係する映画の広告は多く、巻頭は11頁にわったってエイゼンシュテイン監督作品『全線-古きものと新しきもの』が占めています。この他、「大地」「極北に進むソヴェート」「カラマゾフの兄弟」など。
また、「嘆きの天使」「巴里の屋根の下」「西部戦線1918年」「有頂天時代」「モロッコ」などの名作映画の宣伝が多いのも特徴
。それだけに、ひねった表現が少ないきらいはありますが、しかし、モノクロ2頁+袖1/2頁折込のフリッツ・ラング監督作品「月世界の女」の表現など、やはり捨てがたいものがあります。
残る1冊について、細かく見ていくのは明日以降となります。
松竹座ニュース等その他の本日の新着品とあわせ、しばしお時間をいただきます。
あ! 羅甸区とはどこのことやらと見れば「カルチェラタン」のことだそうです。何故この表記?

■OMIというヒトを少しだけ見直した今週、がしかし党首が出てきたところで総理との「討論」なんて成立せず、東京での「表現の不自由展」にはまたしてもケチがつき、オリパラ開催か中止かを誰がいつ判断するのか誰が言い出すのかは未ださっぱり分からない・いやもしかしたら分かっている人がひとりも居ないんじゃないか?とさえ思えてくる、多方面にわたって第二次大戦最末期に似たこの状況に背筋がぞわぞわしてくるのでした。
いまの心の支えはSさんとOさんです。私の場合。
https://www.facebook.com/photo?fbid=4082793551796977&set=a.347551258654577
https://twitter.com/tako_ashi/status/1401571198601809920
 

 

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