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11/07/16 ジョルジュ・バルビエの優美なポショワール・プレート集『今日の幸福 あるいはモードの魅力』 / 米軍に接収された日本のクラシック・ホテル 1951年当時の写真帖


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中央は扉にあたるプレートで人物の周囲には白粉、羽飾り、手袋、扇子など流行の小物が記号のように細かく書き込まれている 右上はシノワズリの影響でモードとして描かれた空想の阿片窟 その他くだくだしい説明はかえってヤボというものでしょう

■大層くどいご案内となり、また何よりご不便をおかけして誠に恐縮に存じます。依然として「info」が頭につくアドレスでのメール受信がうまくいきません。来週中には何とかしたいと思いますが、まだ少し、いま暫く、あともうちょっと、の間、メールでのご連絡はは全てorder+nichigetu-do.com(送信時+ をアットマークに変えて下さい)まで、何卒よろしくお願い申し上げます。
新着品のご案内を1回休んでいる間に、出掛けた市場は合計4ケ所。雑本の山だとか、よくよく眺めないと定かなことが何も云えない古い回覧雑誌だとか同じく同人誌だとか、このページをスルーして店頭に直行する商品が多くなりましたが、一方で、「落札しても売れるまでには約10年を要する。」ということが分かっていながら「明治古典会七夕古書大入札会」(←こう書いてみると、改めてすごいところだと思う)で落札してしまった商品など、今週と来週は諸般の事情 - 何もわざわざ云うまでもない事情についてはお察しいただくとして - から、簡単にスルーさせてしまうわけにはいかない商品のご紹介です。
はじめの1点は、いつも小店HPをご覧のみなさまにはお馴染みの(か?)ジョルジュ・バルビエの著作にして最も贅沢な仕事のひとつに数えられる『Le Bonheur du Jour ou Les Graces a la Mode』。日本語で「今日の幸福 あるいはモードの魅力」、「現代モードの美」などと訳されるこの1冊は、バルビエのイラストレーションがポショワールで16葉の他、同じくバルビエによるテキスト、扉(いずれもポショワールのカット入)などから成り、1924年にパリで発行されました。元は未綴じのかたちで発行されたものと思われますが、今回小店に入荷したのはマーブル紙とモロッコ革で製本されており、タイトルは背革に金箔押し、プレートは全て足をつけて綴じられています。うう … うううっ。とくにこの手のプレート集に関しては、できるだけ元の姿のままであって欲しい。この点が少し残念です。
さて、肝心のプレートはといえば - 化粧に余念のない女性の身支度を待つ洒落男、或いは男のハートを矢で射抜く尖端モードに身を包んだ女性、華やぐ男女がバルコニーを飾る夜の観劇、ニジンスキーの牧神、阿片窟までもがモードとして描き出された中国趣味、シックな服装の女性と仏像とが肩を並べる日本趣味 etc. etc. … と、いずれも、これぞバルビエというバリバリのアール・デコタッチ、画に描いたような(← 実際に描いてるわけですが)当時の流行すなわち“モード”のオンパレードです。誰もが憧れる優美なモードを抽出して、時に少々俗っぽくなろうとも誰もが了解できるように表現する。この、バルビエのバルビエたる所以が、当時、バルビエを画家ではなくイラストレーターの位置に留めることとなったわけですが、今日では、アール・デコ様式とモダニズムの時代とを代表する存在として、この点が高い評価へとつながることになりました。『今日の幸福』という当書のタイトルは、21世紀の今日、バルビエその人に与えられたもののようにも思えきます。


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画像は上から見開きごとに 現在は閉鎖された強羅ホテル、1963年には解体された唐津シーサイドホテルで車も同ホテルの専用車 後にやはり解体されることになる熱海ホテル 見返しに置かれた肉筆の地図にはそれぞれのホテルの特徴もよく表されている

■趣はガラリと変わります。バルビエが優美に描き出した『今日の幸福』の時代のすぐ後には、世界中を巻き込むことになった戦争の時代が来て、さらに日本にはその後敗戦と占領の時代が続くことになります。アメリカ占領軍は、日本に上陸すると、さまざまな施設・建物を接収していきましたが、新着品2点目は接収されたホテルの写真帖です。タイトルらしいのは唯一、折帖仕立ての見返しにあたる部分にある地図に添えられた『JAPAN LOGISTICAL COMMAND  SPECIAL SERVICES HOTELS IN JAPAN 1951』との記載で、訳すとすると『在日米軍軍需司令部 日本における専用宿泊施設 昭和26年』といった感じでしょうか。およそ30cm四方の折帖が2冊で、志賀高原以西の28施設を各2カット、従って全56カットの写真で記録したものです。何度も何度もルーペで確認した結果、見返しにあたる部分の彩色絵地図は肉筆。また、写真は全て紙焼きの現物、キャプションはタイプ打ちしたものを切り抜いて、それぞれ貼り込んでいることからも、そうたくさん作られたものとは思えません。日光金谷ホテルや万平ホテル、川奈ホテルや富士屋ホテルなど、クラシックホテルとして現在も人気を集めるホテルにまじり、逗子のなぎさホテル、金沢の白雲楼ホテル、富士ビューホテル、赤倉観光ホテル、そして阿蘇観光ホテルなど、現在では失われてしまったり閉鎖されたクラシックホテルが多数含まれているのが何といっても見どころです。また、施設によっては米国人向けの演芸ポスターがベタベタ貼られたホール、米国軍人の家族が寛ぐ風景、貸し切り状態のゴルフコースや、給仕役の日本女性がキモノ姿で食堂にずらりと並ぶ様子など、“占領下”という状況をある種の生々しさをもって伝える写真も見られます。
折帖の2冊はともに製本の状態が整っておらず(中面の台紙や写真の状態は良好)、1冊は表紙が欠け、変わりに帙の上蓋部分が残存、1冊の片側見返しに金刷毛塗りの和紙が残っていたり、全体像は想像に任されるとはいえ、だれが、何のためにつくり、どこで、どのように使われていたのか、いずれにしてもそうしたヒントは一切なさそうなこの写真、とすれば一体誰が何のために買おうというのでしょうか。かくしてまた“売れるまでに10年”商品の入荷です。やれやれ。
不良在庫になるのが必至というこの写真帖が作られる少し前、太平洋戦争中に、日本人のある著名な画家が何を考え、どのような日々を送っていたのか、その一端を知ることができるかも知れない長文の書簡(実は只今解読中)、そしてバルビエと同時代のイラストレーター、ジョルジュ・マルタンとあのエリック・サティとのコラボレーションの精華 - といえばすでにお分かりの方もいらっしゃると思いますが - などを来週ご紹介の予定です。
■一週間以上続いた暑さにとうとう高分子ポリマー仕様・冷却スカーフなるものを購入。ただいま首筋あたりをいい具合に冷やしてくれている同じ素材が、数か月前、あの原発に投入されたんだなと ……… ? …… ?? …??? あり得ん。原発はいつ収束するのかもう誰も尋ねる日本人なく、節電は以前にもまして日々注意を促され、一方今週末は一層厳しい暑さが予告されています。何がどうあれ「節電よりも命が大事」。みなさまどうかくれぐれも暑さにお気を付けてお過ごし下さい。


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