#205 6-1-6 Minamiaoyama Minatoku TOKYO
info@nichigetu-do.com
TEL&FAX:03-3400-0327
sitemap mail

detail

08/06/21 Information

top080621-1.jpg

珍しく「花形」と呼ばれる活版印刷用の装飾図版だけを集めた、フランス製のカタログ。20世紀初頭のものか。

■とりあえず「雑書目録」に新着品をアップしつつあるものの(乞ご高覧!)、今週も山成す紙モノには手も付けらず、棚の入れ替えもままならず、何でそんなに忙しかったのかというと具体的に思い浮かぶこともなく、どうも即売会後の虚脱状態が続いていけません。そろそろエンジンを全開にして、来週も店は火・木・土曜日、各日12時~20時で営業いたします。呆れず懲りずお付き合いのほどお願いいたします。 ついこの間、ペニョ社の総合カタログがようやく嫁入りしてくれたばかりだというのに…またしても売りにくいものを買ってしまったフランスの印刷会社の総合カタログ。といっても、本日落札いたしました『Cliches Typographiques』は日本で「花形」と呼ばれていた活版印刷に使われる装飾的図版だけを集めたカタログだというのが面白いところ。厚さ約3.5cmの上製本の体裁をとっていますが、途中で紙質やデザインの傾向の異なるページが追加・製本された痕跡があり、刊期の記載はないものの、20世紀の初め頃から少なくとも一定期間にわたり大切に使われていたものと想像されます。図版はアール・ヌーヴォーの優美な飾り罫多数、日用品、ファッション小物各種はもとより工具、農具、聖書のモチーフや動物・植物まで、「ないものはない」と思わせる収録数、即ち「つかいで」たっぷり。加えて例えば、自転車の図版がかなり多めなのは当時流行していた(はず)だからだし、コロニアリズムを背景としたものか有色人種の図版が見られるなど、ここにもしっかり時代が刻印されていて……と、このへんにしておいて、つまりはどう見る・どう使うかはアナタマカセの一冊というわけです。

top080621-2.jpg

出てくるのが稀なカレンダー用の印刷見本(1939年用)。日本風にアレンジされたアール・デコ様式。

■私一人が呆けている内に2008年もはや半ばを過ぎてしまったからといってもさすがに早すぎる賀正賀正賀正…の図版。こちらは紀元2599年 = 1939(昭和14)年用「カレンダー」の印刷見本。全て多色刷りの11点の入荷となります。印刷見本だけはこれまでも結構扱ってきたつもりですが、カレンダーはこれが初めてです。あくまで見本とあって、カレンダーの上部、厚紙で作りつけられた発注元の店名・企業名の入る部分は飾罫のみ、また実際のカレンダー部分は、図版で示した表紙にあたる1枚の下に、それぞれ一ト月 = 1枚分だけ付けられています。見所はいうまでもなく、この表紙にあたる1枚。船にしても飛行機にしてもカッサンドルのように完璧、とはいきませんが、余白のとり方などに独特の日本らしさが感じられるアール・デコ様式と大胆な色使いに一目で惹かれました。11点全て退色・破損がほとんど見られない美品であるのも嬉しいところ。そして、こうしたデザインを手がけた人々が-例えパクリであったとしても-どこにも名前を残さない無名の人士であったことが、清々しく感じられてなりません。しか無名性を好んでしまう志向性というのは、「有名」「王道」の商材の有無が何といっても力を示す古本屋としてはいかがなものかと自分でもそう思うんですなんてことを書きながらも何気なく来週金曜日の業者向け出品目録を目で追っていたら……うわっ。何ダ!『妖精の距離』の文字があるじゃあないですか!!本当に出てきたら古本屋稼業十数年にして初のご対面。といったところで哀しいかな小店では大いに手に余る逸品とは十分承知。なので、せいぜいこの眼に焼き付けてまいります。古本の市場はまだまだ驚異に満ちています。そして王道をゆく古本屋への距離はその分、途轍もなく遠いと思う平成20年6月現在の日月堂であります。

inquiry 新着品案内 / new arrival に関するお問い合わせ

お名前 *
e-mail address *
お電話番号 *
お問い合わせ 件名
お問い合わせ 内容 *
  * は必須項目です)

recent