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08/02/29 Information

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庄野義信の著作『死の書・1分冊』『死の書・2分冊』(昭和3年発行・私家版限定500部)と昭和8年発行『死の書 短篇小説集』

■年が明けてから一体何をしてきたというのか、大した成果もないままに3月に突入するというのには愕然とします。とりあえず来週も火・木・土曜日の各日12時~20時で店を開けながら、5月・6月の外催事についてそろそろ考え始めねば。またこうして上半期が「あっ」という間に過ぎていくわけですね。やれやれ。 今月最後の入札会から、今週も新着品を上の画像とともに。三冊すべて庄野義信の著作、『死の書・1分冊』『死の書・2分冊』はいずれも昭和3年発行の非売品=私家版限定500部、『死の書 短篇小説集』は昭和8年、当書表紙の記載によれば「文芸雑誌“新人”創刊号・別冊附録」として発行されました。庄野義信の名前は海野弘他編による「モダン都市文学」シリーズの第三巻『都市の周縁』に「エマ子とその弟」がとられていることからご存知の方もいらっしゃると思いますが、国立国会図書館の収蔵書と、念のために「日本の古本屋」で見た限りでは、批評や論考、編者としての仕事を除き、創作作品は今回落札した三冊に収められた約20篇でほぼ全てなのではないかと推測しています。作品のなかから、「常識的に破滅した人々」は娼婦とロシア人との間に生まれた男の人生回顧、「恐ろしき顔」は一夜の遊びの結果に背筋を寒くする話、「フララの脚」はいまでいうところの脚フェチ(…といっては軽すぎる偏執狂ぶり)で身を滅ぼす男の話、「行方不明になった労働者」はプロ文風ながら何故か舞台はアメリカ、といった具合。どこかが少しずつ捩れているといった感を受けます。一方で「新宿の武蔵野館」だの「下北沢駅近くにある分離派風の女の住宅」、「丸ビル九階の××亭」だのと、パラパラめくっただけでも当時の“いかにも ”な道具立てが揃えられ…ううむ。これはなかなか面白そう。と思いたいのに現在無名。やはり駄作か?どうかは、読者になってやろうという奇特な方に委ねるとして、少なくとも「著者自装」とある装丁の仕事、とくに『短篇小説集』の洗練された線描などはなかなかのものだと思うのですがどうでしょう。

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商品化途上にある紙モノの一部。カルピスやプラトン・インク、化粧品等のラベル。

■他の落札品がこれまた手間のかかるものばかり - 調べが必要な洋書、落丁繰りをしないといけない作品集、おまけに芦屋の写真館撮影分を大量に含む…「芦屋」という一点で買ってしまった…戦前の写真が大きなダンボール1箱などなど-なので、今週はそうした “手間の途上”の様子の一端を画像でお届けいたします。白い和手拭に貼り付いたままの状態でスキャンした画像は、脈絡なく台紙に貼り付けられていた紙モノコレクションを脈絡のある商品にすべく、水に漬けて台紙からはがし、和手拭と新聞誌とに挟み、これをこまめに取り替えながら重石をかけてほぼ十日、「やっとここまで参りました。」の図。これだけ手間と時間をかけようと思う紙モノコレクションは最近めっきり少なくなってしまったのですが、この旧蔵者のセレクションには久しぶりに「おおおっ」と惹きつけられました。とくに化粧品のラベルやパッケージ、万年筆インクなどの文具関係やカルピスなど飲料のラベル、小さな封緘などに優れたデザインのものがたくさん含まれています。香港のホテルや日本郵船のバゲッジ・ラベルもちらほら。やちなみに画像上右の赤の帯紙は「プラトン・インク」、左真ん中の帯紙は「カルピス」、その右に並ぶ化粧品各社のラベル3点はパリの蚤の市で目にするものと遜色のないデザインです。こうして剥がしとった紙モノは今回総点数約120点。こちらは来週火曜日より整理のついたものから販売いたします。* 画像には傷やイタミのあるものも写っていますが、ここから剥がして販売する際には状態のよいものに限ります。 「雑書目録」だけでなく、時々、何だか突然覚醒したかのように画像付きの目録にもデータをアップしております。来週も数点ずつですが「BOOKS」「A LA CARTE」へのアップを準備中。こちらも併せてよろしくお願いいたします。

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