『L’Avant-Scene BALLET/DANCE』1980年10月号。ニジンスキー(上の見開き)からジョン・ノイマイヤー(下の見開き)まで約一世紀に及ぶ「春の祭典」の変奏を一冊に。右端はストラヴィンスキーの肖像、右上端と左下端はニジンスキー振付による初演当時のイラストメモで、実際は非常に可愛いものなのですが、画像ではよくわからなくなってしまいました…。
■左のinformationと一部重複しますが、大切なお知らせがいくつか。来週5月19日は火曜日ですが、「洋書会大市」のため店の営業はお休みを頂戴いたします。このため来週は5月21日(木)・23日(土)の二日のみ、各日12時~20時での営業となります。ご不便をおかけし大変恐縮に存じます。くれぐれもご注意の上、ご来店いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
■当HPに「shopping cart」を装備いたしました。気になる商品はその場で「カートへ」をクリック。メモするようにクリックしておいた後でヘッダーの「shopping cart」をクリック、開いたページで再度確認。ご注文品に絞ってからメールをご送信いただける、という仕組みです。また、小店もデータをアップしている検索サイト「日本の古本屋」ではクレジット決済機能が装備されました。お買い物を便利にする機能あれこれ、どうかますますご活用のほどお願い申し上げます。
■先週少しだけ予告いたしました新連載を、いよいよ来週初め、5月18日(月)から19日(火)に日付が変わる頃にアップいたします。今年で誕生100年、終焉から80年を数えるバレエ・リュスとそれをめぐる日本人をテーマに、ブログ「私たちは20世紀に生まれた」でも知られる沼辺信一氏にご執筆いただきます。セゾン美術館の図録『ディアギレフのバレエ・リュス』に氏が寄せられた「ニジンスキーを観た日本人たち」から11年。沼辺氏と小店とのお付き合いも、実はこの図録に掲載されたバレエ・リュスのテキストを介して始まりました。1998年の『ディアギレフのバレエ・リュス』展当時からさらに広く、より深く、バレエ・リュスと日本人との関わりを追い求めてこられた沼辺氏によるご研究の成果は、瞠目と驚天の連続です。アップの日時にも深いワケありの連載開始、みなさまどうぞお楽しみに!
フランス、ヌーヴェル・ダンスの旗手、カリーヌ・サポルタ、フランソワ・ラフィノ、マルセリーヌ・ラルティーグ、レスキスの3名+1組の冊子4冊・函入、1994年の刊行。それぞれ代表的な作品の制作過程を写真とともに記録。造本・デザインにも優れている。
■ご連載に合わせるかのように金曜日に市場に出品されていたバレエ関係書籍の一縛りから、これまたご連載に合わせるかのように出てきたのが上最初の画像、フランスの雑誌『L’Avant-Scene BALLET/DANCE』1980年10月号。特集は「春の祭典」で、ほぼ全頁特集といってもいいほど。ストラヴィン・スキー作曲のこのバレエ作品について、1913年にニジンスキー振り付けで初演されたバレエ・リュスに始まり、コンテンポラリー・ダンスに至るまで、さまざまな角度から検証・論考を加えています。巻頭のディアギレフ、ストラヴィンスキーに続いて、楽譜に基づく楽曲研究、ニジンスキーの振り付けに関する論証(初演当時のスケッチ等図版多数)、ピカソによるキュビスムと舞台美術の記事があり、ウィグマンの祭典をめぐる考察があり、フィリップ・スーポ、マシーンと続いてベジャール(ジョルジュ・ドン!)、そしてジョン・ノイマイヤーの「春の祭典」へ。全ての論考の棹尾に、「バランシンとストラヴィンスキーの40年にわたる友情」が置かれているあたりも心憎いし、各論毎に置かれる図版も資料価値に美観がプラスされており…なんてフランス語の読めない人間が云ったところで説得力のカケラもないわけですが、しかしこれは、少なくとも編集の点で非常に優れた一冊なのではないかと思うのであります。