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15/04/04 1968年。最晩年のマルセル・デュシャンとその周辺の人 彼らが行ったこと 出版された本。


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■店内各所に積み上がっていた新入荷の古本と美術展図録あわせて二百数十点を棚に入れ終えました。ほっ。これで一安心。と云いたいところではありますが、ただいま現在、今度はそれによって収まりきれなくなった古本と展覧会図録が店内各所に積み上がっております。片付けてるのか散らかしてるのかワケ分からないのが古本屋の仕事でありまして。やれやれ。
ともあれそんなこんなで疲れ果てた挙句、先週さぼることになっちゃった新着品のご案内、ふっかぁ~つ! です。依然、ややヨレヨレしてますが、何しろまだ後が詰まっております。ざっと見渡した結果、今週分として先ずピックアップしたのは20世紀美術史上、確実に名前を残すマルセル・デュシャンがらみの2点です。

その1点目。1990年にノーベル文学賞を受賞したメキシコの詩人で、アンドレ・ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちとの親交でも知られるオクタビオ・パス。1968年にメキシコの版元から出版された『Libro-Maleta』は、そのパスと、マルセル・デュシャンとの二人によるアーティスト・ブックです。『Libro-Maleta(=リブロ・マレタ)』をまんま日本語に置き換えると「本-スーツケース」。邦題が定まっていないようなので、ここでは『リブロ・マレタ』と原題で通したいと思います。
さてその『リブロ・マレタ』ですが、それぞれ大きめのノンブルがきちんと刷りこまれている以下の6つの要素から成るもの。オクタビオ・パスによるデュシャン論「純粋の城」を収めた上製本(カラー挿図貼込) ②マルセル・デュシャンの論考を軽装本にまとめた「TEXTOS」(図版入) プラスティックシートにカラー印刷を施したデュシャンの作品「大ガラス」の複製品 一大論争を巻き起こした「階段を下りる裸体 No.2」など、デュシャンの初期タブロー3点の複製(カラープレート)  チェスボードを模した封筒に、「泉」「ボトルラック」などデュシャンのレディ・メイド作品をポストカードサイズに印刷した9点を収める デュシャンの幼少期からの写真、1912年の手稿、履歴書などからなる変則的なページ割の冊子。これら①から⑥がピタリと収まるように設計された布装上製のポートフォリオ、デュシャンを象徴するチェスボートをデザインモチーフとした函が付いて目出度く完揃い ――― とこうして見ると、タブロー上に描かれた並行的基本法、ダダ、レディ・メイド、大ガラスという具合に、デュシャンの各時代の代表作を彼が生涯熱中したチェスボードの中にコンパクトに収めた「本-スーツケース」という構成 、実にまあよく出来ているのでした。さらにまた、独立した印刷物でありながら、あえて、かどうかはさておき、ノンブルをふっていない唯一のピース = マルセル・デュシャンのバストアップの肖像をスタンドポップに仕立てた1点を付すという洒脱に、思わずニヤリとさせられます。


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デュシャンの代表作に頭の中味=テキストを加え、片手で持ち運べるサイズと形態に収めた『リブロ・マレタ』。そこに込められた企みに、ただただ脱帽いたしました。
■1968年2月、マルセル・デュシャンカナダのトロントで行われた「レユニオン」(音楽的「再会」)で、ジョン・ケージを相手に、音響装置付きのチェス盤を使った対戦を行いますその準備と対戦の様子を写真に収めていたのが久保田成子。久保田は1960年にニューヨークへ渡り、1964年から同地でフルクサスに参加、後にナム・ジュン・パイクと結婚することになるビデオ・アーティストですが、1968年10月にデュシャンが亡くなったのを受け、「レユニオン」で撮影した久保田の写真にジョン・ケージのテキストを添え、音盤(ソノシート)を付して出版したのが今週の2点目、『REUNION』です。
本の背タイトルから本文、奥付に至るまで、表記は全て英語ですが、印刷は日本。ソノシートにはマルセル・デュシャン、ジョン・ケージの他にマルセルとともにチェスの対戦に加わった夫人のティニー・デュシャンの名前がある他、デイヴィッド・チューダー、ゴードン・ムンマ、デヴィッド・バーマンという錚々たる名前が並んでいます。
久保田が「レユニオン」を撮影することになった経緯や出版までのいきさつについては、ウェブサイト「日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」における「久保田成子オーラル・ヒストリー」
http://www.oralarthistory.org/archives/kubota_shigeko/interview_01.php
に詳しく書かれていますが、久保田の自費出版で制作された500部のうちの1冊が、どうやら当書。たったの500部だとすると、なるほどこれまで見たことがなかったのも道理というものでょう。
久保田の写真はやや荒っぽく単調な印象は否めませんが、20世紀が生んだ天才のひとり、マルセル・デュシャンの最晩年の姿をとどめることとなった『REUNION』。きちんと評価してしかるべき書物ではないかと思います。

今週はこの他、久保田と同世代で同じくフルクサスのメンバー塩見允枝子の『FLUXUS BALANCE』(メール・イヴェントによって集まった作品のリプロダクト ジョージ・ブレクト他 限定750部)『モボ・ボガ展』等モダニズム関連展覧会図録、『もの派-再考』『1970年 物質と知覚』『吉原治良展』など具体・もの派・ネオダダ関係の展覧会図録、川俣正・李禹煥他美術関係書籍牛若丸の刊本6冊『シオラン選集』1~4揃、『ナチス・プロパガンダ 絶対の宣伝』1~4揃などの白っぽい本、1970年代から80年代ヨーロッパの切手コレクション厚冊アルバム5冊が入荷。また、明日には陸軍省『つはもの叢書』『国の力叢書』6冊戦中の小型日記5冊などの古書関係も入荷いたします。左上、バルビエがタイトル部分を描いたピアノロール4点はとてもユニークな紙モノで、小店としては初の入荷です。
思いがけず春先の大量入荷となりました。この機会にご来店いただければ幸いです。


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