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10/10/16 今週は古本屋らしいラインナップで 来日の見聞録を含むボリス・ピリニャークの著書と、中国・ハルビンの魔窟「大観園」の詳細な記録


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ピリニャークの翻訳書等4点 画像左から時計まわりに 柳瀬正夢装丁『裸の年』 萩原文彦装丁『ヴォルガはカスピ海に続く』 吉田謙吉装丁『日本印象記』 日本印象記の元となったロシア語版『日本の太陽の根本』の表紙の絵は矢部友衛と思われる

■先週の最後のところでちらっとお知らせいたしました企画展「原由美子さんの仕事場から」については、次回の更新の時にもう少し詳しくご紹介できると思いますが、アウトラインだけ簡単に記しておくことにいたします。会場は当HPご高覧下さっている皆様にはお馴染みの目黒のジェオグラフィカさんで、会期は11月20日(土)から12月25日(土)まで。1970年以来、スタイリストとして第一線で活躍され、いまもファッションディレクターとして活動を続ける原さんが、撮影用の小物として用意されていた品々、或いはご自身が愛用されていた品々を集めて展示販売するという企画は、いわば、原由美子さんに選ばれ・使われた品物だけを集めた究極のセレクトショップです。来週より現地での打ち合わせなどもスタートいたしますので、徐々に姿を現す企画内容に合わせて、またこのスペースでもご案内させていただきます。乞う!ご期待!!
といった具合でちょっと目を離すとすぐに何屋なんだか分からない方向に走りがちと見える小店ですが、店主の心中深くに潜ませている故か他人様にはゴウも気取らぬまま今日に至っております小店の悲願というのは実のところ「威風堂々たる古本屋になりたい」。それに尽きます。新着品は当然ながら本。本であります。古本屋ですから。でもここまで本らしいのは久しぶり。というところが最大の問題ですね。はい。ともあれ画像の4冊は全てロシアの作家ボリス・ピリニャークの著書。1922年に実験的な手法で構成された(らしい)『裸の年』(日本語訳は昭和2年)で散文デビューした作家で、スターリンの粛清にあい1938年には銃殺されたといいますから、活動期間は僅かに16年ということになります。その間、1926(昭和元年)には来日し、その時の見聞はロシア語の『日本の太陽の根本』にまとめられ、その日本語訳『日本印象記』も発行されています。威風堂々なんてことを云っておきながら何ですが、テキストは一旦措くとして、どの装丁も秀逸、というか、全て小店好みでありまして、大正15(1926)年に新潮社から発行された『裸の年』初版の装丁は柳瀬正夢昭和3年・原始社発行の再版『日本印象記』は吉田謙吉の装丁。来日時、ビリニャークは小山内薫と交流、築地小劇場も訪問しているので、吉田とはこうした道筋で直接的な接点があったとしても不思議ではありません。


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『極秘 大観園の解剖」左より 表紙布装丁・タイトル等金押し 巻頭別丁写真より「大観園の南正面入口」 綴込図「大観園盗品処理断面図」には扱い品目と売却価格も明示されている

『日本印象記』の初版発行と同じ1927年にロシアで発行された『日本の太陽の根本』はと見ると、装丁に使われている絵には「千九百廿六年 モスクワデ 友衛」とあり、この絵は矢部友衛であろうかと。また、当書扉には尾上松助(四代目)の「寿」の書も添えられています。『ヴォルガはカスピ海に続く』は昭和7年、先進社発行の初版。チェコなど東欧の書籍を思わせる装丁は萩原文彦とあるのですが、残念ながらこの人だけは詳細不明です。さてこのピリニャーク・コレクション、古書関係の著作でも知られ、昨年亡くなった山下武氏の旧蔵書。1926年生まれの山下氏がこれらの本を手に入れたのは1950~60年代のことで、すでに当時の古本として買われたものです。三代目、となるはずの次の方に、上手く手渡せてこその古本屋であります。威風堂々はまだまだ果てしなく遠い小店であります。
■くどいようですが古本屋なので。金色で箔押しされた「極秘」の文字と地味な装丁とが“殊更に”古本らしいこちらの物件→『大観園の解剖』でございます。副題を「漢民族社会実態調査 第一編」とする当書は、名にし負う魔窟・ハルビンの「大観園」の実態を、満州国警務総局保安局が詳細に調査してまとめた資料です。阿片窟、モルヒネ取引、売春宿から賭場、盗品即売所まで、選りすぐりの悪所だけを集めたような巨大な一塊である「大観園」の発行当時(=1941年頃)の詳細は、時に目を覆いたくなる部分を多数含む一方、例えば盗品の加工・流通経路を解説図版に落とした「大観園盗品処理断面図」など - 「物品収得様式」を見ると乞食、かっぱらい、強盗なんていうのも… - 思わず見入ってしまうところが多いのも事実。また、阿片窟の経営者やスタッフ(って云い方もナニですが)の経歴や利用者数や利用料をはじめ、他ではちょっと見られない・調べられないようなデータが満載されています。巻頭には別丁の写真図版も有り、かなりショッキングな写真が多いのですが、しっかしなぁ。今週、いちばんショッングだったのはなぁ。板垣鷹穂の代表的著作が軒並み高騰していたことで。加えて最終台にあったこの一年の白眉ともいうべき逸品は二番札までいながら競り負けたらしく。こうして常に儲け損なう小店には、威風堂々どころかささやかな未来さえ果たしてあるのかどうか相当アヤシイもんだわな。
今週はこの他、『先駆芸術叢書』より『電気人形』『ロボット』『黒い仮面』等4冊、『新ロシアパンフレット』シリーズの6冊随筆社版・ロープシン作の『蒼ざめたる馬』(神原泰装丁)と『黒馬を見たり』(柳瀬正夢装丁)、幻に終わった1940年東京オリンピックの五輪マークが裏表紙に入る東京の写真集『大東京観光アルバム』(穂刈三寿雄撮影、昭和12年・東京地形社発行)『骰子の七の目』よりトワイヤン、ウィフレード・ラム、スワーンベリなど珍しいところが、その他展覧会図録など、今週は“古本屋らしい”一群の入荷です。

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