ちなみに巻末近くには大野一雄の記事3Pも。さらに付言すれば。『BALLET/DANCE』と一緒に縛られていた右の画像、フランスのヌーヴェル・ダンスの旗手4名・4分冊から成る『Memoire vivante』(画像は4分冊の表紙をレイアウトした外函)はタイポグラフィからレイアウトまで目配りの利いた仕上がりで、市場で聞いたところによると旧蔵者はグラフィック・デザイナー氏なのだとか。日月堂は信じられなくても旧蔵者の保証は万全でございます(デザイナー氏がフランス語読めたかどうかはまた別のお話)。
上左及び下見開きは東京オリンピックに際して外務省が1964年に発行した英文の日本案内『日本』。アート・ディレクターは原弘。右上は1954年、国際文化会館が招聘したグロピウスの英文講演録。ともに外務省関係者の旧蔵品のヤマのなかから発掘。
■今週の新着品、最も大漁となったのは、どうやら外務省関係者の旧蔵品と目される一口からで、ただいまとりあえず大きなダンボール箱でふたつ分が残りました。最初は四箱+オマケ分ほどあったところから重要かつ必要にものだけに減らして減らしてふたつ分。で、残したものというのが例えば左の画像内右上の小冊子『THE ARCHITECT and OUR ENVIRONMENT』で、1954年・国際文化会館が招聘したヴァルター・グロピウスの講演を英文で記録したもの(!)だったり、同じ画像の左上が表紙、下の見開きが中面の『日本』だったりして何が出てくるかまだ分からない。ところでその『日本』って何?そうですね。私もこれ、知りませんでした。簡単にいえば日本国外務省が1964年に発行した英文の日本案内書で、いうまでもなく同じ年に開催された東京オリンピックがらみ、来日した外国人向けの出版物です。写真角版使い・切り落とし、欧文ブロック組という得意技を次々と繰り出してこの文字通りのお役所仕事をやっつけたのがアート・ディレクター原弘氏。原弘の原型も頂点も戦中のグラフ誌『FRONT』(海軍号でしたら在庫あります)にあったのでは…という素人の浅薄な感想はさて措いて、普通に見たらゴミ、脈絡が見いだせればパンドラの函、となるはずのダンボールふたつ、今週から来週にかけては箱のなかに筋道を見出す作業に追われそうです。新着品はこの他、バレエ・舞踊関係書が約10冊、大野一雄著『dessin(デッサン)』、古びた紙質と印刷された突き出し広告の図案も魅力的な戦前の英字新聞が高さで60~70cm分、戦前フランスの建築雑誌がざっと20冊他、今週も来週も仕事だけは売るほどある状況を是非何とかしたいと思っております……。
シャルロット・ペリアンと坂倉準三との共著、昭和16年・小山書店発行『選襗(選択)・伝統・創造-日本芸術との接触』ペリアンの来日の成果をかたちにした高島屋での展覧会と同時期に発行された。豊富な写真でペリアンの仕事が細部まで分かる。当品はプレート、図面等一部欠けあり。
■“ペリアンは、コルビュジエの協力者として活躍したインテリア・デザイナー。1940年日本政府の招聘により来日、7ヶ月間滞在。同書は、滞日中の成果を具体的に形にした高島屋での展覧会にあわせて刊行された。展開されるデザインは、温かい視線の向けられた日本の民芸と自身のモダンなセンスをミックスしたようなものが多い。展覧会協力者の一覧には、河井寛次郎、濱田庄司から「積雪地方農村経済研究所」等まで、また、柳宗悦やペリアンの助手として柳宗理の名前も。”- というのが、2001年に発行した自店目録のなかで、『選襗(選択)・伝統・創造-日本芸術との接触』に添えた解説でした。シャルロット・ペリアンと坂倉準三との共著、昭和16年・小山書店発行の初版。