■先ずは来週、ご留意を賜りたいご案内をふたつほど。来週火曜日は「洋書会大市」のため、店はお休みをいただきます。来週の営業日は22日(木)・24(土)の各日12時~20時となりますので、どうかご注意ください。また、来週初めには即売会「地下室の古書展=アンダーグラウンド・ブック・カフェ」合同目録より、小店分のみをアップいたします。こちらは即売会開催に先駆け、アップと同時にご注文を承ります。アップ時にはこのinformationで改めてご案内させていただきます。また、「地下室の古書店」の即売会&イベント・展示企画に関する詳細は
■左翼思想が息を吹き返すことはなく、プロレタリア文学なんぞ忘却の彼方…かと思いきや。何と、小林多喜二の『蟹工船』が異例の売れ行きだとか。新聞記事に驚き、しかし読んで納得。ならばプロ文、売れるか? といったらことはそう簡単なはずないものの、お次の新着品-こちらは正真正銘の落札したて-そのプロ文の諸相を収めたアンソロジー、労農芸術家連盟文学部編『文戦1931年集』と江口渙・貴司山治編『戦旗36人集』、ともに昭和6年発行の初版。『戦旗~』の巻頭は多喜二の「市民のために」が飾っています。『戦旗~』発行はその多喜二が特高による拷問死を遂げる二年前、その序文によればすでにこの年、このアンソロジーの母体ともいえる雑誌『戦旗』は発行9回のうち実に7回が発禁処分となり、犠牲者も相次いだといい、“われわれは犠牲となったそれ等の同志達の家族の慰安と救援のために”この本を発行し、印税を贈ることにしたとあります。かつて、美名のもとに積み重ねられてきた死屍累々を超えて、なお手渡されてきたからこそ存在するものが、いま苦境にある人たちを励ましている。いまどき珍しい「いい話」ではないかと。さて、今週の新着情報は手短ですがこんなところで。他の落札品が店頭に出せるまでには少し時間がかかりそうです。次回、「洋書会大市」で首尾よく面白いものが落手できれば、来週少し早目にご紹介させていただきますのでご容赦を。さて、これから「地下展」目録アップに向けてもう一仕事。夜は長いゾ。