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11/03/05 パリからの到着分続き、は、シュルレアリスム専門誌『View』6冊。そしてスランプも続く … のか。


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ニューヨークで創刊されたシュルレアリスム専門誌『View』6冊がパリより到着。いずれも極美。右下の表紙がイサム・ノグチの作品で、その下になっている見開きがレオノール・フィニの特集。

■一昨日の木曜日、店で、気遣い無用のご常連2氏の前で、「スランプなんてぇものからは明日の市場で見事脱出して見せやしょう。」なんて啖呵を切ったはよいものの、そんなに簡単に抜けだせるものを何も大袈裟に「スランプ」なんて呼ばないわけでありまして、お陰さまですっきりはっきりスランプであることが判明した今週 - やれやれ。- 最初の新着品はパリから一拍遅れて到着した商品です。
1941年、チャールズ・ヘンリー・フォードを編集人にニューヨークで創刊された前衛芸術専門誌『View』より、1942年10月号、1943年12月号、1944年12月号、1946年の1月号、2月号、10月号の合わせて6冊。最初に見た時は、ビジュアルの扱い方やテキストの組版・レイアウトなど、大掴みな誌面の印象になりますが、フランスで発行されていた同じシュルレアリスムの専門雑誌で、1939年に休刊した『ミノトール』に非常によく似た印象を受けました。ブルトンの強い影響下にあった『ミノトール』に対して、『ヴュー』はブルトンの来米準備を整えたとされるニコラ・カラスが常に雑誌の周辺にいて関わっていたようで、2誌に共通する印象は、こうしたことに由来しているのかも知れません。ニコラ・カラスはまたアメリカへのシュルレアリスムの紹介者と見られており、同誌でも文学、美術、写真など芸術諸分野のシュルレアリストが大御所から新鋭まで、こぞって作品を寄せているといった感があります。目次や奥付からその名前を拾っていくと - C.H.フォード、N.カラスは当然として、マルセル・.デュシャン、アンドレ・ブルトン、アンドレ・マッソン、マン・レイ、デ・キリコ、シャガール、レオノール・フィニ、アルベルト・モラヴィア、ポール・ボウルズ、ウィリアム・カロウズ・ウィリアムなどの名前が次々に出てきます。さらに、1946年10月号の表紙はイサム・ノグチ。現在ニッポンではもっぱらミッドセンチュリーの穏当なインテリア・デザインで知られるノグチですが、アヴァンギャルド雑誌の表紙と実にまあよくマッチしていることでしょう。また、巻頭と巻末に集められた広告は、誌面に相応しく前衛芸術を扱うギャラリーの広告が多数を占めており、なかには「バレエ・リュス・モンテカルロ」の公演広告などもあって、こちらについても充分な注意を要します。


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ハルビン在住だったと思われるロシア人一家のプライヴェート写真。ご婦人方がこぞって日傘を愛用している日本観光時の写真を含む約80点。

それにしても、です。シュルレアリスムというと、当時の前衛芸術の諸主義のなかでも、随分広範なフィールドと人脈とのなかで展開されていた運動という印象を持つわけですが、例えばフランスの『ミノトール』とアメリカの『ヴュー』とを比べると、いやいや『ミノトール』と、同じフランスでブルトンと対立した一派が出していた『ビフール』なんていう雑誌とを比較してみても、ほとんどの人名が重なってくるというこの狭さ。その狭い世界の住人に主導されて、世界的な規模で美術や文学に革新がもたらされてきたことを思えば、2011年現在、facebookが独裁政権を次々と転覆させていったところで不思議でも何でもないんだな、ということに気付かされます。
さらにさらに狭い世界から。1928年から1934年頃、日本の植民地となっていたハルビンに住んでいたと思われるロシア人一家のプライヴェート写真約80点。ここぞという時、女性は完全にアール・デコ当時の優雅なワンピースに独特の帽子を着用、男性は純白(だと思う。なにせモノクロ)の麻のスーツ、なかに日本に観光に訪れた際の一連の写真があって、日傘というものがご婦人方に非常に好評だったことがうかがえるなど、見るにつけ眺めるにつけ、何かしら発見のある極私的写真であり、先週に続いてこれもまた“記憶の種子”系紙モノです。がしかし、これを買おうという人は一体何のために …… 謎だ。
■今週はこの他、「堂島 住吉屋茂助」と書き込みのある『島手本』(=縞帳)戦前・未使用の便箋3点、イキアタリバッタリに使ったとしか思えない戦時中のノート2点梅村豊の写真、諏訪優の構成によるこの表紙はモホイ=ナジの『Fototek 1』を参考にされましたか?という表紙の雑誌『ATTACK Number 2』、こちらも戦前の前衛芸術雑誌から学びましたね!という岩本修蔵発行セナクル・ド・パンポエジイ同人誌『PAN POESIE 5』、復刻版6冊とフランス語の冊子入り『LIVRES FUTURISTESRUSSE』限定1,000部の1冊、そして、デザイン、モダニズム関係のユーズドブック久しぶりに棚に入りました。何はともあれ買えない限りは勝負にならない古本屋であります。来週こそ「スランプ脱出」したいです。

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