A4・25Pの解説冊子付き、但し、今回入手したのは未綴じの写真図版リーフ53葉の内の5葉と、カラー刷りの展覧会平面図が欠けてしまっているものです。ううむ。完本で出てくれば、冒頭の目録でつけた販売価格の数倍にまで高騰した落札価格、もはや小店には高根の花。この状態だから落札できたという次第。欠けはあるものの、出現すること自体珍しくなってしまった昨今、最低限の資料とはなるのだからとりあえず押さえておくべきか。いや待てホンマにそうかいな …… と散々迷った挙句の新入荷となりました。さて、この8年の間には落札価格だけでなく情報環境の点でも大変化を遂げているわけでして、いまwikiでペリアンの項を開いて見ると、目録解説に書いた“7ヶ月間滞在”は、来日してから展覧会までの期間のことで(ペリアンによる「後記」に“この展覧会の七ヶ月の日本滞在のあわただしき準備によつて”とあり解説はこれに基づく)、ペリアンは何と1942年まで日本に滞在して各地を精力的に経巡ったらしい、というのがあっという間に分かってしまいました。とすればですね。日本に触れることでペリアンの中に起こった変化というものは、むしろこの展覧会の後に現れているはず。むむむ。この欠本の価値って一体?……「迷ったら買え」が古書市場での鉄則だと教えられたのも、そういえばいまから8年前よりさらに遡って……もはや通用しない時代のことだったかも。
■多色刷り木版画が表紙を飾る『アメリカ博覧会』は1950年、朝日新聞社主催、占領下日本で開催された一大スペクタクルの報告書(非売品、同年・同社から発行)。表紙の木版画は川西英、須田国太郎と小磯良平のカット入り、竹中郁と小野十三郎が詩を寄せるという力の入りよう。博覧会についてはえば、報告書に力も入るのも当然で、たったの4ヶ月半開催で約200万人の来場者を集めたといいます。報告書は写真を中心に構成されたもので、内容が非常に分かりやすく、分かれば分かるほどその内容がすごい。ナイアガラの滝(もちろん模型)を見る舞妓さんたち、“アメリカの政治と歴史を知ろうと”日本人が群れなす向こうにホワイトハウス(とうぜん模型)、アメリカ一周野外パノラマには何だか略式化された自由の女神(あくまで模型)、空飛ぶホテル・ストラストクルーザー(現物。たぶん)へ整然と列なして飲み込まれていく日本人の列・列・列!…大は原子力発電所から小はトレーラーハウスまで、アメリカのあらゆる側面を実際に「日本に居ながら」見て体験して知ることができる、という趣向。こんなの見せられた日には、なんでアメリカとなんか戦争はじめちゃったんだろうなあそうだよ新聞なんてさウソばっかだったよなあ……と打ちひしがれる人続出かと思いきや。いやはや日本人の楽しそうなことといったら。ま、ね。楽しかったに違いないけど。根にもたない国民性というのもこれでなかなか稀有なもんだと思う一方で、いまの政治の堕落の原因なぞも、実はこんな国民性に由来するものではないかと思ったりして。日本に現れたアメリカという無茶とキッチュに目を瞠りながらも、国民性にせよアメリカと日本の関係にせよ、いずれにしても歴史は連続していると、ページを開くたびに想起せられること必定であります。市場の荷物の少なさに、どうやら世の中まだGWなんだと推察した今週、新着品はこの他、戦前ドイツの工業・機械関係商品広告16点、銘仙の色柄見本帖(現物貼込多数)、旧蔵者のセンスが光る戦前ファッション関係資料スクラップ帖などわずかですが、GWの最後の最後に、またご来店いただければ幸いです。
おっと。こちらも最後にもうひとつ。お待たせいたしておりましたサイト内「text」のページで、予定されていたご連載がいよいよスタートします。新着情報なんぞかるぅーく吹っ飛ぶ内容の濃さ・面白さで、この日の前でも後でもダメという5/18・5/19の日付が変わる頃にアップの予定。乞うご期待!です!!
