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11/03/19 この一週間の堂々巡りと『あ・い の国』その他 


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■東北関東大震災の発生から昨日で一週間が経ちました。
その時私は神保町の東京古書会館にいて、東京メトロとメトロ乗り入れの私鉄で一直線、普段は45分程の片道を、帰りは地下鉄を乗り継ぎ、徒歩とあわせて3時間と少しかけて、それでも深夜0時半頃には何事もなく帰宅することができました。自宅は拍子抜けするほど被害なく、これなら店もそう問題ないだろうと安堵したものです。安堵とともにスイッチを入れたテレビの画面を、しかし、ただ呆然と見守ることとなりました。以来今日まで、犠牲者数で阪神大震災を超えることになってしまった災害の凄まじさ、そして深刻な原発事故など、目を疑いたくなる光景が次から次へと生起して、長い、本当に長く感じられた一週間となりました。さらに、震災大報道の片隅に中原祐介と吉村益信の訃報を目にして、自分が「現代」と信じて見てきた時代が終わっていくことを教えられました。
「こうした時だからこそ自分のなすべき仕事をせよ」
この一分の隙もない常套句には、常套句とされるだけの経験知というものが込められているのだろうと思う一方で、けれどこんな時に古書を買い古書を売るという行為に - もっといえば、小店が存在しているというそのこと自体に - 一片の説得力ももち得ないまま、この一週間を過ごしました。医療や災害関係の資料でも扱っているのならまだしも、今回のこの経験では、小店のような古本屋、つまりは趣味とか伊達とか酔狂とかに属する - 多少高等に、芸とか美といえるかも知れない - ものを売買する存在が、いかに「平時のみ可」であるかを思い知りました(コンニチノ コノ 状況下 如何ニ リアリティ ノ 欠如シタ 存在デ アリマショウヤ!)。


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しかし。待てよ。ならば、悲惨で哀しい出来事がたくさんあったはずの人の歴史のなかで、趣味や伊達と酔狂や、あるいは芸だとか美とかいうものが、全く廃れることなく、むしろ層を厚くするようにして残ってきたのは、一体どうしたわけだろう?
常套句と同じように、ここにもまた、きっと豊な経験知がこめられているはずだ、などと思い直して、そんな堂々巡りに、依然、何かが開けたわけではありませんが。
3月19日(土)
東京電力は計画停電を実施せず、福島第一原発では一部で電源復旧が見込まれる本日、店は12時より17時までと短時間ですが営業する予定でおります。小店程度の経験知と在庫では、いかほどの効用があるかは全く保証の限りではありませんが、気分転換にでもお立ち寄りいただければ幸いです。
来週は火・木・土曜日の12時より営業の予定ですが、状況により営業時間を短縮したり臨時休業する場合もあります。お手数とは存じますが、ご来店当日にお電話で在席か否かをご確認いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
色々と考えて、新着品からはこの2点を選びました。
1966年・南画廊で開催された「色彩と空間展」のポスターおよび同展オルガナイザー・東野芳明による趣旨書と、「視覚詩」「コンクリート・ポエトリー」などと呼ばれる分野の詩人として知られる高橋昭八郎の『ポエムアニメーション5  あ・いの国』(1972年 私家版)
『あ・いの国』の高橋昭八郎は1933(昭和8)年、岩手県の出身です。「色彩と空間展」の東野(1930年)、山口勝弘(1928年)、磯崎新(1931年)などもほぼ同世代。何もない戦中に育ち、戦後の荒地の残る日本で新しく立ち上がった若い人たちによる、美への挑戦のカタチです。大震災後の荒地がまた、新しい人の立つに相応しい堂々たる大地として、決して遠くない日に再生されんことを。




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