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21/09/18 やっぱり好きな見本帖とガラス乾板


■ああでもないこうでもない がしかし ああだったのかも知れないなと くだくだしい説明を要するような手強い商材(になるかも知れないもの)と、今年はほとんど出会えていないことに気付いてちょっと心配になってきました。
日月堂はエフェメラ=紙モノで一次資料にあたるものを中心に扱う、日本ではまだ珍しいスタイルの古本屋です。 
古本屋の云うエフェメラとは、ペラ1枚もののフライヤーやチラシからDM、チケット半券、ポスター、場合によっては領収証や使用済みの証券などまでフィールドは広く、各時代のモードを描いたファッションプレートなど、ある時代の特徴を色濃く残すものを大切にします。
また、雑誌の他、パンフレットやリーフレット、プログラムや同人誌などの小冊子もエフェメラ専門店の扱い範囲であり、見本帖やスクラップブック、カタログなど、本来消費期限がきれたところで捨てられてしまうようなものに重きをおくのも、この分野に主力をおく上での特徴だと云えるかと思います。写真帖も被写体や年代によっては高値で買い付けできるものもあります。
作家や画家、著名人の書簡やハガキ、自筆原稿など、誰がみても価値のありそうな直筆ものや銅版画や木版画などの作品も扱いますが、上記の通り、断捨離の度に真っ先に捨てられてもかおしくないものを主力商品としているわけです。
メルカリでトイレットペーパーの芯が売れると聞きますが、捨てずにとっておいていただきたいものが、みなさんのまわりには実にたくさんあるはずです。
「おや。」とか「もしかしたら。」「はてさて。」などなど、捨ててしまってよいものかどうか迷った時こそ迷わずに、小店までとりあえずお問合せ下さい。お電話は東京03-3400-0327まで。どうかお気軽に! 何卒よろしくお願いいたします。

と、書き始めた流れもあり、こんなのまで商品になるのかというのが1点目。町のお菓子屋さんに消耗品を卸していた専門店「釜屋商店」印刷部による「掛紙」の見本帖。「東京市芝区新橋」の住所表記、デザインの傾向や紙質、また、表紙のご挨拶文に「今回第一回の作品を数十種発表いたします」とあることなどから、戦後のもので、1947年頃までのごく限られた時代に作られ使われたものと見られます。
同じ挨拶文には釜屋商店の「印刷部の創案になる」との文言があり、デザインは社内スタッフによるもの。例えば杉浦非水風や河野鷹思似からヨーロッパの図案的なものなど、引用とかパクリとか云えばそれまでですが、実によく勉強していたことが分かるデザインが目をひきます。

見本帖は取引各店に配布。発注する時には見本帖から発注分を引き抜き、屋号や商号・住所などを入れたいところに書いて注文する、という使い方をしていたようです。
サイズは26.5×38.5cmとやや大ぶりで、和風もあれば洋風、また、お祝い菓子用も香典返し用も揃っている全56種・56枚のひと綴り
表紙の傷みが惜しまれますが、発行元、時代、使い方などまで分かるという点では、デザインの面白さだけでなく、資料的な意味を併せ持つ珍しい1冊です。

■2点目は端的にモノとしての美しさでまたしても手出ししてしまったガラス乾板。どれだけ買えば気が済むのか… はさておき。シカゴ美術館のライアソン図書館(現・ライアソン アンド バーナム アーカイブか?)に収められていた写真資料で、1910~1920年代に複写されたものと見られます。
今回入荷したのは約80点。ヨーロッパのロマネスクからバロック様式の教会建築を中心としたセレクションで、薄く彩色するなど繊細な手仕事の痕跡含め、是非、現物をご覧いただければと思います。
画像にとったのはペテルスブルクの聖ピーター&ポール大聖堂、世界遺産となったバンベルクの大聖堂、ニュルンベルクの聖セバルドゥス教会、ドイツのビショフスハイムのカソリック教会など。
「ライアソン アンド バーナム アーカイブ」で画像を検索してみたのですが、これまでのところ公開されているデータに重複するものはなく、データの公開がこれからなのかデータ化かされることなくガラス乾板がもれ出たのかなど詳細は不明。ただ、シカゴ美術館の図書館、被写体、被写体に関する情報をタイプ打ちしたメモが貼り付けているのガラス乾板のモノとしての存在感を高めるのに役立っています。
と云ったところで、実際にはなかなか売れないガラス乾板。やれやれ。
小店店主同様、ガラス乾板を見ると放っておけなくなる人が現れるか育つかするのを首を長くしてお待ちいたしております。

今週の斜め読みから。
「美しく成長する国」と仰る方の背後にはこの方が。
https://dailycult.blogspot.com/2021/09/blog-post.html?spref=tw&fbclid=IwAR0iYvo87LzbnJ0WN_VSCQU0haNxkB8vY7EQKkTYUPhMVPeuNJOpDwIKB84

翻って世界を見れば、ことは「何とかミクス」なんぞでどうにかしようとする方がどうかしていることが分かりそうなものなのに。
https://wired.jp/membership/2021/09/13/why-commons-is-important-for-next-economy/?fbclid=IwAR3GAbbGYOAIzN9NyEbTqiC8hRAfaOduSdfeF3lDRHir06471hETzlj0PXY

同じ第二次大戦敗戦国にしてこの違いに愕然として。
https://mainichi.jp/articles/20210914/k00/00m/050/286000c?fbclid=IwAR3kLCFlsqVz_Ibtid4DY6bR4hIsU5-R5bjOG6ubbpWf9dDkXZUAI1GGjAg
我彼の違いを生んできたのは紛うかたなき国民の責任なんだよなーと つい遠い目になる。

 

 

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