■すでにゴールデン・ウィークに突入して「古本?なにそれ。」という空気溢れるなか、専ら自分自身の精神衛生上の事由により今週も新着品のご案内を。何しろこれやらないとホントにどなたも訪ねて来て下さらないのではないかと不安なもので。最初は久しぶりの入荷となった絵ハガキ98枚。絵ハガキに押された記念スタンプや「第9回関西府県連合共進会」などの記載から、多くは明治40年前後の発行、全て「写真+イラスト+カラー印刷+エンボス加工」という手の込んだものばかりです。2002年のことだったと思いますが、パルコ・ロゴスギャラリーでやらせていただいた絵ハガキの展示即売会で、場所柄か結構多くご来場下さった外国人のみなさんが、一様に、いかにも興味深げに買っていたのがこのタイプでした。エンボス加工や写真とイラストのコラージュ処理などは海外の絵ハガキでもよく見かけますが、このテは日本特有の様式なのか、よくよく考えてみると確かにこんなに“過剰”に作り込まれたものはあまり見かけないように思います。一見洋風図案のアレンジのようにも見えるのですが、実は青海波、千鳥、鳳凰、松葉に竹、桜に菊、富士山は当然としても米俵や農具なんていうのまで、徹底的にJAPAN MADEの意匠- 琳派、とまではいわないものの、金銀の使い方もジャポニスムっぽい -であることが、外国人にウケた理由だったようです。いまこうしてつくづく眺めてみると、日本独自の図案をアール・ヌーヴォー調にうまく落とし込んだ上、強い色を何色も使いながら悪趣味ギリギリのところで調和させた力技には、改めて驚きを覚えます。なかでも画像にとった鉄道院と鉄道省発行の絵ハガキには見るべきものが多く、“花形産業には必ず優れた意匠の紙モノあり”の法則を、ここでもまた、確認することができます。ファイルまるまる一冊のコレクションとあって、いささか惜しい気もしますが、店頭バラ売りの予定です。
ストゥーディオ社発行の印刷・広告年鑑『POSTERS AND PUBLICITY 1929 - FINE PRINTING AND DESIGN』には、日本の竹久夢二の作品も。現物綴じ込み多数あります。画像上でクリックして、より鮮明な画像でご覧ください。
■『POSTERS AND PUBLICITY 1929 - FINE PRINTING AND DESIGN』は、イギリス・ステューディオ社が発行していた月刊誌『COMMERCIAL ART』の別冊、タイトルでも示す通り印刷と広告の年鑑です。石版刷広告見本や化粧品用包装紙などすでにお馴染みの“現物綴じ込み多数”は、やはり魅力的。当号の特徴は巻頭22Pを使って特集が組まれた写真広告でしょうか、多くがフォト・モンタージュの手法と二色刷りの印刷で構成された広告には、すでに戦時下プロパガンダへの援用を十分予感させるものが多く見られます。画像中央上段の「TIMKEN AXLES」の広告は異色。「スタイルだけで見てませんか?」というメッセージを通して機能を訴求するために、図版も自動車を裏側から見せる(どうやって撮影したんだろう?)という発想は、広告表現も消費者も現代とほぼ同様のレベルに達していたことを思わせます。とはいえ、イラストを使った広告がまだまだ主流だった当時、カッサンドルやベニトなどお馴染みの名前が並ぶことになるわけですが、画像右のように独特の作風を持ちながら、これまで知る機会のなかったイラストレーターの作品も多く、また、サクス・フィフス・アヴェニューはじめ広く世界の有名企業の広告がとられていることなど、資料性の高い内容となっています。日本からは1点、松坂屋のリーフレットのデザインが採られて、Designer名の「Koho.」は「広報」、そして「Takehisa Yumeji」さすがです、竹久夢二。GWだというのに相変わらずの市場行き、しかしさすがに出品数は少なく、『建築世界』12冊、フランス戦前の風俗雑誌30冊など明日の新入荷でもって一区切り、店は5/3(日)より5/6(水)までお休みをいただきます。豚インフルを警戒しつつ、みなさまどうかよきご休暇をお送り下さい。一週間後にはまたいつもの市場からいつもの新着品のご案内、アアマタ「ア」ノ文字ノ幅・半分位デ過ギル一週間ダ。お休み明けにはまたよろしくお願いいたします !