■左のinformationと一部重複しますが、大切なお知らせがいくつか。来週5月19日は火曜日ですが、「洋書会大市」のため店の営業はお休みを頂戴いたします。このため来週は5月21日(木)・23日(土)の二日のみ、各日12時~20時での営業となります。ご不便をおかけし大変恐縮に存じます。くれぐれもご注意の上、ご来店いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
■当HPに「shopping cart」を装備いたしました。気になる商品はその場で「カートへ」をクリック。メモするようにクリックしておいた後でヘッダーの「shopping cart」をクリック、開いたページで再度確認。ご注文品に絞ってからメールをご送信いただける、という仕組みです。また、小店もデータをアップしている検索サイト「日本の古本屋」ではクレジット決済機能が装備されました。お買い物を便利にする機能あれこれ、どうかますますご活用のほどお願い申し上げます。
■先週少しだけ予告いたしました新連載を、いよいよ来週初め、5月18日(月)から19日(火)に日付が変わる頃にアップいたします。今年で誕生100年、終焉から80年を数えるバレエ・リュスとそれをめぐる日本人をテーマに、ブログ「私たちは20世紀に生まれた」でも知られる沼辺信一氏にご執筆いただきます。セゾン美術館の図録『ディアギレフのバレエ・リュス』に氏が寄せられた「ニジンスキーを観た日本人たち」から11年。沼辺氏と小店とのお付き合いも、実はこの図録に掲載されたバレエ・リュスのテキストを介して始まりました。1998年の『ディアギレフのバレエ・リュス』展当時からさらに広く、より深く、バレエ・リュスと日本人との関わりを追い求めてこられた沼辺氏によるご研究の成果は、瞠目と驚天の連続です。アップの日時にも深いワケありの連載開始、みなさまどうぞお楽しみに!
■ご連載に合わせるかのように金曜日に市場に出品されていたバレエ関係書籍の一縛りから、これまたご連載に合わせるかのように出てきたのが上最初の画像、フランスの雑誌『L’Avant-Scene BALLET/DANCE』1980年10月号。特集は「春の祭典」で、ほぼ全頁特集といってもいいほど。ストラヴィン・スキー作曲のこのバレエ作品について、1913年にニジンスキー振り付けで初演されたバレエ・リュスに始まり、コンテンポラリー・ダンスに至るまで、さまざまな角度から検証・論考を加えています。巻頭のディアギレフ、ストラヴィンスキーに続いて、楽譜に基づく楽曲研究、ニジンスキーの振り付けに関する論証(初演当時のスケッチ等図版多数)、ピカソによるキュビスムと舞台美術の記事があり、ウィグマンの祭典をめぐる考察があり、フィリップ・スーポ、マシーンと続いてベジャール(ジョルジュ・ドン!)、そしてジョン・ノイマイヤーの「春の祭典」へ。全ての論考の棹尾に、「バランシンとストラヴィンスキーの40年にわたる友情」が置かれているあたりも心憎いし、各論毎に置かれる図版も資料価値に美観がプラスされており…なんてフランス語の読めない人間が云ったところで説得力のカケラもないわけですが、しかしこれは、少なくとも編集の点で非常に優れた一冊なのではないかと思うのであります。ちなみに巻末近くには大野一雄の記事3Pも。さらに付言すれば。『BALLET/DANCE』と一緒に縛られていた右の画像、フランスのヌーヴェル・ダンスの旗手4名・4分冊から成る『Memoire vivante』(画像は4分冊の表紙をレイアウトした外函)はタイポグラフィからレイアウトまで目配りの利いた仕上がりで、市場で聞いたところによると旧蔵者はグラフィック・デザイナー氏なのだとか。日月堂は信じられなくても旧蔵者の保証は万全でございます(デザイナー氏がフランス語読めたかどうかはまた別のお話)。
■今週の新着品、最も大漁となったのは、どうやら外務省関係者の旧蔵品と目される一口からで、ただいまとりあえず大きなダンボール箱でふたつ分が残りました。最初は四箱+オマケ分ほどあったところから重要かつ必要にものだけに減らして減らしてふたつ分。で、残したものというのが例えば左の画像内右上の小冊子『THE ARCHITECT and OUR ENVIRONMENT』で、1954年・国際文化会館が招聘したヴァルター・グロピウスの講演を英文で記録したもの(!)だったり、同じ画像の左上が表紙、下の見開きが中面の『日本』だったりして何が出てくるかまだ分からない。ところでその『日本』って何?そうですね。私もこれ、知りませんでした。簡単にいえば日本国外務省が1964年に発行した英文の日本案内書で、いうまでもなく同じ年に開催された東京オリンピックがらみ、来日した外国人向けの出版物です。写真角版使い・切り落とし、欧文ブロック組という得意技を次々と繰り出してこの文字通りのお役所仕事をやっつけたのがアート・ディレクター原弘氏。原弘の原型も頂点も戦中のグラフ誌『FRONT』(海軍号でしたら在庫あります)にあったのでは…という素人の浅薄な感想はさて措いて、普通に見たらゴミ、脈絡が見いだせればパンドラの函、となるはずのダンボールふたつ、今週から来週にかけては箱のなかに筋道を見出す作業に追われそうです。新着品はこの他、バレエ・舞踊関係書が約10冊、大野一雄著『dessin(デッサン)』、古びた紙質と印刷された突き出し広告の図案も魅力的な戦前の英字新聞が高さで60~70cm分、戦前フランスの建築雑誌がざっと20冊他、今週も来週も仕事だけは売るほどある状況を是非何とかしたいと思っております……。