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22/02/11 明治初期 銅版扇面7点内 珍品!?『御布令之譯』ほか

■先ずはお知らせです。
愛書家の方たちに支持されている書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS」。
鹿島茂先生が主宰するこのサイトから実店舗が生まれることになりました。
神保町はすずらん通りの中ほど。区画数300近くの棚貸し共同書店。
お店の名前は「PASSAGE by ALL REVIEWS」。
ALL REVIEWSに参加している文筆家・研究者の方々の多くが出店されるこの店に、小店も小さな小さな棚の部分をお借りし、末席を汚すこととなりました。
店内はその名の通り、パリの古本屋さんを思わせる瀟洒な佇まい。
棚にはフランスの文学者の名前による通り名が、棚の段には番地がふられています。
小店のスペースはアレクサンドル・デュマ通り6番地
開業25周年にして、小店が神保町にもつ初めてのスペースです。
とても小さなスペースだとはいえ。緊張しております。
今月はプレビュー期間で一般公開は3月から。
個人、グループ、出版社など、出店可能だとのこと(いまのところまだ空き有)。
古本屋は現状、極少数派です。
ご興味ある方は下記のアドレスから詳細をご覧下さい。是非!
https://twitter.com/PASSAGEbyAR
https://www.instagram.com/passagebyallreviews/
https://www.facebook.com/PASSAGEbyALLREVIEWS

ALL REVIEWSのサイトは下記に。いうまでもなく、こちらも是非!
https://allreviews.jp/

さて、今週の新着品です。見本帖の綴りになっていたり、一枚ずつのバラだったり、形状は別にして、扇子の図案部分が木版で刷られたものなら、ご覧になったことのある方も多いのではないかと思いますが、銅版画で刷られたものをみたことのある方は意外に少ないのではないかと思います。
今週の新着品は珍しい銅版画の扇面7枚。ここではそのうち4点を。
1点目は扇面としては珍しく両面を使い明治政府のおふれ90條を絵入りの扇面に仕立てた『御布令之譯(おふれのわけ)』。明治政府の官許をうけ、明10(1877)年に大阪で製造発売された銅版画による扇子の両面です。

銅板画による扇面は、小店店主が目にしてきたものに限って云えば、明治の初期につくられたものが多く、建物や風景を細密に表現したその精緻な技術に対する評価が先行してか、古書業界では主に明治期に普及をみたひとつの印刷技術に関する資料として扱われている印象があります。
今週小店に入荷したもの7点は、これまでみてきたそうしたものと比べると図案的には大味で、銅版画としての精密さには欠けるものの、図版に起こされたモチーフはとてもユニークなものです。
なかでも「第三百五十六号布令」を描いた『御布令之譯』は罰則規定から始まり、罰則の対象となる行為を全て「~する者」、つまり、不届き者の絵を添えて表現したことで、面白い読み物に匹敵する印刷物となりました。
刑罰対象の行為ひとつひとつを3cm角程度のマスの中に表現した絵は、略画式にならざるを得ない分、文人画的とでも云いましょうか 素朴で どこか剽げた味わいがあります。図版2点目で、その軽妙な絵の味わいを少しでもお伝えできれば良いのですが。
90条の内容を見ていくと、いまの交通ルール・道路使用制限にあたる路上往来に関するもの、所有権・使用権の侵害に関するもの、そして暴力や不道徳に関するものがほとんどですが、「そんなものが?」というものもあり。
ここで90條の内、ごく一部をランダムに並べておくと ……
〇乗馬して猥に馳駆し又は馬車を疾駆して行人を触倒らし者
〇往来筋の号札又は人家の番号名札を戯に破毀する者
〇男女入込の湯を渡世にせる者
〇贋造の飲食物並びに腐敗の食物を知って販売せる者
〇他人の獣畜類等に犬を嗾拭せる者
〇雑魚乾場に妨害をなす者
〇神仏祭事に托し人に妨害をなす者
〇御用と書たる小旗提灯等を許可なく猥に用ふる者
などなどきりがありません。
「外国人を私に雑居せしむる者」といった この当時ならでは御布令もあり、90條からは、当時の街の往来の様子、ある時代を生きた人たちのすがたが読み取れるようです。
銅板画の技術より情報に軍配あり! の珍品だといえそうです。

■画像3点目は残る5枚から名所を描いた2枚を選びました。
珍しく多色刷りされた上の1枚は『大日本八勝景』。松島、宮島、天橋立、清水寺、周防室島、一之谷というのもちょっとユニークな気がしますが、「東京築地保亭留館庭中之図」「大阪鉄橋之図」が入っているのがこの時代ならでは。
ちなみに「東京築地保亭留館」は何かと思えば「東京築地ホテル館」の当て字。
地色に黄色をひいて「Ⅰ~Ⅻ」の数字が書かれている部分は1から12までの数字の表記と時間の読み方。「時間」に関する部分と「八勝景」との関係はよく分かりませんが、扇子に仕立てたことを考えると、当時としては尖端のハイカラ趣味を表わすものだったのかも知れません。
下は『三府四十二縣引突名所一覧』
こちらは京都府二条城、長野県善光寺などごく順当ですが、何故か「高山測量計」つき。
念のため、残り3点のタイトルは『西南勇士集』『勤王報国 忠臣鑑』(明治11年 京都)『西日本地名図』(仮題/東日本編とで1対か?)。こちらも情報型。

オミクロン株の感染者数は気持ち下降傾向にありますが、医療現場の逼迫解消のメドは依然としてたっていないようです。
店内換気には努めておりますが、寒さや花粉の問題まで重なってきました。
可能な限りご入店はお1人様あるいは1組様ごとでお願いいたしたく、事前アポイント制にご協力いただければ幸甚に存じます。
また、ご来店に際しましては不織布マスクの着用と入店時の手指の消毒をお願いいたしております。
ご不便をおかけし誠に恐縮に存じますが、引き続きご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

■今週の斜め読みより。
誤り? ねつ造?
https://www.tokyo-np.co.jp/article/159515?fbclid=IwAR26KTvnR-hyBrRSzm_iPtH8kn7OV2ZiGJz-GZfOGdz6956hNP91Py13DJc
参議院議員がこれだから……
https://mobile.twitter.com/hashtag/%E3%83%9D%E3%83%97%E3%83%A9%E7%A4%BE%E3%81%AF%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AB%E8%B2%A0%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%AA?src=hashtag_click
前の前の総理大臣のつけまでまわってきてる2022年。竹槍か?
https://news.yahoo.co.jp/articles/50a43b6cf5c710d350a94d0c61a0f4eb0b018f76

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