■先ずは来週の営業日程のお知らせから。毎年恒例の「明治古典会 七夕古書大入札会」が7月8日(金)より3日間にわたり開催されます。このため、7月9日(土)は店は臨時休業とさせていただきます。来週の店の営業日は7月5日(火)・7日(木)の両日それぞれ12時より19時とさせていただきます。ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
■「明治古典会 七夕古書大入札会」について少しだけ。普段は古書組合加盟業者しか入れない入札会場を広く一般に公開し、ご購入を希望されるお客様のご希望にあわせ、古書業者が代理入札するというもの。
出品商品は右のサイトで全点公開されています。→ こちら!
最低入札価格10万円からというディープな古書の世界にご興味をお持ちの方は是非ご高覧下さい。
■今週の新着品1点目は久しぶりのハイレッド・センター関係にして久保田成子関係のエフェメラ。
半年前に東京都現代美術館で開催された「久保田成子展 Viva Video!」の図録の表記に従えば「ハイレッド・センター:イヴェント集」。現品にもクレジットされていますが、1965年、久保田成子の編集により発行されたもので、図録によれば制作はジョージ・マチューナス。
久保田成子の渡米は1964年。久保田がアーティストとして生きていこうと決心し、そのために選んだ土地がニューヨークであり、ニューヨークで久保田と、久保田とともに渡米した塩見允枝子とを温かく迎えたのが、フルクサスを率いるジョージ・マチューナスでした。
久保田は1963年に初めて「読売アンデパンダン」に作品を出品。同じ年、内科画廊で初個展を開くなど、前衛芸術に傾倒していった東京時代に親交を深めたと云われるハイレッド・センターの資料をニューヨークに持参。それらの資料をもとに、製作されたのがこの「イヴェント集」です。
前掲の図録によれば、こうした活動を通じて久保田は「東京とニューヨークの前衛の橋渡し役ともなった」と云います。
高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之=ハイ・レッド・センターの3人が「ハイレッド・センター」を結成したのも久保田が東京で活動を始めたのと同じ1963年。
「ハイレッド・センター:イヴェント集」はA2より多少小さいサイズのザラ紙を使い、両面印刷。片面には、1962年に始まる彼らの活動を、東京の中心部の地図の上に位置付けながら概要を記し、21件のイヴェントをポインティングしています。
裏側には、それぞれの活動を記録した写真30カットで構成されており、高松、赤瀬川、中西の他に、KAZAKURA(風倉匠)のクレジットが認められます。
さてこのエフェメラ、何のためにつくられ、どうつかわれたのか?という疑問が残ります。
こ点については、ハイレッド・センターを世界にひろめようとしたマチューナスが赤瀬川の「梱包」シリーズ作品に倣い、ボールを包む梱包作品ための紙としてつくったという説があります。但し、その製作年は1969年。いますぐ確認できるのは地図を印刷した片面のみ。
1969年に年記を差し替え片面のみ印刷した再版が存在するのか、1965年に制作された「イヴェント集」のデッドストックが使われたのか、いまのところよく分からないままです。
7月に入る前からの異様な暑さも悩ましいものですが、フルクサス関係の印刷物に常にまといつくこうしたモヤモヤもまたなかなか悩ましいものではあります。
■あくたまさひこ。芥正彦。この名前、どこかで聞いたような見たような、と云う方は、映画館かNetflixで最近「三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜」をご覧になったはず。1969年、東大駒場キャンパスで開催された討論会で、東大の代表する論客のひとりとして登場。みるものにとりわけ強い印象を残した人物です。
討論会は1969年5月のことでしたが、それから約二ヶ月後に芥が代表をつとめた劇団駒場による「都市文化祭公演 空間都市-第五砂漠のホモルーデンス」の公演台本とチラシ、翌70年の公演「形態都市」のプログラム(株式会社地下演劇社」のスタンプ有!)3点と「季刊新聞 形態都市報」創刊号が入荷しました。
「空間都市」は東京体育館、「形態都市」は四谷・離宮ハイムが会場。脚本は当然とはいえ、新聞についても芥の言説で埋め尽くされている感があります。
同じ東大駒場で野田秀樹が「夢の遊民社」を結成したのはいつかと調べてみると1976年のこと。芥の都市シリーズとはたった7年ほどしか開きがないのには不意をつかれました。
アンターグラウンド=カウンターカルチャーとサブカルチャーとの分水嶺はもしかしたら1970年代半ば頃?
■選挙が近づいてきました。小店店主はタナバタのため不在者投票に行ってきます。投票の参考になりそうな情報をいくつか。
これは具体的で実用的なヤシノミ作戦については「こちら」を。
軍事費を増額する政策について考えるには「こちら」を
こういう番組が増えてくれればいいのにと思った番組の内容は「こちら」
考えるヒントは他にもいっぱい! そして、先ずは「投票に行こう!」ですよええほんとにもう。