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11/06/18 この世に1点。かもしれない 。 - 「1939 紐育万博記録写真集」/ アール・デコ期・照明器具デザイン画


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左上 ポートフォリオとレタリングされた扉のリーフ 上段3点は日本館の外観と内観で、インテリア装飾は里見宗次が担当した 下段中側は金のライオンを置くイギリス館といかにもそれらしいソ連館のそれぞれ外観 その他会場全体の中から印象的な景観を押さえている

■先週は金曜・土曜と連日「自宅→五反田→神田→五反田→自宅」と自宅と市場ともひとつ市場と自宅との間を動き回り、土曜日にはさらに何年かぶりで市場の仕事、といってもあくまで軽い部類の作業をお手伝いさせていただきまして、ああそれだけで。それだけなのに。充分ヘトヘトでした。当新着案内も1回お休みをいただきまして今日は久しぶりの更新です。もう若くないゾ私は。それはさて措き。落札価格の二極分化はこの度の支部大市でもますます進行の様相を見せ、キリの方の惨状はもとより、ピンの方での厳しい競争と尚一層リアリティを欠いていくばかりの落札価格といったものは、不可視ながらも確実に、いまも刻々と生起してどう転ぶともいつ止むとも知れぬ事象、或いはそれこそ想定外の長きにわたる遅滞遅延、はたまた悲劇を通り越して喜劇とでも呼ぶ他ない愚挙の数々など、どうにも儘ならない状況下に古本屋連中が勝手にやってる単なるやぶれかぶれだったりしてね、なんて至って冷静な感想というものが常に、「古書会館」と名の付くところを後にしないことにはやってこない、というのは実に困ったモンダイであります。と、敗戦の弁明、というか負け惜しみはこれくらいにして、本気でもってこれらを売らねば次が買えない新着品のご案内です。
専用ポートフォリオには内側に「企画部製作係」のハンコがあるばかりでタイトルなし、中に収められた未綴じのシートの内、扉にあたる1枚目に「1939 紐育万博記録写真集」とあり、ここで初めて正体が掴めるという仕掛けでした。タイトルの示す通り、日本館の全景、内部、装飾はじめ写真全27点による1939年ニューヨーク世界博の記録です。写真は全て紙焼現物、欧文タイプ打ちされたキャプションとともに厚紙に貼り付けられています。特徴的な書体の扉は青1色の印刷 …?… かと思ってよく見ればこれがポスターカラーを使用した手書き。或る程度の部数が発行された刊行物で、状態が悪くなったかどうかしたポートフォリオを付け替えたものとばかり思っていたのが、このことに気付いた段階から世の中に1冊しかない内部資料の可能性-「企画部製作係」なんていうのもそう思えばあやしい-を考えて入札。結果はやはり上札での落札で、同じように気付いていた人もいたようです。あぶないあぶない。


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直筆=手描の照明器具デザイン画 いずれもアール・デコ当時のもので、線描から彩色まで、デザイン画の段階から繊細な仕事が施されている

ともあれ先ずは扉にある撮影者の氏名「小林湜信」でケンサクしてみると…ひとつだけヒットしたのが「社団法人日本映画テレビ技術協会」のサイトで紹介されている「技術開発賞 受賞一覧」でした。小林さんは1951年度に「天然色映画フィルムの製造法」により、「小西六写真工業」の肩書付きで同僚の方(おそらく)と一緒に受賞。当品の扉に記されたカメラ の「セミパール」、フィルムの「さくらハンクロ」、印画紙の「八重」はいずれも小林さんが戦後も在席していたらしい小西六(現在のコニカミノルタ)の製品であることから、小西六の社内資料であり、同じものは存在してもごく少数だったのではと-かなり高い確率で-推察しています。小林さんの写真は写真愛好が高じて小西六に入社か?と思わせる腕前で、どのカットもクリアかつ非常にスタイリッシュ。とくに構図には、どこか日本人離れしたセンスが見てとれます。本館に関するカットは1937年のパリ万博と比べても日本回帰の色濃い全景や、里見宗次が手掛けた館内装飾など全部で8点。ニューヨーク世界博、とりわけ日本館について、これだけ詳細な写真を見かける機会は少ないのではないでしょうか。
ニューヨーク世界博はワシントンの大統領就任150周年を記念して開催されたもので、テーマは「明日の世界の建設と平和」。 皮肉にも実際の世界はすでに相当キナ臭い状況下にあり、また、それまでの万博・世界博が国家を単位とした広報宣伝や産業振興の舞台であったのに対し、ゼネラル・モータースが出展した「フューチュラマ」- wikiで読むと遊園地アトラクションのご先祖様みたい - が大受けするなど、この時から国家に代わって企業が主要な単位として浮上したことから、戦後のコマーシャリズムを先取りした博覧会とも指摘されます。翌年に国産初のカラーフィルムの販売を開始する小西六が、1939年当時、どのような意図で小林さんを派遣したのか、記録写真集には一片のテキストも与えられず、ただ当時の空気だけを伝えています。
■こちらもまた世界にひとつだけ-たぶん-で、こちらは幸い誰も気付かなかったのか、下札で落札できました。アール・デコ当時の照明器具の直筆デザイン画40点(内39点はカラー彩色)です。「栄光社設計部」「川北設計部」「光と熱の店 虎ノ門・良明社」など、各シートに押されたスタンプと画のタッチから4~5社から出たものを、後の時代に誰かが集めておいてくれたもののようで、これは確かにデザインの宝庫。赤銅、青銅、真鍮など素材から、繊細な曲線が美しい装飾、壁面、柱、天井など、設置の場所や方法まで、一見さらっと見えて実は情報量の多いシート40枚、折角なので先ずは一括販売にトライしてみようと思います。
今週はこの他、またしても古道具屋と思われても仕方ない戦前の写真関係の道具類-未使用ガラス版・箱入小型含む、薄葉紙を使ったネガ用のケースやアルバム、小さな断裁機etc.の一部はこちらに-ダンボール2箱分、日本手ぬぐい用・筒状の木版刷のし紙、戦前~戦後の石黒敬七著書7冊戦前フランスの商店ファサード写真集板垣鷹穂『新しき芸術の獲得』他戦前の書籍8冊『プロレタリア科学』他戦前雑誌12冊戦前海外絵葉書アルバム1冊分、これはひっさしぶりのちくま・岩波他文庫本約80冊などが明日までに入荷、しかしいつになったら片付くのかは…少しのんびり構えていていただければ幸いです。

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