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11/02/19 パリよりその2. モダンの系譜に連なる - 冊子類から 


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数多あるニコラのワインリストから、カッサンドルが手掛けた1冊。タイポグラフィ(書体、組版)と色彩、最低限の飾りなど、シンブルな要素だけで構成しながら、実に華やかなデザインを実現している。

■今回はパリから帰って2度目の更新。「その1」を未見の方がもしいらしたら、ここのひとつ下、2月17日付の更新もご覧いただければ幸いです。
さて、前回のアール・デコ&モード系の商品にかわって、今回はモダン系の流れで拾い出してきたものから。といっても小店のお客様にはすでによくご存知の品筋ということで、解説はごく簡潔にとどめたいと思います。
20世紀初頭、すでに広告戦略なども一定の成熟に達していたフランスで、すぐれた印刷物を様々に生み出していた企業のひとつに酒販店の「ニコラ」があります。1点目の画像は、そのニコラが毎年発行していたワインリストで、これはカッサンドルがレイアウト、構成、書体・組版等を手掛けた1936年版。文字および扉や章頭・章末飾りなど最小限の装飾と色彩だけという、余計なものがひとつもないシンプルな要素で構成しながら、非常に美しいデザインを実現しています。シンプルでありながら華のある、いかにもよい時代のカッサンドルらしいデザインで、おそらく20冊以上は発行されているニコラのワインリストのなかでも白眉といってよいのではないかと思っています。


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鉄鋼メーカーのPR誌。ガラスと鉄の時代を担った尖端企業に相応しい格好のよさ。カッサンドルによる表紙は石版刷。

■そのカッサンドルが手掛けたPR誌で、このために「ACIER体」という新たな書体まで用意されたフランス鉄鋼メーカー発行の月刊誌『ACIER』1934年の鉄材を使用した新製品の特集号と1935年のアルジェの新住宅特集号の2冊を入手。表紙はもちろん、カッサンドルのデザインによるもので石版刷となっています。号によっては建築技術の特集など、非常に地味なものもありますが、今回入手したような特集の場合など、内容によって非常にスタイリッシュな写真とモダンなレイアウトが駆使されているものも多く、ちらっと表紙だけでも見かけたなら必ず中面まで確認する価値のあるPR誌です。



3点目は『LE POEME ELECTRONIQUE  LE CORBUSIER』。戦後、1958年ブリュッセル万国博覧会でル・コルビュジエが手掛けた「フィリップス館」についてまとめた厚さ1cm弱の冊子で、こちらも表紙は石版刷。完成した館の写真の他、設計途上の図解、現場風景、コルビュジエ本人の他クセナキスのテスキトなどを集めています。第二次大戦後初の大型万博であり、日本にとって戦後復興を印象付ける好機であると同時に、次に大阪万博が控えていたこともあって、日本人も多く視察に訪れたはずなのに、ブリュッセル博で最も先鋭的だったと目されるフィリップス館のこうした資料、日本では何故かなかなかお目にかかれません。こちらもまた、中面のレイアウトまで一貫して、非常によく作り込まれた一冊です。



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第二次世界大戦後初となった1958年ブリュッセル万博の「フィリップス館」についてまとめた冊子。ル・コルビュジエ設計による同万博の代表的かつ尖端的パビリオンの詳解。

遅れることはあっても定刻に出発することさえ稀なエール・フランス便、と思っていたのですが、今回成田からの出発は何故か定刻より「早まり」ました。奇跡です。がしかし。「そんなのありか。みんなホントに乗れたのか。」と心配になりました。パリまでの12時間はこれまでにないほどあっという間に経ちました。熟睡していたお陰です。厳冬と聞いていたパリは着いてみれば例年以上に温かく、レベル5まで段階的に用意して行った防寒用のダマールはレベル3で充分対応できました。新会場に移った古紙市は思っていたより見やすく、なかでも何故か食堂のスペースが最も拡大されていました。古紙市では写真が一分野として確立され、専門業者の出店が増えていました。一方、新たなサロンが立ちあげられるなどファッションもようやくアンティーク市場の中で定位置を得たようです。またフランスでも若い世代の古書店では絵本を扱うのが流行り始めたように見えました。蚤の市ではビュバール(吸い取り紙)やキーホルダーなど日本人が一時的に値段をつりあげたモノは総崩れとなっていました。パサージュの店は総入れ替えといった勢いで変化していて、変わりがないのは蝋人形館とステッキ屋と中国人がやってる盆栽屋くらいではないかと思いました。「私はステッキ屋になりたい。」とパリに行く度に考えるのですが、彼の地のお手本はどうみても道楽でしかありません。ステッキ屋は夢にしておきます。ポンピドーセンターで見た「モンドリアンとデ・ステイル」では、冊子や印刷物までとても丁寧に展示されていて、古本屋の仕事のもつ役割や可能性について教えられた格好です。ポンピドーからは、今回初めてエッフェル塔の全景を拝むこともできました。成田に着くと雨、リムジンバスが都内に入るとそれが雪に変わっていて、パリよりずっと寒い東京に帰り着きました。2011年の日月堂のパリはこうして終わりです。来年も行けるかどうかはこれからの12ケ月にかかっています。働くぞお。

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