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11/05/13 戦前の芸術写真から その2. 下郷羊雄? 米谷紅浪? 出所探求の結果やいかに…!


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■先ずは大切なお知らせから。来週5月17日の火曜日は、「洋書会大市」のため、店の営業はお休みさせていただきます。木曜、土曜日は通常の12時から20時で営業いたします。ご来店にはさらにご不便をおかけする来週ですが、どうかくれぐれもご注意の上、ご来店いただければ望外の慶びに存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。
画像をご覧になって「何だ先週から更新してないじゃないか」なんて思われませんように。確かに先週落札分の続きではありますが、少し調べをつけるのに時間がかかってしまったため、まだ店頭にはお出ししていなかったちょっと面白いものをご紹介 …… する予定でいたのですが。5/13(金)、神田の市場で午後4時過ぎまでの入札を終え、そこから五反田の市場へと河岸を移して本の山が壁となって連なる南部古書会館で入札を続けること小一時間。 おやおや? オカシイぞ?? なんだこのユラユラグルグルは??? と訳のわからぬ眩暈に襲われました。生肉を食べたようなおぼえもないし、いましがたまでの元気を思えば全くもって原因不明。いま思えば昨日の東京、前日までの肌寒さから一転、夏を思わせる暑い日となり、もともと低血圧の人間にとって、急激な気温の上昇は一気に血圧を下げる方向へと働くため、血圧低下による軽い貧血だったのではないかと思われます。市場での俄かな鬼の攪乱に、色々と心を砕いて下さったご同業のみなさま、本当に有難うございました。お陰さまでどうやら大したことはなさそうです。念のため、今日のところは先に用意しておいた画像のみをアップいたしまして、内容については日曜もしくは月曜日に書き加えさせていただきます。大変申し訳ございませんが、しばしのお待ちを、よろしくお願いいたします。おっと。忘れちゃいけない明日土曜日のこと。5月14日は通常営業いたしますので、ご来店のほど、併せてよろしくお願い申し上げます!
見返しに「SIMOZATO - ZIROHATI / AITI-KEN NARUMI-TYO」のスタンプが押された『ライカの新技法』。しもざと じろはち ?  下郷 じろはち ??  下郷、といえば 羊雄??? との関係や如何に! →  ………… はいっ。ここからが 5/16加筆した続きです。見返しに、意味深なスタンプの残る『アサヒカメラ叢書 ライカの新技法』は畑宗一著、昭和10(1935)年発行の初版・美本。本自体は高い値段のつけられるものではありません。問題はただひとつ、先に書いたスタンプのもつ意味です。下郷といえば、“戦前の日本において出版された唯一の超現実主義写真集”(『コレクション・日本シュールレアリスム 14』)としてその名を知られる『メセム属』の著者。「SIMOZATO – ZIROHATI」 = 下郷羊雄のことだったりして。もしそうなら鉛筆で加えられた書き込みだって、瑕疵から一転、資料的な意味が生じちゃったりして。- という欲に目が眩んでサイトや関連書籍・図録などを調べてみました。


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「羊雄」という、何やら村上春樹の小説の主人公めいた名前は、案に相違して本名のようである。羊雄くんは1907年愛知県の鳴海町というところで生まれたというから、スタンプの「AITI-KEN」は愛知県、「NARUMI-TYO」は鳴海町を示しているに違いない。さらにその生まれた家というのが同地の「千代倉」という名家であり、この千代倉の本家筋にあたるのが「下郷次郎八」家だとのこと。なるほどこれで「ZIROHATI」が名跡だと判明、その名跡を継いだのが……羊雄くんならラッキーだったのですが、残念ながら彼は次男で長兄あり。いや待てよ待てよ。“下郷家蔵書”だったとしても、他に使う人がいなければ羊雄くんの旧蔵書といってよいはず。昭和10年当時の羊雄くんのお住まいは … 昭和7年には鳴海町と別の自宅アトリエがすでにあったようで。そ、そうですか。やはり妄想でしたか。いや。がしかし。例えば他に誰か買うような人がいなければ … って、そんなことまで調べられないし。でも羊雄くん旧蔵の「可能性あり」くらいは云えるのかしらと、どこまでも欲深く、最後に斜め読みした資料(『名古屋市美術館 研究紀要 第1巻』『同 第4巻』)に、“鳴海の本家へ(新年の)挨拶に行った。”(昭和11年1月の日記)、さらに“鳴海の兄が来たので、僕の作品の写真を撮ってもらった。”(昭和12年2月の日記)という記述が出てきて、どう考えても下郷次郎八の名跡を継いだ羊雄の兄の旧蔵書とみるのが素直。日月堂の欲は最後の段になって呆気なく粉砕されたのでした。
「S.FUKUHARA」「SIMOZATO – ZIROHATI」に続いて出てきたのが「KOMETANI」。先月(2011年4月9日)にも入荷した小石清『撮影・作画の新技法』は、今回昭和11年発行の初版で、この本の見返しと扉との間の薄紙にある、レンズと光の屈折を図案化した蔵書票の書き込みのなかに記された名前です。「KOMETANI」といえば「浪華写真倶楽部の米谷紅浪というのが居るゾ」と教えて下さる方あり、当然のようにまたしても欲は膨らんだわけですが、こちらは米谷の本名=富三の調べも簡単につき、蔵書票図案の上、もうひとつの書き込み「Chyuitsu Kometani」との齟齬から、そう痛手にならないうちに(?)見当違いが判明いたしました。


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こうした次第で大きく膨らんだ欲は完膚無きまでに叩き潰されましたが、しかし旧蔵者=プライヴェート・プレスの主宰者が旧蔵者であるだけに、その手に渡り、これまで架蔵されていたのには何かしらの理由があったのではないかと、ついつい考えてみたくなる、そんな一群でした。と、このあたりも5/16の加筆でお届けいたしました。
■この本の画像をこれまでHPで一度もアップしていなかったとは! → モホイ=ナジ装丁の『左翼劇場』、詳細は週明けに続く…………… はいっ。こちらもここから5/16の加筆です。ピスカトールの原著を村山知義が翻訳した『左翼劇場』。昭和6(1931)年、中央公論社発行の初版です。函の平と背を飾る、どこか映画「インセプション」を思わせるフォト・モンタージュは原著書の装丁をまるっきり引き写したもので、書籍中にクレジットはないものの、函の装丁のなかに「nagy」のサインが認められるモホイ=ナジの仕事。そのモチーフとなっている360度どこからどうやって組み合せられているのか判然としない球形の図版は、ピスカトールが当時、もちろんパソコンない時代に、舞台の上に実際に現前して見せた「地球儀舞台」をベースにしていることが、本文内に挿入された豊富な図版によって示されています。装丁から本文テキストに至るまで貫かれた度肝を抜かれるような前衛中の前衛が、この本の中で眠ったまま、ここにあります。*画像はあくまで遊びであり、入荷は1点限りです。
今週はこの他、ジャック・プレヴェールとイジスによるパリ写真集3冊昭和30年代の小学生のノート、絵日記、教科書などダンボール1箱戦前の商標ラベル貼込帖3冊etc.が土曜日には店に入ります。
今日のところはこのへんで。みなさまおやすみなさいませ。
で、明日5/17(火)は「洋書会大市」のため店はお休みです。くどいようですが、改めて「ご注意を!」お願いいたします。



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