■Merry Xmas!
画像は12月23日に青山通り交差点から撮った表参道のイルミネーションです。ピンボケ写真ですがよぉーく見ると自転車で車道に走り出ようとするサンタクロースさんの姿が。撮影した本人も撮った時点では全く気付いていなかった偶然の賜物です。12月25日の午前3時を回って、それでもまだまだお仕事中に違いないサンタさんに負けず、こちらももうひと仕事、2010年も仕舞の更新、と、まいりましょうか。
■最初は草々雨亭著の手製本『欧米旅日記』。厚さにして合計8cmはあろうかという詳細な渡航の記録で、昭和6(1931)年6月25日の東京駅駅頭での見送りから朝鮮、満州、ロシアを経て8月半ばまで滞在したヨーロッパでの日々を記録した「亜欧日誌」と、ロンドンからアメリカに渡った8月半ばからアメリカ各地を視察して日本に帰着するまでの「亜米利加日誌」の2冊からなるもの。
とくに「亜欧日誌」は水彩スケッチやところどころに伝票、通信などの貼り込みがあって一見とても面白そうに見えます。見えるでしょうね。私もそう思ったくらいで。ところがしかし…僅かに読みやすい鉛筆で書かれたページを除くと、この厚冊のほとんどのページが墨書の、しかもかなり癖の強い筆跡で綴られているために、24日のクリスマスイヴに開催された市場から落札した足で自宅に持ち帰りじぃーっと眺めてようやく分かったことといえば、執筆した「草々雨亭」という人の本名はT.TUMORI(津森さん、か?)で当時東京電力会社に勤務していたこと、営業・経営関係畑の人らしく渡航は主にアメリカ・ゼネラルエレクトリック社の経営とアメリカの電気事情に関する視察だったらしい、ということくらい。旅の前半=アメリカに入るまでは仕事というよりその後の仕事に対して予め与えられた慰労の意味でもあったのか、なかなか雰囲気のある水彩画を幾つもものする余裕もあったようですが、アメリカに入ってからの2冊目となるとたまぁーに貼り込み、そして時折数値的データが現れる以外、繰れども繰れども読めないカナクギ文字がびっしり詰まっているばかり - 一晩で解説しようというのはあまりに無謀だったようです。とりあえず店に入れますので、癖字の解読なんて得意さという方、どうか是非奮って小店までお訪ね下さい。思えば今年も「立ってるものは客でも使う」日月堂でした。くわばらくわばら。ってそれはお客様のセリフだ。
■こ、こんな華奢な帙にこんなにちいさな爪までちゃんと… とただもう表っ面の佇まいに惹かれて手にとったのが縦12cm・幅3.2cmの『春夏秋冬』でした。中から現れたのは天地・幅ともさらにひと回り小さく何重にも折り畳まれた木版画で、表紙の題箋には「春夏秋冬 松川半山画 完」とあります。松川半山は江戸末から明治にかけて活躍した画家で、とくに幕末頃には当時の人気画家のひとりだったそうです。季節毎に街中で愉快に暮らす人々の姿が描かれたこれはしかし、一体何に使うものなのか、単なる愛玩物なのか … というのは年末年始の宿題のひとつとすることにして、兎も角も、春夏秋冬一巡りして2010年も大変お世話になりました。変わらず賜りましたご厚情に改めて感謝申し上げます。本当に有難うございました。
■2010年、店の営業は12月25日(土)と28日(火)の各日12時から20時を残すのみとなりました。来る2011年・新年初売りは1月6日(木)となります。
■目黒・ジェオグラフィカさんで開催中の「原由美子さんの仕事場から」も12月25日が最終日です。会期初日から、わざわざお出掛け下さった皆様、ありがとうございました。会期終了に向けて洋服を中心にプライス・ダウンした商品も多数ございます。心残りのお品物などございましたら是非ご再訪のほど、お願いいたします。
■昨年は年末開催だった銀座松屋さんでの「銀座 古書の市」。今度は年明け2011年1月26日(水)から1月31日(月)の開催となります。小店分の目録は当HPで新春6日頃アップの予定で、また12日頃までには参加全店の印刷された合同目録がお客様のお手元に届くかと存じます。年明け早々となりますが、こちらもよろしくお願いいたします。
■そんなこんなと色々ありながら。兎も角も。みなさまお健やかに、どうぞ良い年をお迎え下さいませ!