■大変恐縮ながら急告、でございます。明日4/30(木)、店は午後3時からの営業とさせていただきます。5/2(土)は通常の12時~20時の営業です。勝手をいたしまして大変恐縮に存じます。何卒ご容赦の上、ご来店のほど、よろしくお願い申し上げます。
■気が付けば来週からゴールデン・ウィーク。来週からGW中の営業日程につきましては左の「営業美案内」で必ずご確認いただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。
■今週の市場には幕末から明治初期に発行された日欧交流関係の出品多数。ぅをわわわわ。こっ、これぅわわあ。という品物が並んでいるのに。ぅむむむむむむ。和本!和本!! 和本!!!…全く歯が立たない情けなさ。というのを噛みしめて帰ってまいりました。こういう機会に思いきりよく買うことでしか、本当は自分の領域拡張なんてできないんですけどぅぉあがぁああ~。…………… 新着品のご紹介です。表紙のペン書き文字も美しい『辻邸家具図案』。表紙には他に「大阪 松安洋家具店 設計部」の紙製シール(画像左下)と「日本建築協会・普通賛助会員 松安洋家具商会・安川梅太郎設計」のスタンプがあります。お金持ちに違いない辻さんという方の邸宅のために、これはいくらケンサクしてもひっかかってこなかった(今週もまたですよ)設計士の安川さんが考えたオリジナルの家具のデザイン集です。オリジナルの家具、ということはつまりこの図案集もオリジナル。応接室を構成する配置図、卓子、小椅子、肘掛椅子、安楽椅子、花台、飾り棚という7点のデザインと俯瞰図が、全て手描き・手彩色で描き起こされた7枚。これを割りピンを使って綴じ込んだこの世に一冊きりの図案集です。安楽椅子のデザイン画には布見本2点の貼り込みもありますが、そしてデジタル画像では到底お伝えしきれるものではありませんが、デザイン画だけでも十分、細部の質感まで伝わってくる見事な出来。卓子のデザイン画に描き込まれた家具の陰影、テーブル・クロスの細かな柄、灰皿から立ち上る紫煙はごく淡い緑色であしらわれ…と、これ一枚で立派な絵画として見ることができるほど。刊期は記されていませんが、アール・デコ興隆の1920年代半ばから30年代初め頃のものとみてよさそうです。
これだけの仕事を残しながら名前を残さなかった安川さん。いや、この程度の仕事なら当時ゴロゴロ転がっていたということか。いずれにしたってすごいことじゃないかと。現物をご覧いただければたちまちご納得いただけるのではないかと。思う一冊であります。
■老眼の裸眼でも網点が見えてしまう表紙のフォト・モンタージュが何だかものすごくカッコイイ『カット輯』は1936年版。奥付はありませんが裏表紙に「東京・銀座 細川活版所」のロゴ(画像右下)がありました。当時既に創業半世紀、印刷業界の“名門”の地位にあった細川活版が販売していた活版印刷用図案の見本集です。全24Pに1~3cm程のサイズのカット図案およそ400点を所収。活版印刷なので当然一色刷りですが、図案のヴァリエーションは豊富。この図案をよく見ていくと…そっくりなのがマッチラベルにあった。『チラシの拵え方』に全く同じのが載ってる。ベティーちゃんにミッキーマウス。これは絵封筒の柄。と非常に多くのことが指摘できてしまいます。当時の著作権意識の大らかなことといったらそれはもう - 何しろ同じお国のキャラクター「のらくろ」まであるんですから - 小店のお客様には知っての通り。とはいえこの一冊、簡素ながら堅牢な造本、本文頁に使われている用紙と背景に敷かれた地模様、そして印刷所をモチーフとした表紙のデザインなどなど、印刷に関わる企業ならでは、細部にまで配慮が行き届いております。同時代、カット集は数あれど、この小兵の『カット輯』が何か他と違う空気を感じさせるのは、名門ブランド本来の“仕事”によるものなのかも知れません。今週はこの他、戦前の新聞記事と戦後のラベル類のファイルが入り混じるスクラップ帖が13冊、建築家メンデルゾーン戦前の洋書作品集、板垣鷹穂がらみの二冊(残念ながら函欠、なのでお安く)、竹久夢二『歌時計』の元版(惜しいことに奥付欠)、都市風俗資料として清沢冽著『モダンガール』は函付完本、新居至著『ジプシーの明暗』他戦前古書5冊、などが店に入ります。ちなみに私は来週から店の移転について具体的なアクションを起こす予定。どうなりますことやら。あ。この更新は来週もいたしますよもちろん !